ご自分の体のサイズにピッタリ合うようにと、すでに仕立て上がっている着物を他の誰かに譲る場合では、当然の事ですがお譲りする方の体の寸法と合わないという問題が出てきます。
もしこれが洋服であれば、大概のケースで諦めてしまう事でしょう。ですが着物の場合は違います。今でもちゃんと寸法直しや仕立て直しを行って、譲りたい方の体のサイズに手直しをする事はよくあるのです。
もちろん洋服でも寸法直しをしますが、最近は使い捨ての時代ですから、多くの方が寸法直しの経験を持っていないかもしれません。そこで、ここでは着物の寸法直し・仕立て直しなどについて詳しくチェックしていきましょう。
ちなみに寸法直しとは、先の例の様に仕立て上がっている着物・羽織・袴などの和服の寸法を、基本的には部分的に裁断・縫い直しをすることです。
基本的な寸法直しの方法としては、裄(ゆき)・袖巾・袖丈・身丈など調整が必要なパーツを一度ほどいてばらしてから、しっかりと湯のしを行い、その上でサイズ直しをして寸法を調整します。
ただし、もともとの生地の範囲内でしか寸法合せができないために、必ずしも希望の寸法に仕上がらない事もあります。
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目次
寸法直しと仕立て直しの違いとは?
着物のサイズを変更する方法としては、先に紹介した寸法直しと、もう一つ仕立て直しがあります。
寸法直しは着物の部分的なサイズ調整を行う時に行うもので、縫い目をほどくのも、湯のしをするのも、サイズを直す部分だけ行います。
ですが、仕立て直しの場合は、着物全体を一旦バラバラにほどいてしまいます。全てのパーツをバラバラに分けたら、それぞれを湯のしか洗い張りを施して、裁断・縫製を行う訳です。こうして全体のサイズを調整して、新たに着物を作り直す形になります。
その為に元々の着物の形を変える時に有効な方法で、羽織やコートや長襦袢など、基本の形を変更するお仕立てが可能になるのです。
お直しになる可能性が高い『3つのパターン』
では寸法直しや仕立て直しをする必要があるのはどんな時でしょうか?
この点に関しては、大きく3つのパターンに分ける事ができます。
- 長襦袢の袖が短すぎる
- 長襦袢の丈が長くて着物の裾からはみ出てしまう
- サイズが極端に小さくて幅が足りなくなる
このような3つのパターンでお直しをする場合が多いです。
長襦袢の袖が短く、着物の袖から見える
長襦袢と表着のサイズが合っていない事はよくあります。特に腕の長さにあたる裄(ゆき)の寸法が合わないケースがよく見られます。
例えば長襦袢の袖丈が着物の袖丈より短い場合に、キレイに着付けた後でも、後ろ姿を見ると長襦袢の袖がちょっとはみ出して見えてしまいます。この様な姿は、着物の着こなしとしては格好が良いモノではありません。
応急処置としては、着付けた後に小さな安全ピンで袖の下を留める事もできますが、やはり表着と長襦袢の袖の長さがピッタリとなる様に寸法直しを施しておく方が良いでしょう。
長襦袢の丈が長く、着物の裾から見える
同じく長襦袢と表着の着物のサイズが合わないケースですが、長襦袢の方の着丈が長めになっている事もよくあるのです。すると着物の裾から長襦袢がはっきりと見える様になってしまって、これもたいへんにみっともない姿となってしまいます。
もし着付けたあとで気が付いた場合ならば、応急処置として長襦袢をちょっとおはしょりして、落ちない様に安全ピンなどで止めておく事はできます。ですが次に着る時までに、ちゃんと裾足が綺麗に揃うように寸法直しを施しておく様におすすめします。
あるいは着物の丈が短すぎている事もあります。その場合は着物の裾を伸ばすように寸法直しを行う必要があるでしょう。
幅が足りなくて合わせられない
お直しが必要な着物として多いケースをもう一つ上げるならば、それは着物の横幅が足りなくてツンツルテンになってしまう場合です。
特にアンティーク着物を購入した方によく見られるのですが、着付けた時に背中部分の後ろ見頃の横幅が詰まり過ぎてしまう事があります。その理由は現代の人よりも明治・大正時代までの人の体形が、一般的に小柄でキャシャだったからです。
ですから、アンティーク着物を購入する際は、実際に着付けてみた方が良いでしょう。また、この様に幅が足りなくなってしまう場合は着付けで応急処置ができない為に、基本的には寸法直し・仕立て直しを行う方が良いでしょう。
【補足】着物の丈の許容範囲は自分の身長の±5から10cm
着物の寸法直し・仕立て直しをする場合に、一つ注意しておかなければいけない事があります。それはもともとの着物の生地の余白です。
基本的に小さいサイズへとお直しをする場合は裁断・縫製のやり直しでかなり自由にお直しができます。とは言っても全体のバランスもありますから、全く自由とはなりません。
また反対に、小さいサイズの着物を大きくお直しするのは限界があります。着物を縫製する場合に、返し口の幅にはある程度の余裕・余白を残してあるのが一般的です。これを引っ張り出して縫い込める、ギリギリの寸法もおのずと決まってしまいます。
ちなみに着丈の寸法直しの許容範囲は、自分の身長の5~10cmぐらいとされています。
お直しに出す前に自分で調節できること
着物の寸法がちょっと合わないというのであれば、すぐにお直しに出さなくても自分で調整する方法があります。
例えば着丈の長さです。基本は自分の身長と同じ丈の着物を選びますが、±5cmぐらいならば、おはしょり部分で合わせる事が可能なのです。
また袖の長さの場合も、長すぎれば安全ピンなどで手繰ると応急処置が可能です。着物の場合は調整幅があるのがメリットです。その点を理解していると着付けの上でも役に立ちます。
サイズそのものは長襦袢で調節できる
一般的に長襦袢の着丈は身長より25 030cm短いのが基本で、裄丈は着物の裄丈より0.5 01.0cm短め、そして袖丈は着物の袖丈より0.5cm長くします。
そこで着物のサイズが若干ご自分の身長に合わない場合でも、この長襦袢のサイズを調整することで対応ができます。例えば着丈が短めの着物の場合に、長襦袢もおはしょりをしておけば両方のバランスが取れると言った感じです。
あるいは長襦袢の身八つ口あたりにある縫い込みで折り返しを作って縫い込んでしまうと、それ以降も面倒がありません。また着物の裄丈がちょっと短めならば、長襦袢の裄丈を同じように短くする事ができます。
袖部分や肩口のあたりで縫い込んでしまうと簡単でしょう。あるいは応急処置的に安全ピンでとめてもOKです。これらの対処法を知っておけば、いつもきれいに着こなしができて楽しくなるでしょう。
まずは必ず試着して測ること。見た目だけではわからない
着物のサイズが自分に合っているかどうかをチェックするためには、着物の寸法を確認するだけでは十分ではありません。
サイズを確認する一番の方法は、実際に着付けてみるに限ります。確かに面倒な事ではありますが、この試着を端折ってしまうと、購入後やお直しの後でしっくりと体に合わないという事態が起きてしまいます。
ちゃんとした呉服店や、プロのお直しであれば試着は必ず行います。着付けた上で、寸法の調整をするからこそジャストフィットさせる事ができるのです。
もちろん長襦袢も一緒にサイズチェックします。ですから購入の際でもお直しを依頼する際でも、長襦袢を一緒に持っていく事をおすすめします。
失敗しない!着物の寸法直し方法『全12選』と平均的な料金
着物の寸法直しにはいくつものパターンがあります。それは着物のパーツが非常に多彩である為に、細かな部分のサイズ調整をする事で着こなし具合がまるで違ってくるからです。
着物にあまり慣れていない方は、せいぜい着物の丈や袖の長さ、肩幅や腰幅ぐらいのお直しすれば大丈夫だと思いがちですが、美しく着物を着付けるためには、最低でもここに挙げた12か所の寸法直しを知っておくべきでしょう。
1.裄直し
裄直しでは、着物の袖巾と肩巾の部分の寸法を直します。ですが裄直しによって抱巾や前巾・後巾のサイズが変わる事はあません。また袖丈のお直しは裄直しには含まれません。併せて依頼をする場合は別料金となるのが一般的です。
そこで裄を長くするには袖の縫込みや肩の縫込みに生地の返り口が十分にある必要があり、その点で不十分であればお直しができません。またお直しの前に付いていた折り目・縫い目が残り、それがスジとなってお直し後にも跡が付いてしまいます。
こちらはアイロンなどで簡単に取れませんので、スジ消しのための特殊作業が必要となり、料金が3000円ほど高くなるのが一般的です。
では裄直し(袖巾・肩幅直し含む)の一般的な料金を紹介します。
裄直し(袖巾・肩幅直し含む) |
一般的な料金 |
袷きもの |
8,000円前後 |
単衣着物や襦袢(無双) |
6,000円前後 |
留袖・比翼付き |
13,000円~16,000円 |
振袖 |
12,000円前後 |
振袖襦袢 |
8,000円前後 |
2.袖丈直し
袖丈直しでは、着物の袖丈をご注文に合わせて長さ調整します。そこで袖丈をもっと長くしたい場合、袖下の縫込みに伸ばすだけの余裕があるかどうかがポイントとなります。この余裕が不十分な場合は希望の長さまで伸ばせない事を理解しておきましょう。
また丈を長くする場合に、お直し前に付いていた折り目・縫い目の跡が残ります。こちらはアイロン等では直りませんので、特別な洗剤を使った作業が追加になります。その費用は一般的に3000円前後が相場です。
反対に袖を短くする場合の注意点ですが、振袖のように下の方にしか柄が無い場合は短くする事で柄がなくなって無地の袖になってしまうケースもあります。またキレイに柄を残すために、裄を解いて袖をすべて作り直す必要が出てくるケースもあります。
その場合は料金が高くなるのでご注意ください。
それから振袖以外の着物でも、裄・袖丈の両方を直しケースでは、袖の作り直し作業となりますので料金は高くなります。
では袖丈直しの一般的な料金を紹介しましょう。
袖丈直し |
一般的な料金 |
袷きもの |
6,000円前後 |
単衣着物と襦袢(無双) |
5,000円前後 |
コート類 |
6500円前後 |
振袖 |
7500円前後 |
袖作り直し |
13000円前後 |
3.身巾
着物の身巾直しでは、前身頃と後ろ身頃の巾の寸法を調整します。この場合に女物であれば三八、男物なら袖付までの加工がなされます。ただし裄や肩幅の寸法が変更される事はありません。もし裄の寸法直しを望む場合は別料金で依頼するのが一般的です。
そこで訪問着・附下など柄合わせの必要がある着物の身巾直しの場合、お直しのサイズによっては絵柄がずれてしまう可能性もありますのでご注意ください。
身巾を長くする時は、お直し後に以前の折り目・縫い目の跡が残ってしまう為、特別な洗剤を使ったスジ消し作業が必要となります。この作業は別料金として3000円前後掛かります。
また身巾を大きくする場合は、まず洗い張りをしてから、寸法直しではなくて仕立て直しを採用するケースがあります。このケースでは仕立て直しの方が完成度は高く、しかも料金がお得になるのでおすすめです。
では身巾直しの料金相場を紹介します。
身巾直 |
料金相場 |
合口なしの袷きもの |
18,000円前後 |
合口なしの単衣着物 |
13,000円前後 |
留袖・比翼仕立 |
28,000円前後 |
4.身丈直し
着物の身丈直しでは、肩から裾までの丈の調整を行います。この身丈直しで寸法を短くする場合、裾を裁断する方法と裁断をしない方法があります。
裁断なしの方法では胸元部分のつまみ具合で調整する事が可能です。この方法は再び長く直すことができるメリットがあります。
身丈を長くする場合は、内揚げや胴裏に伸ばす分の余裕がある事が前提で、その余白の範囲内で長さ調整が可能になります。
そこで身巾や裄の寸法も併せて直したい場合は、一般的には別料金で依頼します。ちなみに丈を長くする場合、洗い張りをして仕立て直しをした方が生地が再生し料金的にもお得になるので覚えておいてください。
また丈を長くする時に、以前に付いていた折り目・縫い目が残りますので、特別な加工法で消す作業が発生します。こちらの料金相場は3000円前後です。
では身丈直しの料金相場を紹介します。
身丈直し |
料金相場 |
袷きもの |
11,000円前後 |
単衣着物 |
10,000円前後 |
袷コート類 |
11,000円前後 |
留袖・比翼仕立 |
13,000円 |
5.衿付け直し
衿付け直しでは、衿丈等の変更を含めて衿部分の付け直しをします。そして衿付け直しの時に褄下・衿下の長さ調整も可能で、もし衿の付け直しで身丈が変らない様にしたい方は、この部分の長さ調整を同時に行うと良いでしょう。
また衿丈を長くする場合では、衿裏や褄下を長くする場合があります。この時の作業次第では、剣先部分に折り目や縫い目が出ますが、このスジ跡は特別な洗剤で処理して消すのが一般的です。
ちなみに、この作業では3000円ほど料金が掛かるのが相場です。
では衿付け直しの料金相場を紹介しておきましょう。
衿付け直し |
料金相場 |
袷きもの |
11,000円前後 |
単衣きもの |
9,000円前後 |
衿に柄合わせのあるもの |
12,000円前後 |
留袖・比翼仕立 |
13,000円 |
6.胴裏交換
胴裏交換は、特にアンティーク着物等の古い着物に必要となるお直しです。長年着物を着ていると、だんだんと胴裏に黄ばみがでたり、胴裏の生地が裂傷したり、あるいはアイロン時に焦げ跡が付いてしまいます。
そこで見栄えを良くするには胴裏を交換する作業が行われます。胴裏と一言に言っても、着物の場合は細かなパーツに分かれています。例えば袖裏や裏身頃、衿裏、剣先といろいろなパーツに分かれている訳です。
ですが胴裏交換ではこれら全てを同時に交換するのが一般的です。部分交換はむしろ見た目の悪さを強調してしまうからです。
また交換作業では寸法の直しを行いません。もし寸法直しが必要な場合は別料金となります。
では胴裏交換の料金相場を紹介します。
胴裏交換 |
料金相場 |
袷きもの |
15,000円前後 |
袷長襦袢 |
9,000円前後 |
振り袖 |
22,000円前後 |
留袖・比翼付(胴裏・比翼交換) |
30,000円前後 |
*ケースによっては裏地の購入費が別途かかります。
7.八掛交換
八掛交換とは、アンティーク着物などの様に古くなった着物の裾回しの劣化・裂傷・アイロンの焦げなどで悪くなった八掛部分を交換する作業です。あるいは、八掛の部分の色を変えてイメージチェンジをする事もできます。
八掛交換の場合は、袖口・裾回し(前・後)・衿先裏・裏袵の八掛生地を全て一度に交換します。もちろん部分的な交換をする事はありません。全体のバランスを整えるためにも全取り替えがセオリーです。
また交換の際は新たに八掛生地が必要となり、お直しを依頼する着物と一緒に持っていくのが一般的です。ただし換えの生地をお持ちではない方は、お直し先に用意してもらう事ができます。
ちなみにこのお直しでは寸法直しは行いませんので、寸法直しを依頼する際は一般的に別料金となります。
八掛交換の料金相場ですが、このお直しは袷着物のみが対象で16,000円前後で依頼する事ができます。またぼかし八掛・無地八掛などの生地は9,000円前後で購入できるでしょう。
8.比翼交換
留袖の比翼交換とは、各部分の劣化・裂傷・アイロン時の焦げなどによって悪くなってしまった比翼を交換する作業です。基本的には新しい生地で比翼を作り直して交換します。
着物には複数の比翼が付いていて、袖の口比翼・振り比翼・裾回し(前・後)の比翼・衿比翼とあります。もちろん交換する際は、これら全てを交換するのが一般的です。
なお新しいモノと交換するので、依頼をする時には交換用の比翼生地を用意します。ご自分でお気に入りの生地を持っていればそれを使ってもらう様にすれば良いですし、なくてもお直し先で購入する事ができます。
では留袖の比翼交換の料金相場を紹介します。
留袖の比翼交換 |
料金相場 |
比翼付きの状態 |
16,000円前後 |
比翼無しの状態 |
15,000円前後 |
袖口のみの交換 |
3,000円前後 |
振りのみの交換 |
3,000円前後 |
衿のみの交換 |
7,000円前後 |
見頃のみの交換 |
11,000円前後 |
衽のみ交換 |
7,000円前後 |
この他にも生地を購入する場合は別途料金が掛かります。
9.居敷当て付け
着物の居敷当て付けとは、腰・臀部回りの生地を保護するために装着する当て布の事です。
一般的に着物や長襦袢などの内で、単衣の着物を着る場合は座ったりしゃがんだりする事で腰・臀部の生地が傷みやすい傾向があります。この生地の劣化を防ぐために当て布をするのです。
着物の居敷当て付けでは、後身頃の内揚げから裾の近くまで当て付けします。また長襦袢は、後身頃の打揚げから裾返しまで当て付けるのが一般的です。
特に着物を着て日本舞踊や茶道の様な習い事をする方にはおすすめのお直しで、着物を長持ちさせる効果に優れています。
では留袖の料金相場を紹介しますと、着物居敷当て付けは3,000円前後で依頼ができます。また長襦袢や浴衣の居敷当て付けも同じく3,000円前後です。
また当て付け様の生地は1~3,000円あたりでお直し先から購入できます。もちろん自分で生地をお持ちの場合は、それを使ってもらうと良いでしょう。
10.たるみ直し
たるみ直しとは、着物にできてしまった生地のたるみを修正するお直しの事です。
着物にたるみが出来てしまう主な原因としては、正座をして座っている時に腰部分の生地が強く引っ張られる事で生じます。また雨の多い梅雨時の湿気が高い季節は生地が縮みやすくなっていて、裏生地と表生地のつりあいが取れなくなってしまう事でもたるみが生じるものです。
特にたるみがでやすい場所としては、袖口付近・前身頃・後身頃の裾付近があります。また身巾がたるんでしまう事もあります。
そしてたるみのある着物を着付けても、キレイに決まりませんし、着物を余計に傷めてしまう事になりますので、早めにたるみ直しをする様におすすめします。
では、たるみ直しの料金相場ですが、見頃つりあい直しが4,000円前後、裄つりあい直しが3,000円前後となっています。
11.半衿交換
長襦袢の半衿交換とは、首回りにあたる衿の部分の生地を交換するお直しです。
一般的に長襦袢には正絹や化繊物の半衿を付けます。特に白地や刺繍が施してある物が多く、直接首にあたるために油汚れが残り易く、黄ばんだ色が目立ってしまう傾向があるので、簡単に交換しやすくするための工夫をしているのです。
襟元はとても目立ちやすく、人はさり気なくチェックを掛ける部分でもあります。ここが汚れていては、せっかくの着こなしも台無しになってしまいます。
そこで長襦袢には、交換可能な半襟を付ける習慣が定着して、着物を着る方は定期的に半衿交換を行う様になりました。
このお直しでは、一般的に半衿と半衿芯の交換を行います。ちなみに半衿交換の料金相場は、大体3,000円前後となっています。
12.袋帯を作り帯に
着物の着付けの初心者の方には、袋帯を作り帯に仕立て直しして着付けている方が多くいます。それは作り帯の方が、袋帯から帯締めをするよりもずっと簡単になるからです。
その理由は、造り帯の場合は既にお太鼓が固定されているからで、既に格好の良い形にお太鼓がしつらえてあります。袋帯は毎回このお太鼓をキレイに整えつつ帯を締めなければいけません。
一般的に着物を着付けられても、帯締めが上手に出来ない方が多いと言いますが、このお太鼓が帯締めのキーポイントになっているのです。
ですから、初めから形ができている作り帯にお直ししておくのは非常に便利だと言えるでしょう。ちなみに袋帯を作り帯に仕立て直す料金の相場は、袋帯からでも、名古屋帯からでも5,500円前後となっています。
この3つさえ合えば最低限のお直しはOK!
ここまで12か所のお直しについて説明してきましたが、『とてもこんなに細かくお直しなんてできません』という方は、次の3つを押さえておきましょう。
着物の寸法合わせの基本でもある『身丈・裄・袖丈』の3か所をキッチリとご自分のサイズに合わせる事で、かなりキレイに着付ける事ができるのです。
つまり身長に合った着物の長さを決めて、振り袖の部分の形があなたの体形にマッチしていれば、パッと見には美しく映えるのです。
もちろん細かなところまで気を配って、よりあなたの体のサイズに合わせていくならば、完成度の高い着こなしを楽しむ事ができますが、それは上級者になってからでもOKでしょう。まずは、この3か所のサイズをピッタリ合わせる様にしてみてください。
1.身丈
着物の身丈は、その着物があなたに合っているかどうかを決める大事な部分です。つまり裾の見え方、足元の景色があなたにピッタリと合っていれば、それだけで全体の姿がキリッと締まって見えるポイントなのです。
そこで、着物の身丈を確実にあなたの身長と併せる様にお直ししてみてください。おはしょりを含めたちょうど良い身丈になる様に、適切な寸法直しをする様におすすめします。
2.裄
着物の袖巾と肩巾の部分の寸法をあなたの体のサイズにピッタリと併せると、首元から肩、ひじ、指先までが綺麗に見える様になります。この裄の寸法直しをきちんとする事で、上半身のしなやかな動きを美しく見せる事ができるのです。
この裄直しは、袖の縫込みや肩の縫込みを調整する事で、長くも・短くも調整する事ができますので、必ず合わせておく様におすすめします。
3.袖丈
振り袖の着物を着付ける際に、最も気を使うのが袖の丈のサイズでしょう。ご自分の体の動きやしぐさが美しく見えるかどうかを決める重要なポイントでもあります。そこで袖丈の長さをしっかりと決めておくのは肝心です。
あるいは年齢によっては振り袖を短くカットして、落ち着いた着物として着付けるケースもありますから、袖丈の長さにはこだわっておく様におすすめします。
【注意】寸法直しは直すことができない場合も
着物を購入する際は、必ず寸法のチェックをしっかりと行ってから購入する様にすると良いでしょう。特に着物の丈の長さと袖の長さ、また袖もサイズをしっかりとあなたの体に合せて選ぶと失敗しなくて済みます。
ですが着物にはたくさんのパーツがあって、それぞれに適した寸法というものがあります。それで実際に着付けてみると、部分的に合っていない部分も出てくるかもしれません。
そういった場合は、寸法直しや仕立て直しでサイズ合せをする事ができますが、そのお直しにも限度がありますので十分に注意してください。
特にサイズの小さ過ぎる着物の場合は、生地の余白によって長く伸ばせる幅が限定されてきます。いくらカワイイ着物だからといっても、自分のサイズを考えて選ぶようにしましょう。
一般的な寸法直しの納期について
着物の寸法直しを行う際には、お直しに掛かる日数を確認する事が肝心です。つまり一般的な納期を知っておかないと、着物を着て出かける日に間に合わなくなってしまうかもしれません。
ちなみに着物のお直しに掛かる納期は、基本的に2~3週間後を目安にしておくと安全です。もちろん、お直しの内容によってはそれ以上長く掛かる事があります。
裄直しや袖丈直しなら比較的に早く済みますが、身幅や身丈を直す場合は3週間以上かかってしまう事も考えられます。ですから早め早めの依頼を心がけると良いでしょう。
また、お店によっては1週間以内のスピード仕上げを受け付けているケースもありますので、依頼する際はよくサービス内容を確認する様におすすめします。
着物のサイズが合わないときは寸法直しに出そう
普段はなかなか着る機会のない着物ですから、いざ着て行く用事が出てきた時に、ちょっと体に合っていないといったトラブルがよく起きてしまいます。
また自分の体のサイズが変わってしまっていて、それできちんと着付けられないといったケースも珍しくありません。
そこで、もし体形が変わったなどの理由で着物が合わなくなってしまったら、気が付いた時点でお直しに出しておくようにすると良いでしょう。
あるいは着物を着ていく事が分っている場合は、そのひと月以上前に一度着付けてみると良いのです。それでお直しが必要な個所があれば、すぐにお店に出す様にすると安心して着る事ができるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
着物を着こなすために役立つ情報が得られたでしょうか?現代では、日本の女性の方が着物を着る機会がとても少なくなっています。そして着物についての知識も普段の生活とはかけ離れている事もあって、ちょっと覚えにくいものです。
ですが、それだけに着物を着て出かける時には美しい着付けをしたいと思う事でしょう。普段とは全く違う自分をたくさんの人に見てもらって『キレイだね』といってもらいたいと望んでいる事でしょう。
ハレの舞台で恥ずかしい思いはしたくないものです。むしろキラキラと輝いていたいと思うでしょう。その成功をちょっと後押ししてくれるのが、お着物の正しい着付け方かもしれません。
普段あまり着る機会のない着物ですから、できれば当日にバッチリと決まる様に、事前に寸法合わせを行っておきたいものです。
また、新たに購入する場合も同じで、寸法合わせのコツをしっかりと抑えておけば、体に合わない着物を選ぶ事もなくなります。着付けが難しい着物ですが、サイズ合せに関しては個人でも何とかチェックできるものです。
定期的にサイズチェックをして、もし体形が変わってしまったとか、購入した着物がちょっと合っていないと分ったら、なるべく早めに寸法直し・仕立て直しをしておくようにおすすめします。