帯揚げとは帯を美しく見せる小物!4つの種類&結び方・帯揚げの選び方
和装小物には様々な種類のものがあり、帯揚げもその1つになります。もともと帯紐や帯枕を隠す目的で使われていたものですが、現代では着物のコーディネートに彩りを添える小物として使われているアイテムです。
帯揚げの色や素材によっては、着物全体の雰囲気も変わります。そんな帯揚げについて詳しく調べていきましょう。
小物ではあるのですが、実はTPOに合わせた使い分けも必要になるので、知っておいて損にはなりません。
帯揚げとは?帯の形を美しく見せてくれる小物
最初に帯揚げとはなにかから確認しておきます。帯揚げとは帯の上から、着物とのつなぎ目を隠すようにして巻く布のことです。
もともと帯紐などを隠すために使われていたアイテムだったのですが、現代では装飾品の1つとして使われます。そのため実は必ずつけなければいけない、というアイテムでもないのです。
- 振り袖
- 訪問着
などのような華やかなシーンで使う着物であれば、帯揚げを使うことによってより豪華な印象を与えることができます。
ですが半幅帯を使うようなカジュアルなシーンだと、帯揚げをつけない方が良い印象になることもあるのです。ですのでどういったシーンで着物を着るのか、それによってつけるつけないを判断していくといいでしょう。
帯揚げの歴史
帯揚げのような和装小物は古くから使われてきたとイメージしがちですが、実際には歴史が浅いケースも少なくありません。帯揚げもその1つで、登場したのは江戸時代の末期だと言われているのです。
この時期に深川の芸者が太鼓結びを発案しています。この太鼓結びに欠かせないのが、形を整えるための帯枕です。
ただ帯枕が見えているのは、あまり見た目によろしくありません。そこで帯枕を隠し、帯を支えるという目的で帯揚げは発案されたのだろうと推測されます。
現代に残っている錦絵などの記述から、芸者が使う小物ではなく大衆化したのが明治10年頃だと考えられているのです。実際に新聞広告などで残っているもので言えば、明治40年頃になります。
帯揚げに使われる種類は『4種類』
帯揚げには様々な素材が使われています。ただ素材によって格式が違ってくることはありません。ですが実際には着物を着るシーンによって、使い分けられていると考えてください。ここでは4つの種類について解説します。
- 絞り
- 綸子
- 縮緬
- 絽・紗
絞りは生地そのものに凹凸があるような素材です。ふわふわとしていて豪華なイメージがあるため、成人式に着る振り袖や未婚女性の礼装などに使われることが多い素材です。
綸子は光沢感があり、落ち着いた印象の素材になります。そのため冠婚葬祭などでよく使われる素材です。縮緬はシボという独特の凹凸がある生地です。
やわらかい印象があるのですが、光沢がないため落ち着いた印象を持ちます。セミフォーマルから、カジュアルな装いで使われるでしょう。絽や紗は夏着物で使われるものなので、夏に使われるのが一般的です。
帯揚げの結び方
次に帯揚げの結び方についても確認しておきます。
- 帯揚げを腰に回してお腹の前で結ぶ
- この時に右側が上にくるようにする
- 左側の端を輪っかにする
- 輪にした帯揚げに右側の帯揚げを通す
- 結び目を俵型に整える
- 結び目と両端を帯と着物の間にいれる
- 全体的に整えて完成
これが帯揚げの結び方としてスタンダードな本結びです。もう1つアレンジとしては、とてもシンプルな結び方となる一文字結びを紹介しておきましょう。
- 帯揚げの端を身体の前に通す
- 帯と着物の間に押し込む
- 全体を整えて完成
漢数字の一のように真っ直ぐに横に伸ばすだけです。結び目を作らないので、とても簡単にできる結び方でしょう。
帯揚げの選び方は『3つ』
帯揚げには素材によって違いがあることを紹介しました。次にどのように帯揚げを選べばいいのかを見ていきます。素材や色などが豊富なので、何を選べばいいのかわからない人も多いでしょうから、シンプルでわかりやすい方法を紹介します。
【選び方1】着物・振袖や帯と同じ色を選ぶ
帯揚げを選ぶ時に最もシンプルな方法が、着物や振袖、帯と同じ色にすることです。まったく同じではなく、同系色と考えてください。この選び方はシンプルながらも、着物と帯揚げに統一感が出るのが特徴です。
- 品の良い印象を与える
- 着物が濃い色だと帯揚げは少し薄めを選ぶ
基本的に振り袖は単色ではなく、多彩な色が使われています。ですので同系色でまとめておけば、大きく外すことはありません。また濃い色の使われた着物の場合は、同系色で少し薄い色を選んでください。
同じ同系色で統一感を出しながらも、帯揚げの存在を主張できます。こうした選び方は初心者でもできることなので、帯揚げ選びに迷った時はこのシンプルな方法だけを覚えておくと便利です。
【選び方2】着物・振袖や帯と違う色を選ぶ
先程挙げたシンプルな方法は、着物や帯と同系色の帯揚げを選ぶことでした。この逆に着物や振袖にない色を選ぶというのも、1つの方法になります。
- 差し色として使う
- 上手に使えば雰囲気を変えることができる
などのようなメリットがあります。基本的には補色と呼ばれる考え方で間違いありません。帯揚げに補色を使うことによって、全体的に締まった印象を与えられるでしょう。例えば以下のような方法があります。
- 着物や帯の色が薄めなら濃い色の帯揚げを使う
- 着物や帯と反対色を使うと個性的な印象になる
- ビビットカラーだと若々しく見える
色の関係はセンスなどもあるので、初心者の人にとっては難しいかもしれません。ですがセンスの良い上級者の人なら、上手に使いこなすことができるでしょう。
【選び方3】帯締めや重ね襟・半襟の色と合わせる
もう1つ帯揚げを選ぶ時の代表的な方法は、着物や帯ではなく帯締めや重ね衿などの色と合わせる方法です。帯締めなどのアイテムは帯揚げと同様に、着物全体のアクセントとして活用します。
こうしたアクセントを同系色で統一することによって、小物の方を目立たせることができるのです。またあまりこの方法を選択する人は少ないので、他の人とは違う個性的な印象を与えることもできるでしょう。
ちなみに帯締めなどの色に対して補色や、反対色を使うと大正ロマンのような装いになるでしょう。ただ失敗したくないのなら、同系色で統一しておくといいです。
TPOに合わせて帯締めを選ぶ方法もある
帯揚げの選び方についても解説しましたが、先述したものはデザインやカラーなどを優先した方法になります。着物はシーン別によって使える色があるので、TPOに合わせた選び方をするのも1つの方法です。
- 礼装で帯揚げを使う場合は白が一般的
- 喪服で使うことが多いのが黒無地
- 黒系統でも色柄が入っているとカジュアルに使える
- 色柄ものは普段着などのカジュアルな場面で使う
ここで1つ覚えておきたいのが礼装では使える色が限られる点です。
- 白
- 金
- 銀
この3つしか使えませんので、白が一般的によく使われるのです。普段着用としてカジュアルに利用する場合は、そうした縛りがありませんのでお好きなように選ぶといいでしょう。
まとめ
和装小物の1つである帯揚げについて確認してみました。帯揚げは太鼓結びをする時に使う、帯枕を隠したり帯を固定させるのに発案されたアイテムです。
その歴史は意外と浅く、一般的に使われるようになったのは明治時代の後半になります。
現代では帯の補助具として使われるよりも、着物全体のアクセントとしてファッションアイテムに利用されています。そのため帯揚げを選びが、自身のセンスを見せる1つの要素となっているのです。