「伝統工芸品」と聞くと、「伝統技術の粋が詰まっている」「希少価値が高い」というイメージを持つ人は多いことでしょう。一方、「作家物」と聞くと、「一点物の作品」という印象を持つ人が少なくありません。
どちらのケースにおいても、大抵の人は「非常に高価なもの」というイメージを持っています。特に着物の場合は、「伝統工芸品」や「作家物」と聞くと、「美しくて魅力的だけれど、とても手が出ない価格」という印象を与えがちです。
とはいえ、「伝統工芸品」や「作家物」とよばれるものすべてが高価というわけではありません。では、これら2つの表現が指しているものと、その詳細について調べてみましょう。
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目次
伝統工芸品とは?
「伝統工芸品」とは、日本古来の技法によって製作された工芸品を意味する表現です。ただし、近年においてこの表現は、経済産業省によって指定もしくは認可を受けた工芸品にのみ用いられるようになっています。
「長い歴史を持つものだから伝統工芸品」というわけではありません。伝統工芸品の中には「漆器」や「焼き物」、「着物」などが含まれています。
着物の中でも有名な伝統工芸品と言えば、大島紬に代表される落ち着いた雰囲気「紬」と、加賀友禅に代表される艶やかな「友禅」が挙げられるでしょう。着物のタイプは異なるものの、日本の風土を感じさせる作品が数多く見られています。
着物以外にも伝統工芸品はたくさんの種類がある
「伝統工芸品」は各地域において昔ながらの製法で生産されている工芸品のことです。正式に「通産大臣指定伝統工芸品」という認可を受けているのは着物以外にもたくさんあります。
代表的なものとしては、九谷焼や備前焼に代表されるような「陶磁器」が挙げられます。南部鉄器に代表される「金工品」や、輪島塗が有名な「漆器」なども伝統工芸品に含まれます。
伝統工芸品は地域によってさまざまな特徴を持っており、日本における風土や文化の多様性を示すものとなっています。国や地方自治体のバックアップを受けながら、熟練工による製作技術の継承が進められています。
作家物とは?
「作家物」とは、材料選びからデザインおよび製作までを特定の個人が行った作品のことです。メーカーのように大量生産をすることはできないものの、1つ1つの作品に作り手の意図や思いが込められているというメリットが作家物にはあります。
作家物は数がそれほど多くないため、デパートなどで目にすることはほとんどありません。例えば漆器や着物の作家物に関しては、個展などで展示および販売されることが通例となっています。
ただし、大手デパートにイベントとして特設会場が設置されることは稀にあります。
販売価格は大抵作家自身が決めています。中には「できるだけ多くの人に使って欲しい」という思いから、リーズナブルな値段設定をしていることもあります。
着物作家は3つのタイプに分けられる
着物の製作過程は着物のタイプによって大きく異なります。そのため、「着物作家」と呼ばれている人であっても、着物の種類によって仕事の内容は異なるのです。着物作家は大きく3つに分類されています。
- 「友禅作家」友禅着物の図柄を決定
- 「染色作家」着物の染め方を決定
- 「刺繍作家」着物にどのようなオリジナリティーのある刺繍を施すかを監督
1:着物の生地に直接絵を描いていく友禅作家
着物作りの代表的な技法である「友禅」は、生地の上に直接デザインした絵柄や図柄を書きこんでいきます。この仕事を担当するのが友禅作家です。
友禅作家は自然由来の染料を使い、見本を参考にしながら白い生地に図柄を直接描きこんでいきます。同時に色合いもイメージしながら作業を進めていきます。
とはいえ、見本に作家独自のデザインをプラスすることでオリジナリティーのある着物を作り上げることができるのです。
小紋の型染などを行う染色作家
着物のデザインと染色を行なうのが「染色作家」の仕事です。多彩な染料を調合することでイメージ通りの色を作り上げることができるか、というのが染色作家に求められる技術となります。
小紋の型染を始めとして、着物の染め方には地方によってさまざまな技法があります。染色作家はそうした異なる技法に精通しており、デザインや着物のタイプに合わせて最善の技法を選択して、着物を染め上げていきます。
着物に刺繍を施していく刺繍作家
羽織を始めとする和装に艶やかな刺繍を施すのが「刺繍作家」です。風景や動物など、多彩な図柄を着物に刺繍していきます。最近では刺繍用アイテムのカラーバリエーションが増えているので、創作性の高い刺繍着物が多くなっています。
ミシンの普及により、手刺繍の技術を持つ作家は少なくなってきています。そのため、着物に華やかで美しい刺繍を施すことができる作家の需要は非常に大きくなっています。
作家の認知度の3つの指標
「着物作家」と呼ばれる人は少なくありません。とはいえ、全国的な知名度を獲得している作家は数えるほどです。では、着物作家として認知されている人にはどんな特徴があるのでしょうか。
- 人間国宝として指定されている
- 大手着物問屋と契約している
- 自分で作家として売り出しているケース
人間国宝や世間で認められている作家
織物や染め物が盛んな京都や加賀を中心に、さまざまな職人が「人間国宝」として認められています。人間国宝とは、「重要無形文化財の保持者」として文部科学省から個別に認定を受けた人のことです。
また、人間国宝として認定を受けていないものの、着物職人としての技術が広く認められている人もいます。こうした人たちが製作する着物は国内外で評価されているため、市場では大変高値で取引されることが少なくありません。
職人さんが問屋などに担ぎあげられて作家に
着物の職人さんは特定の問屋と契約をしているケースが多く見られます。問屋さんの中には「自社のブランド価値を高めよう」という狙いから、契約している職人さんを「作家」としてアピールすることがあります。
もちろん職人としての実力は折り紙つきです。とはいえ、人間国宝のように知名度が高いわけではないため、問屋がブランドイメージを固定させようとしたものの成功しなかったという事例も見られています。
販売が上手な職人もしくはセーラー
「売り上げを伸ばしたい」という職人あるいはセーラーの中には、自分を「作家」として積極的に売りだして、高額な商品を販売している人が少なくありません。
とはいえ、自分で売り込みをしている作家の場合、営業の技術はあるものの、着物を作り上げる技術はあまり高くない、というケースが多くなっています。販売に関するトラブルも少なからず起きているので、評判を事前に確認するのが賢明でしょう。
伝統工芸士が作る着物もある
「伝統工芸品」は、経済産業省によって認可を受けた伝統工芸のことで、加賀友禅や京友禅など工芸技術として評価されたものです。ですから個々の職人に関しては関係していません。
「作家物」とは、「製作者が誰か」を強調している工芸品のことです。人間国宝の認定を受けた人が製作したものが特に有名です。
「伝統工芸士が作る着物」とは、「伝統的工芸品産業振興協会」により高い技術を持っていると認定された職人によって作られた着物のことで、品質を保証するものとして活用されています。
とはいえ、「作家物」のように職人が目立つということはほぼありません。
伝統工芸品と作家物の着物の値段が高い理由
伝統工芸品や作家物の着物が高値で販売されている背景としては、「素材の質が非常に高く、原価コストがかかっている」という理由の他に、「販売をしている問屋の都合」が主に考えられます。
もちろん、高価な生地を使用している着物は当然価格が高くなります。また、著名な作家が長い時間をかけて制作した着物であれば、その分値段に反映されるでしょう。
とはいえ、販売を担当している問屋の中には、大きな儲けを出そうとして高額な設定にしている場合があります。
展示会や個展で販売をしている場合には、場所のレンタル費用などが販売価格に上乗せされたり、「ブランド」ということを強調するために強気の価格設定が行われたりすることもあります。
伝統工芸品の着物有名どころ一覧
伝統工芸品の分野は多岐に渡っており、その中でも群を抜く色の多彩さを誇るのが「着物」です。代表的な着物の伝統工芸品と言えば、「紬」「上布」および「友禅」が挙げられます。
「紬」と聞くと「大島紬」や「結城紬」を思い浮かべる人は多いでしょう。一方、「上布」と言えば「宮古上布」や「越後上布」が有名です。「友禅」は「加賀友禅」と「京友禅」、「東京友禅」の知名度が突出しており、高い人気を誇っています。
友禅
「友禅」の特徴は「鮮やかな色合い」と「優雅さを感じさせるデザイン」の2つです。ただし、京友禅は柔らかな色合いを多用するのに対し、加賀友禅ではよりはっきりとした色合いが好まれています。
友禅の歴史は江戸・元禄時代に絵師として活躍した「宮崎友禅斉」から始まったとされています。顔料として使われていた塗料を着物の染め上げに使用したことが発端となり、京都から加賀へとその技法が広がっていきました。
買取相場はどれくらい?
友禅の買取で高額査定が付くポイントは「手描き」と「多彩な技法」の2つです。職人が手描きした友禅の方が高値で買取してもらえます。手描きの友禅は購入額の2割から3割程度の査定額がつくことがあります。
また、「ぼかし」や「虫食い」といった独自の技法が使用されている着物の場合、元値が高いこともあり、買取時にも20万円以上の高い査定額が提示されるケースもあります。
江戸小紋
「江戸小紋」は着物の生地全体に細かな美しい模様や図柄が規則的な仕方で入っているのが特徴です。近くから見るとその鮮やかさに目を奪われることがあります。
江戸小紋の歴史は、江戸時代の武士たちが自分たちの和装に藩の紋様を取り入れたことから始まります。この細かな紋様を入れたデザインは大衆の心も掴み、やがて女性用着物にも使用されるようになりました。
江戸小紋に使用されている紋用は多岐に渡ります。とはいえ、高価買取が期待できるのは代表的な3つの紋様である「鮫」「行儀」「角通し」です。
買取相場はどれくらい?
「江戸小紋三役」と呼ばれ、特に格が高い紋様とされており、買取相場は購入価格の2割前後となっています。
ただし、保存状態が良く、証紙が揃っている場合や、著名な作家の作品である場合には、購入額の3割前後が査定価格として提示されることもあります。
絞り
「絞り」は生地の一部を絞って染料がしみこまないようにする技法のことで、正式には「絞り染め」と呼ばれます。絞り独特の淡く立体的な模様が大きな特徴です。
絞りの技法は奈良時代に始まったとされています。ただし、一般に普及したのは江戸時代で、藍染めの手法と共に全国へ広まって行きました。現在でも愛知県や京都府において職人による絞りの着物生産が行われています。
買取相場はどれくらい?
絞りは2万円程度の査定が一般的です。高額査定を獲得するポイントは「総絞り」と「作家物」の2点です。「総絞り」は着物の生地全体に絞りの技法を適用しているため、希少価値が高く、買取価格も高くなります。
保存状態が良いもので100万円前後の査定が付いたケースもあります。
人間国宝など著名な作家が手掛けた絞りは人気が高く、購入価格の2割程度が買取相場となっています。とはいえ、証紙がないと評価額は下がってしまうので注意が必要です。
紅型
「紅型」は琉球王朝時代から続く沖縄の伝統的な技法で、「びんがた」と読みます。紅型は刺繍がなく、6種類の染料を使用した美しい染め上げが特徴となっています。
紅型の技法が琉球王朝において確立したのは18世紀前後と考えられており、王族を中心とする支配者階級によって用いられていました。明治以降になると徐々に紅型の美しさが注目されるようになり、全国へと広がって行きました。
買取相場はどれくらい?
紅型は全国的に人気が高いため、買取価格も平均で購入価格の3割程度です。30万円以上を提示されることが珍しくありません。デザインされている紋様が沖縄独特のもので、保存状態が良ければさらに評価額がアップすることもあります。
中国とのつながりを感じさせる「龍」などのデザインが入った紅型も買取相場が非常に高くなっています。美しい模様が汚れなく保存されている場合には、非常に高額の査定が提示されるでしょう。
大島紬
「大島紬」は鹿児島県の奄美地方で生産されている着物で、紬糸を使った製作方法が特徴的な絹織物です。島の木から採集される染料を使った「泥染め」が有名です。
大島紬は西暦7世紀ごろから徐々に生産が始まったとされています。江戸時代には特産物として薩摩藩へ上納されていた記録が残っています。高級な着物として大衆に認知されるようになったのは明治時代後期とされています。
買取相場はどれくらい?
大島紬はフォーマルな場にも使用することができるため、1年を通して買取の需要があります。平均すると4万円から5万円で買取をされることが多いようです。
とはいえ、独特の刺繍が施されていたり、藍泥染めなどの技法が用いられている場合はさらに高い査定額が期待できます。
高価買取を狙うには、証紙をきちんと添えることと、保存状態が良くほつれなどがないこと、そして着物の需要が大きくなる時期を選んで売却することがポイントとなるでしょう。
本塩沢
「本塩沢」は、新潟県の越後および塩沢地区を中心として生産されている生糸を使った着物のことです。生地を撚ることで出来た「シボ」と呼ばれる独特の風合いが特徴となっています。
本塩沢の生産が始まったのは江戸時代中期とされており、江戸幕府にも献納されていたという記録が残っています。明治後期になると本塩沢の持つ上品な風合いが徐々に知られるようになり、現在は全国屈指の知名度を誇っています。
買取相場はどれくらい?
本塩沢は1着10万円前後で販売されているものが多く、買取価格はその2割程度が相場となっています。ただし、保存状態が良くないと査定が下がってしまうので注意しましょう。
本塩沢は通気性が非常によい、という特徴があります。そのため、初夏の時期になると本塩沢の需要が高まります。ですから、この時期に合わせて買取依頼をすることで高値の査定額提示を期待できるでしょう。
結城紬
「結城紬」は茨城県結城市および栃木県小山市で生産されている、絹を原料とした着物のことです。温かみのあるデザインが特徴的で、国の重要無形文化財にも指定されています。
結城紬の歴史は古く、奈良時代からすでに現在の技法が確立されていたと考えられています。平安時代には朝廷へ献上する調度品として用いられていました。江戸時代初期になると、結城紬の技法と着物の美しさは全国で知られるようになりました。
買取相場はどれくらい?
結城紬の人気は非常に高く、中古でも買取価格は新品の2割から3割程度となっています。
ただし、汚れやほつれ、たばこのにおいなどが付いていると査定額は大幅にダウンしてしまうので注意しましょう。
明治時代以降に作られた「亀甲柄」など、特定の絵柄はさらに高値で取引されており、買取価格が10万円を超えるケースもあります。「結」もしくは「紬」と書かれた証紙を添えると手続きがスムーズになるはずです。
読谷山花織
「読谷山花織」は、琉球王国の名残を色濃く残す紋織物です。生産されているのは沖縄県内の読谷、与那国島および竹富島に限られており、鮮やかな色合いと小さな花柄模様が可愛らしいという特徴があります。
読谷山花織の歴史は古く、14世紀には中国との交易で用いられていたという記録が残っています。やがて作り手は途絶えてしまったものの、20世紀になって再び生産が行われるようになりました。
買取相場はどれくらい?
読谷山花織は女性らしく可愛らしい紋様が大変人気で、中古品であっても高値で流通しています。花柄が綺麗に保存されており、シミや汚れが無いものであれば、販売価格の3割以上で買取をしてもらえるケースもあります。
「作家物」であることも高値買い取りのポイントとなります。人間国宝によって製作された読谷山花織で、帯とセットでの買取であれば100万円以上の査定額が付くことも珍しくありません。
首里織
沖縄県の那覇市を中心に生産が行われているのが「首里織」です。藍やモモカワといった地元の染料を利用しているのが特徴で、沖縄独特の風合いを持つ着物となっています。
首里織は14世紀ごろから東南アジアおよび中国との交易品として活用されていました。それから現代に至るまで美しい織物の技術が受け継がれています。
首里織はもともと王侯貴族が使用するためだけに作られていた織物であり、どの着物も格調高さや品を感じさせる出来栄えとなっています。
買取相場はどれくらい?
中でも「花倉織」や「道屯織」は優雅な雰囲気を持つことから人気が高く、中古品であっても30万円以上の買値が付くことがあります。
「首里ミンサー」も人気の高いデザインです。高い技術を持った職人によって細かな紋様が綺麗に配列されていて大変美しいのが特徴です。汚れやシミが無いものであればやはり高値で買取をしてもらうことができるはずです。
琉球絣
「琉球絣」は、沖縄県の那覇市や塩尻地域を中心として生産されている織物です。日本における絣文化の初めと考えられています。また、600を超える多様なデザインがあるというのも琉球絣の大きな特徴です。
琉球絣は東南アジアから14世紀ごろに伝えられた絣の技術が沖縄の風土に合わせて多様化したものと考えられています。やがて昭和初期になると、職人たちによってさまざまなデザインが考えだされるようになりました。
買取相場はどれくらい?
琉球絣の生産には多大の時間が必要となるため、希少価値が非常に高い着物です。状態の良いものであれば6万円から8万円前後で買取をしてもらうことができるでしょう。
「紋様」も高値買い取りのポイントとなります。雲をイメージした「イチチマルグムー」や2羽の鳥を模した「トウイグワー」などは特に人気のデザインです。目立つ汚れなどが無ければ10万円程度の査定額が提示されることもあるでしょう。
越後上布
「越後上布」とは、新潟県の魚沼地方周辺で生産されている上質の麻織物のことです。通気性が良く、肌触りもさらっとしているという特徴があります。
越後上布は奈良時代からすでに生産されていたという記録があります。江戸・元禄時代には上質な布として各地の大名から注文を受けるほどの人気を博すようになりました。現在でも高級品として全国的な知名度を誇っています。
買取相場はどれくらい?
越後上布は絹織物が普及するまで「国内最高級の生地」として珍重されていました。現在でもこの肌触りを求める人は多く、現在では10万円から20万円前後が平均的な買取相場となっています。
買取価格を少しでもアップさせたいのであれば、証紙を準備しておくことが欠かせません。証紙があることで品質の確認がスムーズに進みます。もし作家物であれば、購入価格の3割前後まで査定額がアップする可能性があります。
小千谷紬
「小千谷紬」は新潟県の小千谷地区で生産されている絹織物で、美しい光沢とシンプルな図柄が人気を集めています。同じ地区で生産されている越後上布と合わせて「国際最高峰の織物」として評価されています。
小千谷紬の生産が始まったのは江戸時代中期とされています。小千谷縮の技術を持つ職人たちが絹織物に注目したこと、また麻の原料不足が起きたことも小千谷紬の発展を後押ししました。
買取相場はどれくらい?
小千谷紬は民芸調の柄と美しい光沢が特徴的な織物です。平均的な買取相場は購入価格の1割から2割程度、5万円から8万円前後とされています。
ただし、生地全体の光沢が失われている場合には1万円以下というかなり低い評価額になることがあります。
小千谷紬の中で安定した人気を誇るのは無地と白地の織物で、季節に関わりなく一定の需要があります。とはいえ、円滑に買取手続きをしてもらうためには証紙を準備しておくと良いでしょう。
琉球紅型
はっきりとした色使いと肌触りの良さで人気を集めているのが「琉球紅型」です。琉球紅型の染色には一般的な染料ではなく顔料を使用しています。これにより、繰り返し使っても色落ちがしにくいのです。
琉球紅型の歴史は14世紀もしくは15世紀から始まったとされています。琉球王国が中国や東南アジア諸国との交易に活用したという記録が残っており、現在でも中国では当時交易品として贈られたものがわずかながら保存されています。
買取相場はどれくらい?
琉球紅型は職人が少なく流通数がわずかであることから、中古品であっても大変高値で取引されています。平均すると購入価格の3割前後、10万円から20万円程度で買取をしてくれるケースが目立ちます。
琉球紅型の製作者には人間国宝として認定されている人たちもいます。それらの人が制作を手掛けた作家物であれば、50万円以上という査定額が提示されることも珍しくありません。
えぞ織
「えぞ織」は、北海道で織物の製作活動を精力的に行なっている作家・佐藤房子氏により、近年になって考案されたものです。
アイヌの間に伝わる伝統的な織り方「エムルユーカラ織」などを製法のベースとしつつ、ラベンダーやベニバナなどを染料として使用した織物です。
えぞ織は優しい色合いが特徴的で、中でもハスカップを染料として使用した赤紫の織物が高い人気を誇っています。
買取相場はどれくらい?
着物1反の販売価格は20万円前後となっています。一方、買取価格は中古でも8万円から10万円程度という高値が付くことがあります。
ラベンダーやハスカップを染料として使用した着物からはほのかに良い香りがすると言われており、良い保存状態であればこの香りが長期間失われないとされています。
実際、未使用で非常に保存状態が良かったものの中には10万円を超える査定額が提示されたケースもあります。
長井紬
「長井紬」は、山形県の長井地方および米沢地方で生産されている着物のことです。素朴で可愛らしい紋様が特徴であり、琉球紬と似ている事から「米琉絣」と呼ばれることもあります。
長井地方で養蚕が盛んに行われるようになったのは18世紀です。これに伴い、長井紬の生産も始まりました。さらに昭和に入ると、新潟県の十日町地方から織物に関する技術提供を受け、さらに洗練されたスタイルへと進歩していきました。
買取相場はどれくらい?
可愛らしさと上品さを兼ね備えた長井紬は全国的に人気が高く、買い取りの需要は常にあります。買取相場は購入価格の1割から2割程度、5万円から10万円前後です。ただし、保存状態が良ければさらに査定額がアップすることもあります。
長井紬の中で人気のデザインは、大島紬の流れを受けた鳶茶色の紬です。このデザインは買取価格が購入額の2割前後と比較的高値で安定しています。証紙と揃えておくとスムーズに査定が進むはずです。
牛首紬
「牛首紬」とは、石川県の白山地方で生産されている織物のことを指しています。生地の作りが際立って丈夫であることから「釘抜紬」と呼ばれることもあります。生地に使用されている糸には独特の節があり、織物全体に特有の力強さが感じられます。
牛首紬が作られるようになったのは12世紀ごろで、源氏の落人とその妻が広めたとされています。江戸時代になると、幕府の庇護化で生産が行われるようになり、結果として全国に牛首紬の名前が知られるようになりました。
買取相場はどれくらい?
牛首紬の良さは「繊細な模様」です。生地の保存状態が良く、模様がはっきりと見えるようであれば、高い買取価格が期待できるでしょう。平均的には5万円から9万円程度が相場とされています。
牛首紬は淡い色の生地が多いので、焼けたり色落ちしたりしていないことも大切なポイントです。保存状態が悪いと査定額が数千円ということもあり得ます。
伊那紬
「伊那紬」は長野県の天竜川沿いにある伊那谷地区で生産されている着物です。「信州紬」とも呼ばれるこの織物は、リンゴやヤマザクラなどが染料として用いられており、素朴ながらも温かみを感じさせる風合いとなっています。
伊那谷地区ではもともと養蚕が盛んに行なわれていたものの、出荷できない繭の処理をどうするかが課題となっていました。「地元で織物をしてはどうか」という意見がきっかけとなり、18世紀以降伊那紬が生産されることになったのです。
買取相場はどれくらい?
伊那紬の買取価格は購入額の1割程度が相場となっており、作家物でなければ1万円程度の査定額が一般的です。ただし、色落ちやほつれなどがある場合には査定額がさらに下がります。
伊那紬を高値で買い取りしてもらうためには、証紙を準備することが不可欠です。これにより生産地と品質が保証されるため、買取価格がアップしやすくなります。
天蚕紬
「天蚕紬」とは、長野県安曇野地方で生産されている着物のことです。安曇野で生産されている「天蚕」は一般的な絹糸よりも光沢があるとされています。天蚕紬はすべて専門の職人による手作り、というのも大きな特徴です。
天蚕の歴史が始まったのは18世紀後半から19世紀初頭にかけてのことで、安曇野地方では大々的な養蚕が行われていました。昭和48年からは養蚕を一層盛んにするため、織物の生産も開始されることになりました。
買取相場はどれくらい?
天蚕紬は品質の高さから大変人気があり、「中古でも良いから購入したい」という人が数多くいます。そのため、買取価格も販売価格の3割前後、15万円程度と大変高水準になっています。
天蚕紬の特徴は梅やリンゴ、シソなどの染料を使った光沢のある優しい色合いです。保存状態が良く、美しい光沢が維持されており、証紙がきちんと揃っていれば、さらに査定額がアップすることもあり得るでしょう。
郡上紬
「郡上紬」は、岐阜県の郡上市八幡町で生産されている着物のことです。染料に生地の糸を垂直に浸す「どぼんこ染め」という技法が使われており、独特の風合いを醸し出しています。
17世紀ごろから郡上では養蚕が盛んに行なわれてきました。とはいえ、20世紀初頭になると産業が大きく衰退していきました。そこで、着物作家である宗廣力三氏が提案したのが「郡上紬」です。
買取相場はどれくらい?
郡上紬の買取相場は購入価格の1割程度で、1万円から3万円程度が平均的とされています。温かみのある色合いがきちんと保存されていれば、3万円以上の査定額が提示されることもあるでしょう。
郡上紬の中で傑出した人気を誇るのは、美しいグラデーションが見る人を魅了する「どぼんこ染め」です。きちんと証紙を添えて査定を依頼すれば、購入金額の2割程度まで買取額がアップする可能性もあります。
大石紬
「大石紬」は富士山のふもとにある山梨県の河口湖周辺で生産されている絹織物です。素材の柔らかさと生地の丈夫さが特徴で、他の織物には見られない素朴な風合いが人気を集めています。
大石紬の歴史は江戸時代に始まったとされています。河口湖の氾濫に悩まされていた農民たちが新たな産業として養蚕を始めたことがきっかけとなりました。やがて大石紬は行商人を通して全国に広まることとなりました。
買取相場はどれくらい?
大石紬を高値で買い取ってほしいのであれば、着物の出所を証明する証紙を準備することが必須となります。証紙があることで、購入額の2割前後、6万円から9万円程度で買い取ってもらえることがあります。
もう1つのポイントは「色合い」です。草木染めによる染色が綺麗に保存されているものは高値で買い取ってもらえます。
一方、保存状態が悪い物は1万円未満と評価されてしまうこともあるので注意が必要です。
丹波布
兵庫県の丹波地方を中心として生産が行われているのが「丹波布」です。この織物が持つ特徴は「つまみ糸」と呼ばれる綿糸の織り込み技術で、生地に独特の風合いを与えるものとなっています。
かつて丹波布は「佐治木綿」と呼ばれていました。昭和に入って、丹波の織元が持つ技術が再注目されるようになり、「丹波布」という名称を用いたマーケティングが行われるようになりました。
買取相場はどれくらい?
丹波布はヤマモモなど自然由来の染料を使った優しい色合いが人気を集めています。買取価格の相場は1万円から5万円程度とされています。ただし、購入時に着物を収納していた箱や証紙が揃っていると、買取額は若干アップするはずです。
丹波布の中で人気が高いのは「縞柄」および「格子柄」で、汚れのない状態で保存されていれば購入した価格の2割前後、8万円から12万円程度で買取をしてもらえる可能性があります。
出雲絣
「出雲絣」とは、島根県安木市で創作活動を行なっている着物作家・青戸柚美江氏によって生み出された織物のことです。美しい色合いと「落葉」などオリジナリティーの高いデザインが高い評価を受けています。
青戸柚美江氏は島根だけでなく、久留米や鳥取など各地の絣を長年研究した上で、独自の絣スタイルを生み出すことに成功し、深い藍色で独特の風合いを備えた新しい織物を作り上げたわけです。
出雲絣の製作工程は、綿花の育成から藍染めまで、すべて作家である青戸氏によって行なわれています。そのため生産量が少なく、常に需要が大きいという特徴があります。
買取相場はどれくらい?
買取価格は販売価格の4割以上、20万円から25万円程度が平均相場となっているものの、さらに高騰する可能性があります。
買い取り価格をさらにアップさせたいのであれば、良い保存状態であることに加えて、証紙を準備しておくことが重要となるでしょう。
久留米絣
「久留米絣」は福岡県久留米市周辺で生産されている木綿織物で、「伊予絣」や「備後絣」と並んで「日本三大絣」に分類されています。美しい藍染めと通気性の良さが高く評価されています。
久留米絣は18世紀後半に「井上 伝」によって製法が考案されて生産が始まりました。やがて質の高い生地が広く評価されることとなり、昭和31年には「重要無形文化財」としての認定を獲得しています。
買取相場はどれくらい?
久留米絣は知名度が非常に高いことから、中古品であっても常に需要があります。平均買取価格は1万円から5万円程度です。
ただし、購入時に渡される証書および伝統工芸品マークを揃えておけば、購入価格の2割程度で買い取ってくれることでしょう。
久留米絣は美しい青色と白色のコントラストがポイントです。高値での買取を希望しているのであれば、汚れやシミが無く、いずれの色も綺麗になっていることが重要でしょう。
綿さつま絣
「木綿織物の最高傑作」と称されるのが「綿さつま絣」です。「薩摩絣」とも呼ばれるこの織物は、洗っても色落ちせずサイズが縮まないなど、これまでの綿織物が持っていた弱点をすべて克服した作品です。
綿さつま絣が登場したのは昭和22年で、大島紬の技術を持つ作家・永江明夫氏によって考案されました。およそ15年の歳月をかけて、絹のような手触りの綿織物を完成させることに成功したのです。
買取相場はどれくらい?
綿さつま絣は1反を織り上げるのにおよそ半年かかるとされています。そのため希少価値が高く、買取価格は購入価格の5割を超えるとされており、30万円以上の査定も珍しくありません。
ただし、綿さつま絣の持つ風合いが薄れてしまうと査定額は下がってしまうので注意しましょう。
美しい藍染めがきちんと残っている事や、購入した時の証書が揃っている事もポイントとなります。未使用であれば購入時の8割近い金額が提示されることもあります。
八重山上布
「八重山上布」は沖縄の八重山諸島で生産されている麻織物のことです。島内の苧麻畑で収穫された繊維を使って手作業で織り上げていきます。生地が薄く通気性が良いため、暑い時期になると全国から発注が寄せられています。
八重山上布は琉球王国時代から生産が行われており、17世紀には薩摩藩の調度品として知られるようになります。20世紀に入ると「八重山の名産品」として生産が手広く行われるようになりました。
買取相場はどれくらい?
八重山上布の生産量が少しずつ減少しているため、中古品であっても高値で買い取りたいという人が増えており、15万円から20万円を超える査定を受けたケースもあります。
高値で買い取ってもらうポイントは「綺麗な赤茶色」です。八重山上布に使用されている染料は紅露の芋から採集されたもので、独特の風合いがあります。
シミなどが無く綺麗な赤茶色が残っていると高値で買取をしてもらえる可能性が非常に高くなります。
宮古上布
「宮古上布」は沖縄県の宮古島で生産されている高品質の麻織物です。苧麻を原料として生産される宮古上布は美しい藍色の生地が特徴的で、「越後上布」と比肩するほど美しいという評判を獲得しています。
宮古上布の美しさが広く知られるようになったのは16世紀ごろとされており、江戸時代には薩摩藩から幕府への献上品に含まれるようになりました。20世紀になると島全体で生産が行われるようになり、現在に至るまで続けられています。
買取相場はどれくらい?
宮古上布は1反を織り上げるのに少なくとも2カ月を要する大変希少価値の高い織物です。そのため、中古市場でも人気が高く、買取価格は購入額の3割前後と大変高水準になっています。
作家物であれば40万を超える査定額が提示される可能性もあります。
宮古上布は通気性が良いことから、夏場になると需要が大きくなります。ですから、この時期に合わせて買取依頼をするのも効果的でしょう。
芭蕉布
「芭蕉布」は沖縄県の国頭地域を中心として生産が行われている着物です。地元で収穫される糸芭蕉から繊維を採集して、その繊維から作り上げられる織物です。
芭蕉布は沖縄に数ある伝統織物の中でも最古のものと考えられており、13世紀にはすでに生産が行われていたとされています。戦時中に技法がほぼ失われてしまったものの、地元有志による懸命な努力により再び生産されるようになりました。
買取相場はどれくらい?
芭蕉布は糸芭蕉の風合いと独特の幾何学模様が人気です。生産されている数が少ないため、中古品であっても5万円から7万円前後で買取をしてもらうことができるでしょう。
芭蕉布の良さは「通気性が高いこと」です。実際、沖縄に住む多くの人が1年を通じて活用しており、特に夏前になると注文が大幅にアップします。ですから、高値買い取りを狙う人は初夏の時期に査定を依頼すると良いでしょう。
琉球紬
沖縄県の久米島で生産されているのが「琉球紬」で、生産地に合わせて「久米島紬」と呼ばれることもあります。生産工程はすべて久米島内で行なわれており、染色も地元で収穫される「サルトリイバラ」が用いられています。
琉球紬の生産が始まったのは16世紀ごろとされています。20世紀に入ると琉球紬の品質が少しずつ知られるようになり、戦後には久米島普及の要として官民一体となったマーケティングが行われています。
買取相場はどれくらい?
琉球紬は素朴なデザインと肌触りの良さが特徴で、中高年者を中心として人気を集めています。汚れがなく状態が良いものであれば、5万円以上で買取をしてもらうことができるでしょう。
琉球紬の中で人気が高い色は「藍色」と「黄色」です。特に沖縄特有の紋様が入った黄色の琉球紬は女性を中心に人気が高く、買取価格も割高となります。買取相場は8万円から10万円前後とされています。
能登上布
「能登上布」は石川県の能登半島で生産されている国内有数の麻織物です。非常に品質が高く、丈夫ながら生地が薄いことで知られており、「蝉の羽」と呼ばれることもあるほどです。
能登上布の歴史は古く、奈良時代にはすでに生産されていたという記録が残っています。とはいえ、能登の伝統工芸品として注目されるようになったのは昭和に入ってからです。ただ近年では職人の減少が目立っており、技能の継承が心配されています。
買取相場はどれくらい?
能登上布を生産している織元は現在たった1個所となってしまっていることから、非常に希少価値が高い織物として注目されています。買い取りの平均額には15万円から25万円程度とされており、これからさらに上昇する可能性もあります。
能登上布には独特の「テカリ」があり、これが生地に奥ゆかしさを与えています。このテカリが生地全体で綺麗に見られる着物は買取評価額が高くなります。
本場黄八丈
「本場黄八丈」は、東京都の八丈島で生産されている美しい絹織物のことです。染料には八丈島で獲れるタブノキやシイが用いられており、優しい色合いの生地が出来上がります。染め上げる作業はすべて手作業というのも本場黄八丈の特徴です。
八丈島における織物作りの文化は室町時代に確立されていました。その後、本場黄八丈という織物が本格的に知られるようになったのは江戸時代中期と考えられています。
買取相場はどれくらい?
本場黄八丈の中で最も人気が高いのは、コブナクサを染料とした黄色の織物です。黒や薄いピンクの着物は買取価格が2万円から3万円程度とされています。一方、黄色の織物は5万円前後まで査定が上がることがあります。
「どの作家が作ったのか」も査定額を決定する重要なポイントです。八丈島の「めゆ工房」で製作された本場黄八丈は人気が高く、相場よりも1割から2割程度高い査定額が提示されることが多くなっています。
本場久米島紬
「本場久米島紬」は、沖縄県の久米島周辺で作られている着物のことです。グールなど、久米島原産の染料を使うことで独自の雰囲気を持った織物を生産することに成功しています。
久米島では14世紀ごろから織物業が盛んに行なわれており、中国やアジア各国との交易に利用されていました。17世紀になって養蚕が伝わってきたことで、紬の生産が活発になって行きました。
買取相場はどれくらい?
本場久米島紬はバリエーションが多いため、買取価格も数千円から3万円程度とかなり開きがあります。高値の査定を狙うのであれば、購入時の箱および証紙を揃えておくのが無難でしょう。
本場久米島紬の中で圧倒的な人気を誇るのが「ゆうな染め」です。ゆうなの木から抽出した染料を使って染め上げた織物は鮮やかさと深みを感じさせる色合いになっており、平均買取価格も5万円以上という高水準になっています。
有名作家一覧
着物の製作を精力的に行なっている作家は全国に数多くいます。その中には「人間国宝」として認定された人もいれば、国からの認定は受けていないものの大変美しい作品を作ることで広く知られている人もいます。
では、25人の著名な作家を取り上げて、その人物像と主な技法などをご紹介しましょう。また、「友禅作家」「染色作家」「刺繍作家」のいずれに分類されるのか、という点に関してもご説明いたします。
由水十久
(出典:着物リサイクルかないやHP)
由水十久氏は、加賀友禅を代表する友禅作家です。初代・由水十久は昭和63年に亡くなり、現在は息子である2代目が石川県の金沢市にある工房で日々新たな作品作りを行なっています。
初代・由水十久が友禅作家に向けて修行を始めたのは昭和2年のことです。古都・金沢で加賀友禅の職人として腕を磨き、昭和52年には「伝統工芸士」としての認定を受けることになります。
初代・由水十久の作品で多く見られるのは「人物画」です。友禅では表現が難しいとされる人の姿や童子模様を鮮やかに描き出しています。加賀五彩を使った加賀友禅らしい華やかさが特徴的です。
買取相場はどれくらい?
由水十久の着物を売却しようとする場合、平均的な買取相場は購入価格の5%から10%程度で、3万円から5万円前後で取引されています。
ただし、着物の保存状態が良く、人気の高い童子模様であれば、10万円を超える買取価格が提示されるケースが多々見られています。
久保田一竹
(出典:久保田一竹美術館HP)
久保田一竹氏は、1931年より染色作家としての活動を始め、1961年に「辻が花染め」という染色法を発表して注目を集めました。ヨーロッパの各都市およびアメリカやカナダで精力的に個展を開いたことでも知られています。
たぐいまれな才能を持つ染色作家としてだけでなく、1990年にはフランスの文化勲章を受賞するなど、着物の染色技術を国際的なレベルにまで引き上げることに成功した功労者としても広く知られています。
久保田氏の技法は現在「一竹辻が花染め」として知られています。この技法では縮緬の絹糸を使用していることや化学染料を用いていることなどの特徴があります。
買取相場はどれくらい?
久保田一竹氏が手掛けた着物の中には「国宝級」と呼ばれるものが幾つもあります。
一方、「辻が花染め」の一般的な訪問着であれば、買取価格の相場は10万円から15万円程度でしょう。証紙がないともう少し査定額が下がる可能性があります。
木村雨山
(出典:石川県立美術館HP)
木村雨山氏は、大正および昭和を代表する加賀友禅の職人であり、1955年には友禅作家として「人間国宝」の指定を受けています。
描線と彩色の過程において独自のスタイルを考案することにより、加賀友禅と京友禅の違いを確立することに成功しました。
木村雨山氏が手掛けた着物はいずれも日本画で培った繊細で巧みなデザインが特徴的とされています。また、自然の美しさを際立たせる色使いも高い評価を受け、多くの展覧会で最高評価を獲得しました。
木村雨山氏の作品には「ぼかし」という手法が頻繁に用いられています。加えて色彩のバランスが巧みであるため、優しい雰囲気の中にはっきりとした自然美が浮かび上がります。
買取相場はどれくらい?
木村氏の着物買取は購入価格の1割ないし2割前後が平均的な相場とされており、留袖や振り袖は6万円から8万円程度で買い取りがされています。
ただし、帯とセットになっていると買取額が大幅にアップすることがあります。
喜多川平朗
(出典:日本工芸会「喜多川平郎」)
喜多川平朗氏は、昭和を代表する染色作家であり、「羅」と呼ばれる古代織物の技術を復刻したことで「人間国宝」としての認定を受けました。
天皇家で用いられている「有職織物」の製作を担当したことでも知られています。
西陣織の老舗織元である「俵屋」の17代目であった喜多川平朗氏は、若い時から日本画や染色技術および織物の技巧を積極的に学び、徐々に名声を高めていきます。とはいえ、全国的に知られるようになったのは終戦後とされています。
喜多川平朗氏の手掛けた着物は「美しい紋様」が特徴的です。薄い絹織物に規則正しく配列された幾何学模様は見事の一言です。また、日本画の技術を生かした優雅な作品も数多くあります。
買取相場はどれくらい?
喜多川平朗氏の着物を買取してもらう場合、平均的な買取相場は7万円から15万円程度とされています。
ただし、証紙が付いていない場合には3万円程度の査定額が提示されるケースもあります。
小宮康孝
(出典:日本工芸会「小宮康孝」)
小宮康孝氏は、江戸小紋を代表する染色作家として知られており、1978年には「人間国宝」としての認定を受けています。「江戸小紋」という表現は、小宮氏が「他の小紋との差別化」という理由から用いるようになりました。
小宮康孝氏は質の高い染料や型紙を大変重要視した職人として知られており、特に古い型紙の収集に尽力しました。落ち着いた色合いで染め上げられた着物は現在でも高い人気を誇っています。
小宮氏が手掛けた小紋の特徴は「遠目から見るとほぼ無地、近くから見ると美しい紋様が際立つ」というものです。中でも、菊の花を美しくちりばめた江戸小紋は人気を集めています。
買取相場はどれくらい?
小宮康孝氏の江戸小紋は大変人気があるため、中古であっても買取価格は購入価格の2割前後、10万円から15万円程度とされています。
虫食いや傷などが無く、証紙がきちんと保存されていればさらに高い査定額を提示されることもあるでしょう。
玉那覇有公
(出典:日本工芸会「玉那覇有公」)
玉那覇有公氏は沖縄出身の沖縄紅型職人です。巧みな染色技術が国内外から評価されており、1996年には染色作家として沖縄紅型では初めて「人間国宝」の認定を受けました。
もともとは鉄工所で働いていたものの、沖縄紅型の復興活動に感銘を受けて、昭和36年から職人として働くようになりました。
古典的な沖縄紅型の製法を学んだ後にオリジナルの「両面染め」という技法を編み出して注目を浴びました。
「二枚異型」という独自の製法で着物を両面から染めていく技法は長年の職人でも習得が非常に難しく、現在では全国で玉那覇有公氏のみが実践できるとされています。
買取相場はどれくらい?
玉那覇有公氏が手掛けた沖縄紅型・両面染めの買取価格は平均すると購入価格の1割前後で、8万円から12万円程度とされています。
美しい紋様が汚れやしみのない状態で保存されていれば、10万円以上で買い取ってもらえる可能性が非常に高くなるでしょう。
柿本市郎
(出典:特選きものコレクション「柿本市郎作 本加賀友禅色留袖」)
柿本市郎氏は、現代の加賀友禅を代表する友禅作家の1人です。仕事に対する実直な姿勢と落ち着きを感じさせる作風が注目を浴びており、各種メディアで取り上げられることもあります。
柿本市郎氏は高校卒業後すぐに友禅作家としての歩みをスタートさせました。人間国宝である木村雨山氏の薫陶を受けたことでも知られています。「加賀五彩」と呼ばれる5つの色を巧みに使用して雅やかな友禅を作り続けている職人です。
柿本市郎氏が手掛ける着物はどれも色鮮やかでありながら華美ではないため、どの年代の女性でも安心して着用することができます。一方で、大変モダンなデザインを取りいれた作品もあり、柿本氏のスタイルが進化し続けている事が分かります。
買取相場はどれくらい?
柿本市郎氏の着物は愛好者が多く、常に買い取りの需要があります。
本加賀友禅の留袖や振り袖は、証紙付きで8万円から13万円程度が買取相場となっています。
上野為二
(出典:日本工芸会「上野為二」)
上野為二氏は、友禅作りを手掛ける職人の中で初めて「人間国宝」として認定された作家として知られています。京友禅と加賀友禅それぞれの技法を学び、そこから「京加賀」という独自の世界観を作り上げた友禅作家です。
上野為二氏は若い時から日本画と洋画の指導を受け、その後そこから友禅の職人として技術を学んでいきました。そのため、図柄の構成や色使いのバランスが絶妙です。
友禅の古典的な技法を後代に受け継ぐため並々ならぬ努力を払ったことでも有名です。
上野為二氏が手掛けた着物の際立った特徴は「芸術性の高さ」です。美しい振袖や留袖の中には、「芸術作品」として鑑賞用に購入されたものもあるほどです。
買取相場はどれくらい?
上野為二氏の製作した着物は5万円から10万円程度で買取が行われています。
ただし、代表的な京加賀本友禅の中には30万円から50万円という査定額が提示されるケースもあります。
与那嶺貞
(出典:日本工芸会「与那嶺貞」)
与那嶺貞氏は沖縄の伝統的織物である「読谷山花織」の製作を手掛けた昭和を代表する染色作家です。1999年には「人間国宝」としての認定を受けました。
沖縄県読谷で生を受けた与那嶺貞氏は、教師や保育士の仕事をしながら織物製作を行なっていました。55歳を迎えた時、「読谷山花織」の復元を依頼され、およそ3年の歳月を経てこの技法を復興させることに成功しました。
与那嶺貞氏の作品はヤマモモなど沖縄原産の染料を使用して美しく染め上げられています。加えて、黄色や緑色の糸で刺繍を施されており、優しい雰囲気が伝わってきます。
買取相場はどれくらい?
与那嶺貞氏が製作した着物は人気が高く、購入価格の1割から2割程度が買い取りの相場となっています。
中でも深い緑色や青色に染め上げられた読谷山花織は需要が大きく、状態が良いものに関しては10万円を超える査定額を提示されることも珍しくありません。
中村勝馬
(出典:日本工芸会「中村勝馬」)
中村勝馬氏は大正および昭和を代表する友禅作家であり、1955年には「人間国宝」としての認定を受けています。友禅作家の中では珍しかった「落款」の使用を始めた、ということでも知られています。
中村勝馬氏は学生時代に日本画を学び、大正2年からは友禅作家である増山隆方氏のもとで研さんを積みました。やがて松坂屋専属の作家として名をはせるようになり、東京友禅の職人として確固たる地位を獲得することになります。
中村勝馬氏が製作した友禅は動きのあるデザインと、品を感じさせる色使いで人気を集めています。また、左右非対称の図柄を使った着物も多く作成しており、東京友禅の新しい時代を作ったとされています。
買取相場はどれくらい?
中村勝馬氏が手掛けた着物は大変貴重なものとされており、高値で取引が行われています。
一般的な着物は8万円前後で買い取りされています。ただし、状態の良い黒留袖などは20万円以上の査定額が付くこともあります。
北村武資
(出典:日本工芸会「北村武資」)
北村武資氏は「羅」と「経錦」という2つの技法に関して「人間国宝」の認定を受けている織物作家です。友禅作家としてだけでなく、刺繍作家としても高い技能を持っています。
北村武資氏は中学卒業後、西陣織の織元で研さんを積んでいきます。とはいえ、特定の個人に師事することはせず、ほぼ独学で織物の技法を学んでいったことから、「革新的な存在」とみなされるようになりました。
北村武資氏の着物が持つ特徴は「立体的な紋様」です。高度な技術で織り込まれたきめ細やかな紋様と心地よい触り心地、高級感が溢れる色使いで多くの着物ファンを魅了し続けています。
買取相場はどれくらい?
北村武資氏の着物は数があまり多くないため、希少価値が高く、平均的な買取相場は15万円から20万円と大変高額になっています。
美しい帯とセットになっている場合には50万円前後の査定額が提示されることもあります。
古賀フミ
(出典:日本工芸会「古賀フミ」)
古賀フミ氏は、重要無形文化財に指定されている「佐賀錦」の作家として「人間国宝」に認定された染色作家です。
古賀フミ氏はわずか5歳の時から佐賀錦の技法を学び始めます。その後東京に移住してからも、佐賀錦の技法を生かしつつ、そこに独自のエッセンスを加えながら作品作りに励みました。人間国宝に認定されたのは1994年のことです。
佐賀錦は絹生地に和紙や金箔などを組み合わせて艶やかな作品に仕上げるのが一般的です。一方、古賀フミ氏の作品は華美になりやすい金箔をあまり使わず、品の良い織り方によって美しさを表現しています。
買取相場はどれくらい?
古賀フミ氏が手掛けた佐賀錦の着物は3万円から8万円程度が買取相場となっています。
ただし、帯がセットになっているものは需要が非常に大きく、10万円から20万円前後の価格が付けられることもあります。
宗廣力三
(出典:日本工芸会「宗廣力三」)
宗廣力三氏は、廃れつつあった郡上紬の技法保全と発展に尽力したことで知られる、昭和を代表する染色作家です。1982年には「人間国宝」としての認定を受けました。
もともと開拓農民の援助を行なっていた宗廣力三氏は、1953年に郡上紬の保全を目的として「群上工芸研究所」を創設します。宗廣氏の作品は「日本伝統工芸展覧会」において高い評価を受けたことで全国的な知名度を獲得していきました。
宗廣力三氏の作品は美しい幾何学模様と鮮やかに染め上げられた生地が特徴となっています。「どぼんこ染め」と呼ばれる染色法は宗廣氏独自のもので、一般的な絣にはない風合いを作り出しています。
買取相場はどれくらい?
宗廣力三氏が手掛けた素朴で可憐な着物は人気が高く、中には1着100万円を超えるものもあります。とはいえ、平均的な買い取り価格は、証紙付きで7万円から10万円程度となっています。
羽田登喜男
(出典:日本工芸会「羽田登喜男」)
羽田登喜男氏は、加賀友禅と京友禅を組み合わせた独自の世界観を構築したことで知られる友禅作家です。花鳥風月をテーマにした作品が多いことでも知られています。
羽田登喜男氏は14歳の時に地元である石川県金沢で友禅作家としてのキャリアをスタートします。20歳になると、京都へ居を移して京友禅の技巧を学び、めきめきと頭角を現していきます。1988年には「人間国宝」としての認定を受けました。
羽田登喜男氏の作品には、京友禅の持つ艶やかさと加賀友禅の持つ凛とした美しさが見事に調和しています。また、木々に宿る可愛らしい鴛鴦を描いた作品を多く手掛けたことで広く知られています。
買取相場はどれくらい?
羽田登喜男の着物は芸術作品としての評価が高く、状態が良いものであれば買取相場は15万円から20万円前後が一般的です。
ただし、鴛鴦が描かれている作品は50万円を超えることもあります。
山田貢
(出典:日本工芸会「山田貢」)
山田貢氏は、大正および昭和を代表する友禅作家です。「網干文」や「巴文」など、自然にある風景を模写した作品を多く手掛けたことで知られています。1984年には「人間国宝」としての認定を受けました。
山田貢氏が友禅作家としての歩みを始めたのは14歳の時で、中村勝馬氏の指導を受けながら技法を学んでいきました。確かな写生技術と巧みな色使いで評価を高め、数多くの展覧会で入賞を果たしました。
山田貢氏の作品は「繊細な配色」と「力強い構図」が特色です。デザイン性が非常に高く、着物を身にまとった時のことをイメージして図柄が配置されている、というのも特徴です。
買取相場はどれくらい?
山田貢氏の着物は素朴かつ優美なデザインで人気を博しています。買取相場は9万円から15万円前後とされています。
ただし、松や麦の穂など代表的な図柄が入っている場合はさらに買い取り額がアップすることがあります。
平良敏子
(出典:日本工芸会「平良敏子」)
平良敏子氏は、沖縄の伝統織物である「芭蕉布」の製作で知られる染色作家です。芭蕉布の技法保存に尽力したことでも有名であり、2000年には「人間国宝」としての認定を受けています。
沖縄県の大宜味村で生を受けた平良敏子氏は、小学校卒業後に母親から絹織物の指導を受け、やがて岡山で本格的に織物を学びます。その後沖縄に戻って芭蕉布の織物工房を開き、長年に渡って技法の保全と発展に多大なる貢献をしています。
平良敏子氏の手掛ける着物は、マンゴーや琉球藍といった沖縄特有の染料を使っているため独特の優しい風合いがあります。また、糸芭蕉の持つ自然味も着物の自然な美しさに貢献しています。
買取相場はどれくらい?
平良敏子氏の作品は芸術作品としても注目されています。
市場に流通している数が少ないため、買い取り価格は非常に高く、「花織」などは20万円から30万円前後の査定額が提示されることも珍しくありません。
志村ふくみ
(出典:日本工芸会「志村ふくみ」)
志村ふくみ氏は、草木染めを利用した紬織技法で知られる染色作家です。芸術的な作品作りが高く評価されており、1990年には「人間国宝」としての認定を受けました。
志村ふくみ氏が染色作家としての歩みをスタートさせたのは31歳の時です。2年後の1957年には日本伝統工芸展で入選を果たします。1968年には京都に工房を持つようになり、それ以降長年に渡って織物の発展と後進の指導に尽力しています。
志村ふくみ氏は野草などから抽出した自然の染料で丁寧に生地を染め上げることで知られており、今日に至るまで淡くて優しい色使いと革新的なデザインを両立させた作品を生み出し続けています。
買取相場はどれくらい?
志村ふくみ氏の製作した着物は流通数が非常に少ないため、買い取り価格もかなり高額です。
保存状態が良く、生地の染め色が綺麗に保たれているものであれば50万円を上回る査定額が提示されるケースもあります。
森口華弘
(出典:日本工芸会「森口華弘」)
森口華弘氏は「蒔糊技法」を友禅作りへ大々的に取り入れたことで知られる友禅作家です。昭和初期を代表する作家であり、1967年には「人間国宝」としての認定を受けました。
森口華弘氏が友禅作りを学び始めたのは15歳のときです。1939年に独立して自分の工房を持つようになり、日本画の技術を生かした大胆な構図で創造性に溢れる友禅を数多く制作しました。
森口華弘氏は「蒔糊技法」を用いた着物作りが有名です。砕いた餅粉を生地の上に振りかけてから染色を行なうというもので、漆器作りの技法である蒔絵から着想を得たとされています。
買取相場はどれくらい?
森口華弘氏の作品は7万円から10万円程度が買取相場とされています。
ただし、「蒔糊技法」を用いた作品は流通数が少ないため、30万円前後まで査定額が上がることもあります。
田島比呂子
(出典:日本工芸会「田島比呂子」)
田島比呂子氏は、伝統的であることが重要視されていた東京友禅にモダンなスタイルを融合させたことで知られる友禅作家です。1999年には「人間国宝」としての認定を受けています。
田島比呂子氏は14歳で友禅作家としての経歴をスタートさせました。1954年に自分の工房を持つと、その5年後には日本伝統工芸展で入選を果たします。芸術性が高く繊細な友禅作りで多くの人から愛される作品を数多く作りました。
田島比呂子氏の際立った技法は「堰出し友禅」です。糊や蝋を使って染色の範囲を細かく分けることにより、大胆かつ独創的な色使いをした着物を製作することに成功しました。
買取相場はどれくらい?
田島比呂子氏の作品は愛好家が非常に多く、中古でも買い取り価格には高値が付けられています。「堰出し友禅」で状態が良いものであれば、購入価格の2割前後、15万円から20万円程度が査定額となっています。
青木滋芳
青木滋芳氏は、千葉県を活動拠点として数多くの作品を生み出した、昭和時代を代表する染色作家です。日展の審査員としても長年活躍し、1982年には紺綬褒章を授与されています。
東京の四谷で生を受けた青木滋芳氏は、1938年に東京美術学校を卒業後、染色作家としてのキャリアをスタートさせます。着物だけでなく、屏風や衝立などさまざまなタイプの芸術作品を生み出し続けました。
青木滋芳氏の手掛けた着物は確かな技術と独創性に溢れた作品が数多く見られています。巧みな色使いにより、美しい自然をダイナミックに表現した作品は見る人を魅了しています。
買取相場はどれくらい?
青木滋芳氏が製作した着物は流通数が非常に少ないのが現状です。買取相場は購入価格の1割前後、5万円から10万円程度が一般的とされています。
ただし、保存状態が良くないものになると、5%前後まで下がるケースもあるので注意が必要です。
川島甚兵衛
川島甚兵衛氏は、京都の老舗西陣織元「川島織物」の主人であり、明治を代表する刺繍作家でもあります。雅な京友禅にヨーロッパのエッセンスを取り入れたことでも知られています。
1853年に生まれた川島甚兵衛氏は、24歳で家業である織元を継ぎます。1886年にはヨーロッパへ渡り、フランスの伝統的な織物である「ゴブラン織」を学びます。
帰国後は織物に関する新たなアイデアを西陣織と融合させることで新たな世界観を構築しました。
川島甚兵衛氏の作品にはヨーロッパの影響が色濃く表れており、特に色糸の使い方が秀逸とされています。「唐織り」や「綴れ錦」などの代表的な作品にも色使いの妙と独自性がよく表れています。
買取相場はどれくらい?
川島甚兵衛氏が作り上げた着物で現在流通しているものは非常に少なくなっています。
その希少性から、唐織りなど明治以降の作品では買い取り価格が50万円を上回るケースが多く見られます。
伊達弥助
伊達弥助氏は、京都にある西陣織の老舗「井筒屋」の主人であり、明治を代表する刺繍作家としても知られています。
伊達弥助氏は父からヨーロッパの織物と京友禅に関する英才教育を受けて育ちました。加えて、日本画や西陣織の緻密な技術を学ぶことにより、作家としての素養がさらに培われていきました。
1876年に井筒屋を継いだ後は、積極的に作品の創作を行なうようになります。
伊達弥助氏の技法は「幽谷織」と呼ばれるもので、日本の伝統的な織物技法を基に彼自身が生み出したものです。この技法を用いることにより、精巧で質の高い織物を数多く世に送り出すことに成功しました。
買取相場はどれくらい?
伊達弥助氏が手掛けた着物は丈夫で美しいことから需要が大変大きい反面、ほとんど市場には出回っていません。
とりわけ「幽谷織」の買取相場は非常に高く、50万円以上が提示されるケースも見られています。
北出与三郎
(出典:丹裳会「北出与三郎」)
北出与三郎氏は京友禅を代表する作家としてだけでなく、皇室に作品を献上している事でも広く知られています。皇族の結婚式では幾度も御紋服を提供していることは、たぐいまれなる技巧の持ち主であることを実証しています。
油絵を専攻していた北出与三郎氏は、卒業後に友禅作家としてのキャリアをスタートさせます。21歳の時には皇后陛下の御紋服製作に携わり、以降園遊会などさまざまな機会に皇族のための着物を製作しています。
北出与三郎氏の考案した技法は「伊勢榊染め」です。これは榊の葉から抽出した染色料で生地を染め上げるというもので、「北出カラー」と呼ばれる深く落ち着いた色合いが人気を博しています。
買取相場はどれくらい?
北出与三郎氏が手掛けた着物は非常に人気が高く、買い取り価格は購入価格の2割から3割程度が一般的です。
20万円の訪問着であれば、保存状態に応じて4万円から5万5,000円前後で取引されるでしょう。
松井青々
(出典:丹裳会「三代目松井青々」HP)
松井青々氏は京都を代表する友禅作家です。初代および2代目の松井青々氏はどちらも昭和を代表する作品を数多く作り上げました。現在では3代目・松井青々氏が新しい世界観で美しい友禅を作り続けています。
初代・松井青々氏は1914年から友禅作家として研さんを積み、通産大臣賞を始めとしてさまざまな表彰を受けました。息子である2代目は日本画家として経験を積んだ後に友禅作家として華々しい活躍を遂げることになります。
松井青々氏が手掛ける作品の特徴は独自の染料を使用した「たたき染め」です。基本的な技法で艶やかな色合いを作り出す技術は「青々調」と呼ばれて高く評価されています。
買取相場はどれくらい?
松井青々氏の手掛けた作品は初代・2代目ともに人気が高く、買い取りの需要は常にあります。平均的な買取相場は7万円から15万円前後となっています。
ただし、状態の良い留袖や振り袖はさらに高い査定額になることもあります。
伝統工芸士の着物の相場と条件
「伝統工芸士」とは、一般財団法人である「伝統的工芸品産業振興協会」により認定を受けた職人のことです。長年に渡って特定の伝統工芸業に従事しており、高度な技術を有していることが確証された人のことです。
認定を受けた人はホームページでプロフィールが紹介されており、着物の証紙には認定のことが記載されています。当然伝統工芸士の作る着物は人気が高く、販売および買取の価格も一般的な着物の相場より高くなります。
とはいえ、着物の価格は作者だけでなく、絵柄やデザイン、色合いなども大きく影響します。そのため、中には1万円前後で取引されているものもあるということを覚えておきましょう。
受験資格のハードルが高い
伝統工芸士の資格は認定資格であるとはいえ、誰でも簡単に得られる、というものではありません。1つ目の条件として「伝統工芸品の製造に従事していること」が求められています。知識や経験がまったくない人では受験資格を得ることすらできません。
2つ目は「豊富な実務経験があること」です。少なくとも12年以上、製作現場で実務に携わっている事が求められています。受験資格を得る上でこの条件を満たすことが最も難しいとされています。
3つ目は「伝統工芸品の産地に居住していること」です。地域と密着して生産活動に取り組んでいることが明らかでなければならないのです。
人間国宝よりも格は下がる
伝統工芸士の資格を持っていると、着物の製作において国からの補助金を受けることができます。また、製作した着物の証紙には伝統工芸士の認定資格について記載がされます。
とはいえ、「人間国宝」として認定されている作者と比較すると、格付けは劣ると言わざるを得ないでしょう。知名度の点でも大きく下がるので、販売価格および買取価格が非常に高値となるということはあまり多くありません。
伝統工芸士の着物を売却する場合、買取価格は1万円前後からとなっています。ただし、使用されている生地が高級であったり、デザインの人気が非常に高かったりする場合は、もっと高い査定額が付くこともあります。
伝統工芸品と作家物の着物で高額査定を出す4つのコツ
大切に保管してきた着物を何らかの事情で売りに出すということは起こり得ます。もし売却しようと考えている着物が伝統工芸品もしくは作家物であるなら、高額で買取をしてもらえる可能性があります。
高額査定を出すためのポイントは以下の4つあります。
- 良い保存状態であること
- 証紙を添付すること
- リサイクルショップを避けること
- 一括査定を利用すること
着物の中には家族で代々受け継がれてきたものが少なくありません。ですから、正しく価値を評価してもらえる業者を探すと同時に、自分である程度の買取相場をチェックしておくことも有効でしょう。
良い保存状態
着物をできるだけ高値で買い取ってほしいのであれば、保存状態を良いものにしておくことは肝要です。一見して分かるような汚れがあったり、シミがあったりすると、査定金額は大幅に低くなってしまうので注意が必要です。
着物を保存する上で問題になるのは「湿気」です。着物に使用されている絹は湿気がある場所に置かれているとすぐにカビが生えてしまったり、虫が食ってしまったりするのです。
そこで大切なのは「風通しの良い場所に保管すること」です。直射日光が当たる場所は避け、定期的にタンスから取り出して風通しの良い場所に干しておくことで湿気によるトラブルを回避しやすくなるでしょう。
証紙を付ける
着物を購入すると「証紙」というものが付いてきます。この証紙には「生産地」や「織り元」、「作者」や「着物の種類」などが明記されており、着物の品質を保証する証明書と言えるものです。
「伝統工芸品」の認定制度が始まってからは、着物の証紙にも伝統工芸品のマークが記載されるようになりました。このマークがあることで、買取手続きがよりスムーズに進むはずです。
証紙に対する信頼度は非常に高いため、着物と証紙を揃えて買取を依頼すると、買取相場よりも高い査定金額が提示されることがあります。ですから、着物の売却を考えているなら、査定をする前に証紙を見つけておきましょう。
ネットオークションやリサイクルショップで高額査定は不可能
着物を売却する時には「価値が分かる人に査定を依頼する」ということが必須となります。ネットオークションでは着物の価値をきちんと評価できる人が多くないため、買取相場よりもかなり低い査定額を提示される可能性があります。
リサイクルショップでは持ち込み数が多い家具や家電品に関して詳しい店員が多い一方で、着物や骨とう品などに関しては価値が分からないというケースが多く見られます。
証紙を持っていったり、作者名を伝えたりしていも価値が分かってもらえない、ということが起こり得ます。ですから、ネットオークションやリサイクルショップの利用は避けるのが賢明です。
作家物の着物買取ならおすすめは着物買取サービス
作家物の着物を所有しているなら、高額買取が期待できます。そこで便利なのが「インターネットの着物買取サービス」です。
「インターネットならオークションと同じなのでは」と不安に感じる人もいるでしょう。とはいえ、買取サービスを運営しているのは大抵豊富な経験を持つプロの査定員のため、適切な評価額の提示が期待できます。
「買取の価格を少しでもアップさせたい」という人は、複数の買取業者に依頼をして相見積もりをしてもらうと良いでしょう。複数の意見を聞くことによって、「安すぎる値段で売却して後悔する」という事態を避けることができるはずです。
目利きのプロ(着物査定員)なら一桁以上査定額が上がる可能性も
着物の買取業者を選定する時には、「どんな人が査定をしているのか」についてもきちんと確認しましょう。ほとんど知識や経験がない人とベテラン査定員とでは査定額が一桁以上異なる、というケースもあります。
大手の着物買取専門店では、豊富な経験を持つ着物査定員と契約をしています。着物のブランドや伝統工芸品に関する情報、あるいは作家物に関する深い造詣を持つ目利きのプロなので、適切な査定額を比較的短時間で提示してくれるでしょう。
ですから、買取を依頼する際には着物査定員の経歴などを尋ねてみると良いでしょう。買取に自信があるお店であれば、嫌な顔をせず説明してくれるはずです。
着物を高く売るなら買取専門業者『バイセル』がおすすめ!
家にある着物をどこに査定依頼すれば高く売れるのでしょうか。まだ売るかわからないけど「値段だけ知りたい!」という方もいるでしょう。
そんなあなたには、筆者も何度も利用し、最も正確かつ高値で買取が可能な着物買取専門業者の『バイセル』がおすすめです。
お住まいの地域にもよりますが最短で30分の出張査定をしていて、あっという間に不要な着物を買い取ってもらえます。
プロの査定員が目の前で丁寧に査定してくれるので安心ですし、その場で適正な買取相場もわかります。対応も問題なくアフターフォローまで万全の体制です。さすが大手だといった印象です。
- プロの査定員を全国各地に配置(即日対応)
- 自宅完結の出張査定あり(出張費・査定料無料)
- 独自の販売ルートがあり高価買取可能(即日現金払い可)
- 査定後のキャンセルも当然ながら無料
- どんな状態(汚れや古いもの)でも無料査定
- 依頼者が女性の場合は女性の査定員を指名可
挙げるとキリがないですが、正直なところ、着物買取業者の中でここまで徹底したサービスをしているのはバイセルだけです。
もし、他店の方が買取・査定価格が高い場合、損をした気持ちになりますがバイセルなら「他店より1円でも安ければ全品返却」なので安心です。
「値段だけ知りたい!」でも問題なく対応してもらえます。着物の価値が高騰している今だからこそ、査定してもらう価値があると思います。
お家に眠っている着物があるなら、買取時期が遅れて損しないためにも、バイセルで正確な査定をしてもらいましょう。
(※1点でもOK!電話相談も可能)
まとめ
着物が持つ価値を決める要素となるのは、「良い素材や染料を使っているかどうか」に限りません。「伝統工芸品であるか」や「作家物であるか」といった点も大きく影響してきます。
「伝統工芸品」とは、日本の伝統技法を守り続けている工芸品の中で、経済産業大臣からの認可を受けたものを指します。一方、「作家物」という表現は、人間国宝など著名な人物が製作を手掛けたものを指して用いられています。
「所有している着物を買い取ってほしい」という時には、着物の種類を確認することが大切です。「加賀友禅」や「大島紬」など、全国的に知られた種類の着物であれば、かなり高値で買い取ってもらうことが可能となります。
着物製作者のチェックも大切
着物の製作者をチェックすることも肝要です。「人間国宝」に指定された作家の作品であれば、購入価格の2割以上で買い取ってもらうことも可能でしょう。
また、人気が高く中古販売の流通量が少ない場合も高値で買い取りをしてもらえる可能性がアップします。
買い取り手続きをスムーズに進めるためには、所有している着物に関して事前に情報を調べておくことに加え、購入時の箱と品質を保証する「証紙」を準備しておくと良いでしょう。そうすることで、適切な査定額を引き出しやすくなるはずです。