浴衣と言えば、夏の風物詩とも言える日本の衣装です。縁日の日に女性が浴衣を着て道を歩く姿を見ると自然と気分も華やぎますが、浴衣を着るのは何も女性だけではありません。男性浴衣も密かな人気を集めています。
しかし、男性は女性に比べると衣服に頓着しない人も多いためか、せっかく浴衣を購入しても着付けの仕方がわからず着る機会を逃してしまいがちです。人に着付けをしてもらうと言うのも手ですが、どうせなら着付けの仕方を覚えると良いでしょう。
浴衣の着付けと言うと難しく思いがちですが、実のところ浴衣の着付けはそれほど難しくありません。ここでは浴衣の着付けの仕方や注意点、必要なものをご紹介していきます。
目次
浴衣の着付けに必要なアイテム6選
男性浴衣の着付けを覚える前に、まず必要なものを揃えましょう。浴衣の着付けを覚える上で必要になるアイテムは、主に6つです。(参照:初心者でも簡単男性のゆかたの着付けと帯結び | ファッション・雑貨 | NHKらいふ)
まず、当然のことながら浴衣です。近年ではポリエステルの浴衣もあり、比較的廉価で手に入れることができます。身長に合ったものを選ぶようにしましょう。そして、浴衣を留める帯は角帯か兵児帯を使う人が多いです。角帯より兵児帯の方が柔らかいと言う違いがあります。
この他、浴衣の下に着る肌着や、浴衣のえり合わせを留める腰ひも、下駄、補正用のタオルが必要になります。なお、補正用タオルは全ての人に必要と言うわけではありません。やせ形の人だと帯が安定しないため、ウェストにタオルを巻くことで結びやすくなります。
浴衣
男性の浴衣は、女性ほど模様や色に違いがあるわけではないため、「どれを選んでも同じ」と思いがちですが、そんな事はありません。自分の身体にぴったり合うものでなければ不格好に見えてしまいます。
とは言え、浴衣自体は幅広い体型をカバーすることができる衣装なので、そこまで神経質になる必要はありません。身長に合わせて、丈が足りず脚が見え過ぎたり、逆に裾が地面についてしまわないよう気を付ければ良いでしょう。
市販の浴衣は洋服と同じようにMやLでサイズ分けされていますが、一般的な体型であればMサイズで十分です。肩幅があったり、全体的にガッシリした体格をしていると言う場合はLサイズを選ぶと良いでしょう。
帯
男性用浴衣の着付けに用いる帯には、角帯と兵児帯の2種類があります。どちらを選ぶかによって材質や結び方が変わってくるので、帯を選ぶ際には気を付けましょう。
まず角帯についてですが、一般的な浴衣の着用イメージをした時に思い浮かぶのが角帯です。やや固めですがカッチリとした印象を与え、幅は8センチから10センチ程度です。腰ではなく腰骨で締めるのが特徴になります。
兵児帯は、生地が柔らかいために角帯と比べると締め付け感が緩く、帯と言うよりは布地で作った紐を腰回りに巻いていると言う印象を受けるため、角帯よりカジュアルなイメージになります。角帯と違い冠婚葬祭のような改まった場で着用することはできませんが、普段使いにはピッタリです。
肌着
「浴衣には下着をつけない」と言う意見もありますが、帯が解けるとすぐにはだけてしまう構造上、肌着は必須と言っても良いでしょう。浴衣を着用するのは主に夏ですが、下に肌着を着ることで、浴衣に汗ジミができることを防いでもくれます。
では、浴衣の下に着る肌着はどのようなものが良いのでしょうか。浴衣は胸元がはだけやすく、そこから肌着が見えていると格好悪く見えてしまいます。おすすめは通気性が良く、肌触りが良い、生地の薄い和装用肌着&ステテコです。
なお、洋服用のインナーでももちろん代用することは可能です。その場合はVネックのような襟元が深目のデザインで、色は白やグレーを選ぶようにしましょう。あまり濃い色だと、浴衣の上から肌着の色や形が透けて見えてしまいます。
腰紐
浴衣は洋服のように全面を全てボタンで留めるような作りではなく、帯が緩んでしまったり激しく動くと胸元や下半身がはだけてしまう作りのため、時間が経ってもキレイな状態をキープするためには工夫が必要になります。
腰紐は、そんな「工夫」のために必要なアイテムです。着物を着た事がある方ならば覚えがあるアイテムだと思いますが、腰紐は浴衣でも使用します。
腰紐は、前身頃を合わせた後に腰に巻き付けて結ぶことで、前身頃を固定して、はだけにくくすると言う役割があります。
日本の伝統衣装とも言える浴衣はキレイに着こなせれば粋なものですが、胸元や足元がはだけてしまうと途端にだらしない印象を受けるので、腰紐で固定してはだけにくくしましょう。
補正用タオル
浴衣は痩せている人が着ると帯が上下にずれやすいことから、恰幅の良い人の方が着やすいと言われています。とは言え、痩せている人が浴衣を着られないと言うことではありません。補正用タオルを用いることで、痩せている人でも帯をずれにくくできます。
補正用タオルとは、その名の通り体格を補正するためのタオルで、タオルなどを3つ折りにして両端に紐を縫い付け、それを腰に巻くことであえて寸胴にして帯が上下にずれにくくすると言うものです。
痩せている人が着物や浴衣を着る上では必須アイテムと言っても良いものですが、デパートなどで売っているのはあまり見掛けません。基本的には自分で作るアイテムになります。
下駄(げた)
浴衣を着こなす上で、浴衣そのものと並んで欠かすことが出来ないのが下駄の存在です。浴衣ほど目に付くわけではありませんが、洋装と同様、足元は気を抜くことができないポイントであると言えるでしょう。
男性が浴衣を着る際にはく下駄を選ぶなら、二枚歯下駄か右近下駄がおすすめです。二枚歯下駄は、一般的に知られている下駄のイメージにピッタリで、浴衣と言えば二枚歯下駄でしょう。意外にも歩きやすいのが特徴です。
対して右近下駄は、一見すると草履のような形をしています。二枚歯下駄と違い高さが無く、着地面積も広いため、下駄の裏にクッションとなるスポンジを貼ったことで、サンダルのような感覚ではけるものが多いです。
男性が一人で浴衣を簡単に着る方法
男性が一人で浴衣の着付けをするのは、なかなかハードルが高いと感じる方も多いでしょう。しかし実際のところ、浴衣の着付け自体はそれほど難しいものではありません。
浴衣は一度覚えてしまえば、一人でも簡単に着付けることができます。ここからは、男性が一人でも簡単にできる浴衣の着付け方をご紹介いたします。浴衣の着付けを覚えて、縁日の日だけでなく日頃からさらっと着こなしてみてはいかがでしょう。
浴衣を着る前の下準備をする!肌着を着る(VネックのTシャツ、ステテコをつける)
浴衣を着る上で欠かせないのが、肌着です。夏場なので肌着を着ると暑いと感じるかも知れませんが、汗をかきっぱなしにすると身体が冷えて風邪を引きやすくなりますし、せっかくの浴衣に汗ジミができてしまうので、肌着の着用をおすすめします。
浴衣の下に着る肌着ですが、上半身はVネックのTシャツやインナー、下半身はステテコが良いでしょう。
【筆者おすすめ】夏は絶対に汗をかくので速乾性が高いユニクロのAIRismがおすすめ
(画像出典:ユニクロ「AIRism」)
浴衣や着物の下に着るための肌着として和装用の肌着がありますが、年に1度着るか着ないかと言うことであれば、わざわざ専用の下着を買うのも勿体ない気がします。筆者のおすすめはユニクロの「AIRism」です。
浴衣を着るのは夏場で、立っているだけでも汗をかく季節です。AIRismならば猛暑でもサラリとした着心地で、汗をよく吸収する上に速乾性が高いです。
肌着を着てから必要に応じてタオルで補正する
肌着を着たら、次に体型の補正を行います。体型の補正は全ての人が必要と言うわけではありませんが、痩せ形の人やウェストが細い人は補正した方が、帯が上下にズレにくくなるため、自然と着崩れがしにくくなります。
体型を補正する場合は、補正用ウェストにタオルを巻きます。便利なのはタオルの両端に紐をつけた補正用タオルですが、これはデパートや百貨店には売っていないので自作する形になります。
浴衣をはおり、背縫いを体の中心に合わせる
肌着を着て、補正用タオルで体型を補正したら、いよいよ浴衣を羽織ります。とは言え、浴衣を着る場合はまずいきなり前を合わせるわけではありません。浴衣をはおったら、まずは背縫いと裄を整えます。
背縫いとは背中の真ん中の縫い目の事で、裄とは背縫いから袖にかけてのことです。浴衣を羽織ったら、まずは両手で袖を持って左右に引くことで、裄を整えていきます。
掛けえりを揃える
背縫いを整えたら、次は掛けえりを合わせます。掛けえりとはえり部分に生地を更にのせて厚みが出ている部分のことで、浴衣や着物の着付けの時には何かと意識することが多い部位になります。
えりを首につけたまま、左右の掛けえりを揃えて持ち、そのまま腕を自然に伸ばして両手で両えりを持ちます。そのまま左右のえり先(えりの最下端)を揃えて、背縫いが背中の中心にくるよう意識し、整えていきます。
下前のえり先を腰骨にあてる
浴衣や着物を着て、前身頃を合わせた時に下になる方を下前、上になる方を上前と言います。この上前を開き、下前のえり先の腰骨にあたるようにします。
この時に気を付けたいのは、褄先は上げないことです。また、上前のえり先が右の鎖骨にくることを意識し、上前を丁寧に合わせるようにしましょう。全体的なバランスとしては、、裾がくるぶしに当たるか当たらないかと言う長さと位置がベストになります。
腰ひもを前に合わせる
次に、腰ひもの結び方についてです。腰ひもは浴衣が着崩れたり、はだけないために非常に重要になるので、しっかりと結ぶためにもポイントを押さえておきましょう。
まず、上前の右手のえり先を押さえます。左手は腰ひもの中心を持つようにしましょう。この時、上前のえり先に腰ひもをあてて、左へ流すことで浴衣が崩れにくくなります。なお、腰ひもは腰骨に当てることを意識するときれいにできます。
腰ひもを後ろにまわす
次に、腰ひもを前から後ろにぐるりと回します。この時、腰ひもの位置は腰骨の辺りになるようにしましょう。帯もそうですが、腰骨の位置で結ぶことで安定し、裾が広がりにくくなります。
腰ひもを結ぶ時、締め付け過ぎもよくありませんが、緩いと崩れやすくなるので、後ろで交差させたら腰ひもを左右に引いてギュッと締めましょう。結ぶときは身体の中心でまず2回結び、そのまま左右にねじります。最後は腰ひもの端を上から挟み込むことで腰ひもは終了です。
背縫いのところで腰ひもの下から両手の人さし指を入れてチェックする
最後は全体のバランスや、腰ひもの状態に問題が無いかをチェックしましょう。全身が見られる姿見で確認すると良いですが、視線が届かない背後は人に見てもらうことをおすすめします。
一番良いのは、腰ひもの下から背縫いの部分に添って両手の人さし指を入れてチェックすることです。指を左右に引くことで腰ひもの周囲の皺を伸ばすことができるので、きれいに整えましょう。ただし背中に少し生じた緩みはそのままにしておきます。
背中の緩みを下に引いてキッチリ伸ばしてしまうと、次第に衣紋が抜けてしまうので気を付けましょう。
えり合わせをチェックする
仕上げにえり合わせをチェックします。えり合わせはピッタリ合わせ過ぎると窮屈で動きにくくなりますし、逆にあけ過ぎると下に着ている肌着が見えてしまったり、だらしなく見えてしまう上に、着崩れしやすくなります。
えり合わせをちゃんと仕上げるポイントは、えりがダブつかない程度に余裕を持たせることです。分かりやすい基準としては、のどの窪みが見えるくらいに合わせるとちょうど良くなります。あわせて腰ひもの位置も鎖骨の位置になっているか確認しましょう。
衣紋をチェック!帯を腹の位置で締めるのがカッコよく着るコツ
浴衣や着物などの和装は、衣紋の抜き方を調節することで色っぽく見られると言われています。衣紋とは、和服のえりを前で合わせる部分のことで、胸元のことだと思えば分かりやすいでしょう。
衣紋を抜くか抜かないかで浴衣や着物の見栄えは随分と変わってきますが、どのような場で着る和服かで抜き方は変わってきます。例えば芸者さんや舞妓さんなどは色気を出すためにかなり衣紋を抜きますし、現代の晴れ着なら少しだけ抜きます。
ならば男性の浴衣はどのように抜くのでしょうか。答えは「抜かない」です。男性の場合は衣紋は抜かず、帯は腹の位置で締めることで、ビシッと格好良く決めることができるのです。
浴衣帯の結び方、全年齢OK!最もメジャーで初心者でも簡単に結べる角帯を使った「貝の口」を結び方を解説
女性は帯の種類や柄、結び方で、様々なアレンジを楽しむことができます。男性用浴衣の帯と言うと角帯と兵児帯の2種類ですが、もっともメジャーなのはやはり角帯を使う「貝の口」ではないでしょうか。
角帯は兵児帯に比べると硬く、幅もあり、カッチリとした印象を与える帯です。改まった場でも使用することができるので、浴衣や着物を着る人ならば複数本持っていると言うこともあるでしょう。
そんな昔ながらの角帯でできる貝の口は、一般的な男性浴衣の着用イメージで用いられることが多い帯の結び方です。貝の口の結び方さえマスターできれば、外で帯が緩んでしまった時も一人で直すことができるので、浴衣を着るならば覚えておくと良いでしょう。
手の長さを決める
角帯で貝の口結びをする場合は、まず最初に「手」の長さを決めます。帯を結ぶ時に最初に決めるのが、「手」と「たれ」です。角帯で貝の口結びをする場合、最初に片方の端を2つ折りにしますが、この折った側を「手」、折っていない方を「たれ」と呼びます。
貝の口で角帯を結ぶ場合、まず最初にこの手の長さを決めることになります。輪を下にした状態で2つ折にした時、中央から30センチ程度が手の長さとしてはちょうど良いでしょう。
たれの長さを決める。手の端から約40cmから50cmまで帯幅を半分に折る
手の長さを決めたら、次は逆側のたれの長さを決めます。たれは「4-1.手の長さを決める」の状態から、たれ側を後ろから前へ腰に一周巻いた上で一度締めます。
その状態からたれの長さを決めるわけですが、基本的には手先から約40cmから50cmまでを帯幅を半分に折ることで帯幅を細くして、身体の中心に手の元を合わせます。
一回巻いたら締める
手の元を身体に当てた状態をキープし、垂れを腰ひもの上から胴体に一度巻いて締めます。その後さらにもう一度巻くので、帯は合わせて2回巻くことになります。
帯を2回巻いたら、次は右手を伸ばします。ピンと伸ばすのではなく、自然に伸ばしましょう。この時その手の位置で帯を持って、残った分の垂れがどの程度あるのかをチェックします。もし垂れが床につくほど余っているなら、胴にもう1巻きしましょう。
たれを内側に折り込む
胴体に帯を2回(前項でたれが床につくほど余っていた人は更にもう1回)巻いた上で、残ったたれを内側へ折り込みます。この時のポイントは、左手で手を持ち、右手でたれを持つことです。
たれを内側へ折り込んだ状態で垂れを結びますが、身体の中心で手の上にたれをかぶせて結び、垂れを結び目の上から出すようにしましょう。たれをひと結びした後は、たれを垂直状態に立てて、手を折り上げます。この時手は斜めにましょう。
たれを下に折り結ぶ
左右の手にある手とたれをそれぞれ持ち替えて、たれを下に折ります。この時、手が輪っか状になっているので、その輪の中にたれを通し、上に引き出して結びましょう。
右手で帯を上から軽く押さえ、左手で帯の下を持ちます。そのまま結び目を右回りに後ろへ回すことで、貝の口は完成です。なおこの時左回しにするとえりが崩れるので気を付けましょう。
最後の仕上げとして意識したいのは、結び目は背中の中心よりも少し左か右に寄らせることです。貝の口は、あえて左右のどちらかに偏らせることで、かっこよく決まります。
浴衣に合わせたい小物たち
女性は浴衣や帯の模様が華やかで、さらに髪飾りやバッグなどで様々なオシャレを楽しむことができるのに対して、男性はアクセサリーも少なく何だか地味な印象です。そんな風に考える方は多いですが、男性用浴衣のアクセサリーもたくさんあります。
例えば、扇子やうちわがあります。髪飾りなどに比べて分かりやすいアクセサリーではありませんが、縁日の熱気の中で洒落た扇子やうちわを使い涼む姿はなんとも粋です。特に扇子は使っていない時はコンパクトで、帯にさしてアクセサリーにもできます。
また、男性浴衣でもバッグは重要な小物です。浴衣の色が紺など暗い色が多いので、バッグも普段使いの黒いもので良いや、と考えてしまいがちですが、それではせっかくの浴衣がもったいないです。
男性浴衣のバッグなら、やはり巾着タイプが使いやすいでしょう。最近では浴衣に合わせても違和感が無い、和柄のショルダーバッグやボディバッグも多く販売されており、浴衣を着ていない時の普段使いができるものも多いです。
女性が浴衣を着る時に髪の毛を飾るものと言えば、簪です。簪以外にも女性には様々なヘアアクセサリーがあります。男性がヘアアクセサリーを身に着ける事はありませんが、その代わり帽子を被ることで大人の色気を演出することができます。
男性浴衣に合わせる帽子と言えば、カンカン帽やパナマハットが定番です。日本の伝統衣装である浴衣に洋帽子が合うという面白さがあります。最近ではキャスケットを合わせる人も多いです。
覚えれば簡単!着物は簡単に一人で着れるようになる
洋装がメジャーになった現代日本では、日本の伝統衣装である浴衣や着物は逆に物珍しいものになりました。近年では縁日や冠婚葬祭でなければ和装をしないと言う人も多く、日常的に着ると言う人は少ないです。
加えて浴衣や着物は洋服のようにボタンを留めれば良い、羽織るだけで良いと言うものでもないため、着たことが無い若者にとってはハードルが高く感じがちです。しかし実際のところ、浴衣や着物を着るのはそれほど難しくありません。
和装は最初こそ着付けに戸惑うかも知れませんが、どのような点に気を付けたら良いのかや帯の結び方を覚えてしまえば、一人でも簡単に着ることができるのです。
【補足】どうしても帯ができない男性には「兵児帯(へこおび)」を使おう!
角帯で結ぶ「貝の口」などは、慣れてしまえばそれほど難しい結び方ではありません。しかし中にはどうしても上手く結ぶことができなかったり、動画などで確認しても自分で行うとなるとよく分からなくなってしまうと言う人も居ます。
角帯は帯幅もあり、カッチリとした印象を受けるもののため、上手く結べないと不格好になってしまいがちです。もしどうしても角帯が結べないと言う場合は、兵児帯がおすすめです。
兵児帯は柔らかく、細長い布を腰に巻く感覚なので角帯ほどのカッチリ感はないカジュアルなものですが、その分結び方は非常に簡単です。帯と言うよりは紐の感覚で結ぶことができます。
「兵児帯(へこおび)」の選び方、初心者でもできる巻き方と注意点
兵児帯は角帯に比べてカジュアルな印象があり、結び方もそれほど難しくないですが、選び方を間違えると失敗してしまうこともあります。ここでは兵児帯の選び方や結び方について触れていきます。
兵児帯の選び方ですが、まず長さが十分あるものを選びましょう。また幅も重要で、細いものよりも2つ折りにして胴体に巻くことができる幅のものを選んだ方が安定感が増します。
次に兵児帯の結び方ですが、基本的にはそれほど難しくありません。まず身体の前(中心)から見て60センチ程度で手の長さをとります。この時中心をピンチやクリップで留めると良いでしょう。
手は動かさず、残ったたれを3回胴体に巻きます。前の行程で留めていたピンチやクリップを外し、身体の前で手とたれを交差させてギュッと結びます。この時しっかり締めることで、緩みを防止することができます。
残ったたれを半分の位置で2つに折り、さらにもう一度折って、結び目を羽根の中心に合わせましょう。この状態から山ひだを作り、上からぐるりと被せて結びます。リボン結びをする要領と考えれば分かりやすいでしょう。
なお、この時結び目から手は引き抜かず、輪の状態をキープするようにしましょう。あとは角帯の貝の口と同様、帯を右回りに回して結び目を後ろへ持っていきます。左回りに帯を回すとえりが崩れやすくなるので注意しましょう。
また帯の結び目は背縫いよりも左右いずれかに多少寄せるようにすると格好良く見えます。
まとめ
ほんの数十年前までは当たり前に目にしていた日本の伝統衣装である浴衣や着物ですが、最近では縁日や冠婚葬祭以外で目にすることは無くなりました。特に男性は和装をする機会がぐっと減り、自分で着付けができないと言う人が殆どです。
しかし実のところ、浴衣の着付け自体はそれほど難しくありません。やり方とコツさえ覚えてしまえば普段着にできるくらい簡単なので、是非とも着付けを覚えて自分一人で浴衣を着られるようになってみましょう。
浴衣に使用する帯と言えば、角帯が一般的です。カッチリとした印象になるため締まって見えますが、カジュアルに着こなすならば兵児帯もおすすめです。角帯が結びにくいと感じる方は、柔らかく結びやすい兵児帯を使用すると良いでしょう。
男性の浴衣は女性ほどの華やかさはありませんが、アレンジの仕方は様々です。伝統衣装だからと言って、他の人達と同じような着方をせず、自分なりのオシャレを楽しみながら普段着にしていると言う人も居ます。
浴衣に合わせる履き物といえば下駄ですが、近年ではシャレたブーツやスニーカーを履くことでよりカジュアルな着こなしをしたり、動きやすさを重視する人も増えています。また敢えて洋服と組み合わせることで和洋折衷の魅力を出す人も居ます。
浴衣の楽しみ方は人それぞれです。自分なりの着こなしを模索するのも楽しみの一つでしょう。