脱いだ浴衣は正しいアフターケアをすることで長持ちさせることができます。汗をかいたら洗濯をしてきちんと汚れを落とす必要がありますし、保管するときは型崩れしないようにたたまなければなりません。
基本的なお手入れは、「つるして湿気を取る」「帯のしわを伸ばす」「汗を取る」などが挙げられますが、それぞれポイントがあります。またたたみ方も、間違っているとしわや汚れの原因になります。
ひと口に浴衣といっても男性用・女性用がありますが、どちらも同じ方法でお手入れし保管するのが基本です。
クリーニングなど専門の方に頼むのも良いですが、自宅でもできますのでぜひチャレンジしてみてください。
目次
すぐにやってほしい!浴衣を脱いだ後に必ずやるべき3つの項目
脱いだ浴衣は、すぐに手入れしなければいけません。「なかなかクリーニングに出す時間がない」という方も、自宅で簡単に手入れができるのでぜひトライしてみてください。
また脱いだ後の浴衣は、きちんと手入れをしないと色落ちや生地が縮むといった原因にもなります。
それを避けるためにも、必ずやるべき3つのことをしっかり行いましょう。ポイントは以下の3つです。(参照:NHK「ゆかたのお手入れとたたみ方」)
それぞれについて詳しく解説していきます。
- つるした湿気を取る・ニオイを取る
- 帯のしわを伸ばす
- 部分的に汗を取る
1.つるして湿気を取る・ニオイを取る
脱いだ浴衣は、すぐにたたむのはNGです。風通しの良いところにハンガーにかけておき、湿気を取りましょう。
こうすることでしわも伸び、ニオイも取ることができます。特に汗をかいたときは、十分に湿気を取り除く必要があります。
汚れが目立つ場合や汗がひどい場合は、洗濯も必要です。「浴衣を自宅で洗っても良いの?」と不安になる方もいると思いますが、コツさえ掴めば自宅でも簡単に手入れができます。
部分的な汚れには手洗いがおすすめですが、全体的に汚れている場合は洗濯機で洗ってもかまいません。この場合きちんとたたんでからネットに入れましょう。
干す時はシワをしっかり伸ばし、完全に乾いたらアイロンで仕上げてください。
【補足】1、2回の着用なら外干しだけでニオイは気にならなくなる
1、2回しか着用していない場合は、ハンガーに掛けて外干しするだけでもニオイを取り除くことができます。ハンガーは、和装ハンガーを使ってしわにならないように掛けてください。
和装ハンガーを持っていない方は、普通のハンガーに園芸用の棒または竹の棒などを紐で巻き付けて使うこともできます。
浴衣はきちんと干すことで保管している間も傷めずに済みます。洗濯は汚れがひどいときだけで良いので、着用のたびに洗う必要はありません。
帯のしわを伸ばす
つるして湿気やニオイを取ったら、帯をしわにならないように伸ばしましょう。結び目のところはよれやすいので、しわが目立つ場合は手のひらでしっかり伸ばしてあげてください。
体温が残っているうちに伸ばすことで手アイロンでも十分キレイになります。
それでもしわが伸びないときは、アイロンを使って伸ばしましょう。アイロンを使うときに注意してほしいのは、「直接帯にアイロンを当てないこと」です。
必ずあて布をして、丁寧にしわを伸ばしてください。霧吹きを使う場合も、直接帯にかけずあて布にかけてからアイロンを当てましょう。
アフターケアをきちんとすることで次の年もキレイな状態で着用できます。
部分的に汗を取る
浴衣は、えり・両わき・ウエスト周りなどに汗をかきやすく、汚れやすいといわれています。ですから、部分的に手入れすることも大切です。
たとえ汗が乾いていても、きちんと手入れをしていないと汚れやニオイの原因になります。
部分的な手入れですから、やり方も簡単です。えり・両わき・ウエスト周りなどに裏から乾いた白いタオルを当て、表から濡らした白いタオルで叩きながら汗を取り除きます。
このとき、タオルの水はしっかり絞っておいてください。
乾いたタオルと濡れたタオルを使うことで、乾いたタオルに汗を移し取ることができます。ただ浴衣のデザインによっては色落ちする場合がありますので、心配な方は目立たないところで確認してから行ってください。
浴衣を洗う前にするべきこと
浴衣は、他の衣類のようにジャブジャブ洗うことができません。衣類にもそれぞれ決まった洗い方がありますが、浴衣にも「正しい洗い方」があります。
それを守って洗濯をしないと、色落ちや生地が縮む原因になるので注意しなければいけません。
確認する点は、1.洗濯表示、2.色落ちの有無、3.シミがついている場合は前処理、の3つ。また洗濯機ではなくなるべく手洗いするようにしてください。
全体的に汚れが目立つ場合や、手洗いでも落ちない場合は洗濯機で丸洗いしても良いですが、基本は手洗いでお手入れします。
「洗濯機で洗うのは躊躇する」という方は、クリーニングなど専門の方にお願いしましょう。
1.まずは洗濯表示を確認する
洗濯する前に確認したいのが「洗濯表示」です。ひと口に浴衣といってもいろんな種類があります。ものによっては色落ちが激しいものや生地が縮みやすいものなどがありますので、洗濯表示の確認は必須です。
表示に従って洗濯し、傷めないようにしましょう。
まず、水洗いが可能かどうかの確認をしましょう。「洗濯機マーク」と「手洗いマーク」があれば水洗い可能です。家庭で洗濯できる表示もありますので、確認してみてください。
当然ですが、水洗い不可マークがついている場合は、水洗いができませんのでクリーニングなど専門の方にお願いしてください。
もちろん、家庭洗濯がNGの場合も同様です。また「中性」「中性洗剤使用」と表記されている場合、おしゃれ着用の中性洗剤で洗濯することができます。
2.色落ちしないか確認する
次に、「色落ちの有無」を確認しましょう。特に濃い色や柄物の浴衣は色落ちの心配がありますので、きちんと確認しておく必要があります。
確認方法は、洗剤をつけた白い布を浴衣に当て、こすります。こする場所は、必ず目立たないところで行ってください。
もしこのとき布に色がついたら色落ちの危険性があります。浴衣の淡い部分に色移りすると取れなくなってしまいますので自分で洗うのは避けましょう。もちろん、色落ちしていなくても手洗いで丁寧に洗うのが基本です。
できればクリーニングなど専門の方にお願いするほうが安心ですが、どうしても自宅で洗濯したいという方は色止め効果のある「酢」を使うと良いでしょう。本洗いのときに洗剤と一緒に酢を少量入れることで色落ちの危険性を防ぐことができます。
洗う場合は洗濯機はNG!必ず手洗いで!
浴衣は洗濯機で洗うこともできますが、基本は手洗いです。ポイントは「押し洗い」です。洗面器に30℃以下の水を入れ、おしゃれ着用洗剤を溶かします。
たたんだ浴衣を浸け、押し洗いをしていきます。20~30回手のひらで押す・持ち上げる、を繰り返し優しく丁寧に洗ってください。
たたまず浸けてしまうとしわの原因になるので要注意です。特にえりや袖口など、汚れが目立ちやすい部分は直接洗剤をつけて揉み洗いします。
強く揉むと浴衣が傷んでしまいますので、必ず優しく丁寧に洗いましょう。水を取り替えたら、洗剤を十分落とし洗濯機で1分弱脱水して完了です。洗濯機に入れるときは、たたんで洗濯ネットに入れてください。
シミが付いている場合は前処理をする
小さな汚れやしわなら良いですが、万が一シミが付いている場合は前処理が必要です。このときのポイントは、「色落ちの有無を確認する」こと。もし色落ちする場合は部分洗いをしましょう。直接シミに洗剤を付けて優しく揉み洗いをします。
シミは、種類によって落ちやすいものとそうでないものがあります。どんなシミが付いているのかを確認し、適した方法で前処理をしましょう。
間違った方法で手入れしてしまうと、浴衣を傷める原因になります。またシミ取りをしても汚れが落ちない場合は、クリーニングに出しましょう。強く揉み洗いしてしまうと浴衣に負担をかけますのでおすすめしません。
ファンデーションや日焼け止め
ファンデーションや日焼け止めなどの化粧品は、クレンジングオイルで落とすことができます。歯ブラシにクレンジングオイルを付け、一定方向にこすって落とします。
「浴衣に付いた汚れだから洗剤のほうが落ちるのでは?」と思うかもしれませんが、ファンデーションは油分でできているので、洗剤よりも同じ油分のクレンジングオイルのほうがしっかり落とすことができます。
日焼け止めも同様です。そのあと、洗顔料で洗うのも可能ですが、浴衣の傷みが気になる場合はクレンジングオイルだけでかまいません。
汚れを落としたあとは、しっかりすすぎましょう。ただ、色落ちの確認も必要です。特に色が濃い浴衣や柄物は、目立たない部分で試し洗いしてから洗濯してください。
食べこぼし
うっかり食べ物を浴衣に落としてしまった場合、いわゆる食べこぼしもしっかり前処理をして洗濯しましょう。ファンデーションや日焼け止めはクレンジングオイルで落とすことができましたが、食べこぼしは食器洗い洗剤を使ってください。
歯ブラシや白いタオルなどに中性洗剤を付け、一定方向に優しくこすりながら落とします。汚れが落ちたらすすいで洗濯しましょう。
それでも落ちない場合は、「マグカップシミ抜き」もおすすめです。頑固なシミもしっかり落とすことができます。
用意するものは、液体の漂白剤・食器洗い洗剤・マグカップ・お湯(90度以上)・小皿・スプーン・歯ブラシ。小皿に漂白剤を入れ、マグカップにお湯を注ぎます。マグカップの上にシミの部分をのせ、上から漂白剤を付けた歯ブラシでこすっていきます。
泥汚れ
雨の日に浴衣を着て、泥が飛んでシミになってしまうケースも少なくありません。この場合、一旦乾燥させることが優先になります。
風通しの良いところで干すのも良いですが、なるべく早くシミ抜きをすることが大切なので、ドライヤーなどを当て十分に乾燥させましょう。そのあと、歯ブラシで一定方向にこすり泥を落としていきます。
このとき、シミの部分だけをこするように意識してください。泥をはたいたら、固形石鹸をつけて再び歯ブラシでこすっていきます。小さな泥なら自分でも簡単に落とせますが、広範囲の場合はクリーニングに出すことをおすすめします。
どうしても自分で落としたい場合は、先ほども紹介したマグカップシミ抜きを試してみてください。
自分で洗うのが不安な場合はクリーニングに出すのがおすすめ
浴衣は自宅でも洗濯できますが、今までクリーニングに出していた方にとって、やはり自宅で洗うのは不安なものです。洗い方だけでなくたたみ方にもコツがありますし、初心者には簡単ではありません。
またクリーニングでは自宅では落としきれない汚れもキレイにしてもらえるので、「自分で洗うのは不安」という方は迷わずクリーニングに出すことをおすすめします。
クリーニングにかかる料金ですが、安いところで1,000円以下。高いところは3,000円程度するといわれています。また特殊な生地が使われている場合などは料金がプラスされることが多いでしょう。
安い浴衣であれば料金を気にせずクリーニングに出す方もいるかもしれませんが、高い浴衣の場合はやはりきちんと事前に確認したほうが安心です。
実際に浴衣を洗う方法(手洗い)
浴衣は手洗いが基本になります。もちろん、洗濯機で洗うこともできますが、なかには手洗いのみしかできない浴衣もありますので、必ず洗濯する前に「洗濯表示」を確認してください。
ポイントは、洗面台または洗面器を使う・おしゃれ着用洗剤を使う、ということです。
また汚れがひどい場合は、部分洗いで優しく揉み洗いしてあげましょう。ただし濃い色の浴衣や柄が入っているものは色落ちしないか事前に確認してからにしましょう。
この工程を飛ばして洗濯してしまうと白い部分に色移りしてしまう恐れがあります。汚れを落とすときも乱暴にこすらないように注意しましょう。
洗面台や洗面器に水を張り、おしゃれ着用洗剤を入れる
浴衣は手洗い→洗濯機の脱水で洗濯します。まず、洗面台または洗面器に水を張り、おしゃれ着用洗剤を入れましょう。浴衣が十分浸かる大きめの洗面器におしゃれ着用洗剤をしっかり溶かしたら、浴衣を浸けて押し洗いします。
必ず水を使用しなければいけない理由は、熱湯やぬるま湯では色落ちや生地が縮む原因になるからです。とはいえ、水に浸けたままにしておくのもNGです。全体を通して手早く行うようにしましょう。
約30分そこに着物を付ける・ここでの注意点
おしゃれ着用洗剤を十分溶かしたら、浴衣を約30分浸けましょう。先ほど「浸けすぎは色落ちや生地が縮む原因になる」と説明しましたが、だからといって数分では汚れがしっかり落ちませんので、最低でも約30分は浸けるようにしましょう。
また「たたんだ状態で洗う」のもポイントです。パリッとした浴衣に仕上げたい場合は、水と洗濯のりを入れてのり付けするのもおすすめです。浸けたあとはすすぎをして洗剤を落としてください。
全体を押し洗いする
洗剤を溶かした洗面台または洗面器に浴衣を浸けたら、押し洗いします。押し洗いと揉み洗いを繰り返し行うことで、汚れがしっかり落ちキレイな状態で翌年まで保管することができます。
押し洗いのポイントは、「20~30回程手のひらで押す→持ち上げる」ことです。こうすることで全体の汚れがキレイに落ちるでしょう。
揉み洗いは、特に汚れが目立つところを重点に行ってください。強く揉むと傷みますので注意しましょう。
汚れがひどい衿や袖口などは直接洗剤を付けて優しく揉み洗いする
先にも述べましたが、汚れがひどい部分(衿や袖口など)は揉み洗いをしましょう。洗剤を直接汚れが気になる部分に付け、優しく揉み洗いします。
このとき注意してほしいのは、乱暴に揉み洗いをしないことです。なかには頑固な汚れが付着している場合もあると思いますが、強くこすると浴衣が傷んでしまうので気をつけてください。
あくまで優しく丁寧に揉み洗いしてください。ちなみに、のり付けは来シーズンまで着ない場合はカビの原因になるので避けてください。
新しい水でしっかり洗い流す
十分に手洗いしたら、新しい水に取り換えてしっかり洗い流しましょう。このときも浴衣はたたんだまま洗うようにしてください。すすいだあとは洗濯機で脱水するので、十分なすすぎが必要です。
洗剤残りがないように、何度か水を取り換えてすすぎましょう。
たっぷりの水で洗うとスピーディーに洗剤を落とすことができます。このときも、熱湯やぬるま湯は使わないようにしてください。浴衣を傷めてしまいます。
畳んだ状態の浴衣を洗濯ネットに入れ、1分間脱水する
十分すすぎが終わったら、洗濯機で脱水します。たたんだ状態で洗濯ネットに入れて、30秒~1分間脱水しましょう。早く乾かしたいからといって1分以上脱水してしまうとシワの原因になるので必ず脱水時間は守ってください。
そして、脱水後は色移りを防ぐために素早く干しましょう。和装ハンガーがおすすめですが、ない場合は物干し竿に袖を通して広げて干してください。シワを伸ばすように形を整えて干すことが大切です。
和装ハンガーに掛けシワを伸ばして乾かす
先にも述べたように、浴衣は必ず和装ハンガーに掛けてから干すようにしてください。普通のハンガーに掛けてしまうと、ヨレやすくシワができてしまうので、せっかく洗濯した浴衣が台無しです。
和装ハンガーがない場合は、物干し竿に直接干すことも可能です。
竿に袖を通して全体を広げて干しましょう。直射日光は色褪せの原因になりますので、必ず陰干しにしましょう。風通しの良いところでスピーディーに乾燥させることでシワや縮みを防ぐことができます。
※上記の動画では和製ハンガーの代わりに、布団を干すスタンドを使っています。着物を干せるぐらいの大きさであれば代用が可能です。
和製ハンガーとは?簡単にできる作り方
和装ハンガーとは、その名のとおり“和装を干すためのハンガー”です。正式名称は「衣紋掛け(えもんがけ)と言います。袖口が長い着物に合わせて作られたもので、横棒が長くなっているのが特徴です。
浴衣を干す場合も、この和装ハンガーを使って干すことでシワを防ぎキレイに仕上がります。
ない場合は手作りすることもできます。先に紹介したのと少し違う作り方をご紹介します。長めの丸い棒・紐・S字フックを用意します。
丸い棒は、園芸用や竹の棒、配管用のパイプなど何でもかまいません。棒に紐を結び付け、S字フックでかければ完成です。100円ショップの材料でも揃うので浴衣を持っている方は試してみてください。
【ポイント】脱水する前に糊づけすると、乾いてからシワになりにくい
パリッとキレイな浴衣に仕上げたい場合は、糊づけをすると良いでしょう。糊づけすることでシワになりにくくなるので、次着るときもまるで新品のようにキレイな状態で着用できます。
糊づけをするときのポイントは、“脱水前”にあります。すすぎの水の中に洗濯用の糊を溶かし、脱水にかけます。洗面台または洗面器に糊を溶かして行う方法でもかまいません。
基本的に浴衣は手洗いがおすすめですから、後者の方法で行うようにしましょう。ただ注意も必要です。長期保管する場合はカビの原因になりますので、すぐ着用するとき以外は糊づけしないようにしましょう。
また糊づけでかゆくなってしまう方や汗でベタベタするのが苦手な方にはおすすめしません。あくまで“パリッとキレイに仕上げたいとき”におすすめの方法です。
洗濯後&浴衣着用後の着ジワの取り方
洗濯後や着用後に着ジワができることがあります。軽いシワであれば簡単に取ることができますが、問題はひどいシワです。特に洗濯した後は、せっかくキレイにしたのにシワができてしまうとガッカリします。
そんなときには「着ジワの取り方」を知っておくと良いでしょう。
「アイロンをかけたら良いのでは?」と安易に考えている方は要注意です。正しい方法で気になる着ジワを取り除きましょう。
軽いシワの場合
シワにもいろんな種類があります。軽いシワなら比較的簡単に取ることができます。シワになっている部分に霧吹きをかけ、湿らせたら白い布などで包みます。風呂敷やシーツなどでも良いですが、色移りには十分注意してください。
布で包んだあとは、布団の下などに入れて約10分そのままにします。そのあと和装ハンガーに掛けて干すと、シワが元通りになりシャキッとします。
軽いシワであれば、このやり方で十分ですが、ひどいシワの場合は伸びないので他の方法を試してください。
また外に干すときは必ず陰干しにして、風通しの良いところで素早く乾かしましょう。では、ひどいシワはどのように取れば良いのでしょうか?
酷いシワの場合
頑固なシワは、先ほどのやり方では取ることができません。この場合は、アイロンを使ってシワ伸ばしを行います。ただ特殊な生地を使っている場合、アイロンがけができませんのでクリーニングに出すことをおすすめします。
まず、浴衣の洗濯表示を確認してください。アイロンマークがある場合はアイロンがけが可能です。しかしアイロンマークにバツが付いている場合はかけられません。また低は120度、中は160度、高は210度が限度になります。
浴衣を広げ、えり・背中・身ごろ・袖の順にアイロンをかけていきますが、シワを取る場合はその部分のみにかけてください。パリッと仕上げたいときはのり剤をスプレーするとOKです。しばらく冷ましたら和装ハンガーにかけて干しましょう。
浴衣のたたみ方
浴衣には“正しいたたみ方”があるのを知っていますか?正しくたたむことでシワを防ぎ、来シーズンまでキレイな状態で保管できます。
基本的に着物と似ていますが、広げてたたんでいくのでなるべく広いところで行いましょう。狭い場所でたたむとシワができてしまう恐れがあるので注意してください。
全体をしっかり広げられるところで行うのがポイントです。たたみ方は、“本だたみ”と“襦袢だたみ”の2つの方法があります。着物のたたみ方ですが、浴衣でも取り入れることができます。大体、本だたみを行うことが多いようです。
ちなみに、また男性の浴衣も同じ方法でたたんでいきます。では、さっそく実践してみましょう。
たもとにゴミやホコリが溜まっていたら取り除く
まず、浴衣を広げゴミやホコリが付着していないか確認します。もし汚れていた場合、取り除いてからたたんでいきましょう。来シーズンまで着ることがない場合は、特にゴミやホコリに注意してください。
洗濯をした場合は、手で軽くはたいてから取り込むとゴミやホコリが付着しにくくなります。ゴミやホコリはダニの原因になりますのでしっかり取り除いておきましょう。
まず浴衣を広げる
ゴミやホコリを取り除いたら、浴衣を広げます。このとき注意してほしいのは、“広い場所で行うこと”です。荷物があるところでは広げたときに端などが崩れてシワになる恐れがあるからです。ですから、十分に広げられるところでたたんでいきましょう。
“本だたみ”と“襦袢だたみ”がありますが、基本的にシワのできにくい本だたみでたたんでいきます。襦袢だたみは衿と袖にシワができやすいので初心者の方はおすすめしません。
右の前身頃を「おくみ線」で折り返す
えりを左にし、裾を右にして広げます。最初にたたむのは、“右の前身頃”。この部分を“おくみ線”といい、線に沿って手前に返していきます。もう少し詳しく説明すると、浴衣は左横向きに広げます。
要するに、首元側が左にくるように広げます。衿肩明きを内側にたたんだら、右側の衿をまっすぐにします。
左の前身頃の衿とおくみを右の前身頃の衿とおくみに重ねる
次に、左の前身頃の衿とおくみを右の前身頃の衿と重ねていきます。このとき、端がずれないようにしっかり揃えること。左右の衿を合わせたら、脇の縫い目に沿って重ねていきましょう。
ポイントは、“裾から重ねていくこと”です。こうすることで、よりキレイに重ねることができます。
左の身頃を右の身頃と重ねるように折る。
次に、左の身頃を右の身頃と重ねていきます。このときも、ポイントは裾から折っていくことでキレイに重ねることができます。キレイな2つ折りになったら、左袖を折り返していきましょう。
左右の裾を重ねたときに注意してほしいのは、“たたみジワの確認”です。シワができた状態でたたんでしまうと来シーズンまで深いシワになってしまうのでシワがないようにたたんでください。
左右の袖を重ねて身頃の上に折りたたむ
左右の袖で重ねて折り返したら、身頃を半分にしましょう。このときも裾を使うことでキレイにたたむことができます。衿までゆっくり移動させ、身頃の上に置きましょう。
クローゼットやたんすが小さい方は、3等分にする方法もあります。ただし基本の本だたみは半分に折りますので、あくまでクローゼットやたんすにしまえない場合のみ行ってください。
袖口と裾がそれぞれ外側にくるようにじゃばら状に折りたたむ
ポイントは、“じゃばら状になるように折りたたむこと”です。袖口と裾は外側にくるように折りたたみ、裏返すと身頃が一番下になります。
じゃばら状になるようにたたむには、シワにならないようにたたむことも大切です。また裾はしっかり掴まないとバラバラに崩れてしまうので扱うときは十分注意してください。
帯のお手入れ方法としまい方
次に帯のお手入れとしまい方です。帯は、基本的に洗濯できないのはご存知でしょうか?着用後は乾いたキレイなタオルなどで汗や汚れをしっかり落としてから、陰干ししてしまいます。
着用した帯は浴衣同様湿気がありますから、陰干しで十分乾燥させてからしまいます。シワがある場合は、あて布をしてアイロンをかけましょう。
汚れを取り、湿気を取る
洗濯できない帯は、しまうときはしっかり汚れを取らなければいけません。
軽い汚れであれば、キレイなタオルで叩くように取り除くだけでOKですが、汚れがひどい場合やシミなどが付いてしまった場合は、自宅では手入れできないのでクリーニングに出しましょう。
湿気取りはハンガーに掛けて陰干ししてください。
シワをアイロンで伸ばす
帯は結んでいるところにシワができやすいものです。しかし洗濯ができませんので、しまうときはアイロンなどでしっかりシワ取りをする必要があります。
特に来シーズンまで着ない場合は、アイロンをかけてキレイにシワを伸ばしておきましょう。洗濯表示を確認し、帯に合った温度であて布をしてアイロンをかけましょう。
たたむか、巻いて収納する
帯のしまい方は、“たたむ”または“巻く”です。たたむ場合は、帯の表を内側にし、半分に折ります。さらに半分に折りますが、収納する場所に応じてさらに折ってもかまいません。
巻く場合は、表を内側にして端を10cm程ずらしてからクルクルと巻いていきます。内側になる端は短いのがポイントです。折り目に気をつけながら行ってください。
浴衣や小物のオフシーズンの保管方法
浴衣は、来シーズンも使えるようにきちんとアフターケアをする必要があります。これまで手入れの方法やたたみ方などを紹介してきましたが、オフシーズンの保管方法はどのように行えば良いのでしょうか?
どんなにしっかり手入れをしていても、間違った保管方法では来シーズンには着られなくなってしまうかもしれません。
オフシーズンでは、浴衣・下駄・バッグなどそれぞれ保管方法が違いますので、事前に確認しておきましょう。
ポイントは、浴衣の場合:湿気のない場所へ、下駄の場合:乾燥材を入れて、バッグの場合:型崩れしないように。また浴衣・帯・小物類は同じ場所に保管するようにしてください。
浴衣のしまい方
浴衣は、“しまう環境”も重要です。本だたみをされる方が多いと思いますが、この場合“着物専用保存袋”を利用するのがおすすめです。専用の保存袋なのでニオイや湿気、カビなどから浴衣を守り来シーズンもキレイな状態で着ることができます。
もし保存袋がない場合は、畳紙(たとうし)を使って保存することもできます。ただし、定期的な交換が必要です。また着物専用の防虫剤を入れて保管しましょう。
クリーニングに出した方は、ビニール袋は捨て、風通しをしてからしまいます。湿気を取り除くことでカビや虫がわくのを防ぐことができます。
ちなみに、畳紙に入れたあとは風呂敷に入れ平らな場所へ保管しましょう。
下駄のしまい方
次に下駄です。浴衣に欠かせないアイテムですが、やはりこちらもきちんと保管しなければ来シーズンに履くことができません。
履き終わった下駄は、風通しの良い場所に置き、湿気を取り除きます。汚れは乾いた布で拭き取りましょう。雨にあたった場合は、水気をしっかり拭き取りましょう。
下駄にもいろんな種類がありますが、合皮やウレタンの場合は硬く絞った布で汚れを取ります。そのあと乾いた布で拭いたら乾燥材を入れた箱に入れてしまいましょう。
エナメルや皮革の下駄は、柔らかい布で専用のクリーナーを使って汚れを落としてください。
鼻緒キーパーというものが売っていますので、鼻緒が広がっている場合ははめておくと元通りになります。
バッグのしまい方
バッグも、浴衣や下駄と同じように汚れを取り除いてからしまいます。ひと口に浴衣のバッグといってもさまざまですが、バッグの種類に合わせて保管する必要があります。
たとえばかごバッグの場合、オフシーズンはカビに気をつけましょう。
風通しの良いところでしっかり乾燥させ、湿気のないところで保管してください。買ったときに入っていた袋や箱に入れて保管するのがおすすめです。
型が崩れないように、紙などで詰め物をしておくと安心です。素材がきちんとしているものは、柔らかいガーゼで汚れを拭き取ってください。
革製であれば中性洗剤を薄めたもので軽く拭き取るとキレイになります。キレイに保管しておけば、来シーズンも安心して使うことができます。
浴衣を着て脱いだ日は早めにお手入れするのが浴衣を傷めないポイント
浴衣は、自宅で手入れした場合もクリーニングに出した場合も、すぐにしまうことで傷めずに済みます。特に自宅で手入れした場合は、脱いだあとも和装ハンガーに掛けるなど工夫が大切です。
シワ予防にもなりますし、湿気が取り除かれてカビの発生を防ぎます。
シミや汚れが目立つ場合も、手早く取り除くことで跡に残る心配がないでしょう。「いつも浴衣は1年着たらダメになってしまう」という方は、手入れの方法や保管方法が間違っているのかもしれません。
ポイントをまとめると以下になります。
- 脱いだらすぐに和装ハンガーに掛ける
- 洗濯する場合は手洗い
- シミは素早く落とす
- シワは手アイロンやひどい場合はアイロンで伸ばす
まとめ
いかがでしたか?浴衣は、自宅でも手入れができます。ポイントは、“脱いだあとの手入れ”と“オフシーズンの保管方法”です。
脱いだあとはすぐに和装ハンガーに掛け、風通しの良いところで湿気を取り除きましょう。
シワが気になる場合は、体温が残っている状態で手アイロンをします。頑固なシワにはアイロンがけをしましょう。汚れが目立つ場合は手洗いで洗濯しますが、洗濯表示に沿って正しい方法で行ってください。
浴衣は間違った方法で手入れしてしまうと、色落ちや生地が縮む原因になります。
ですから、どうしても自分で手入れできない場合はクリーニングに頼るのが一番です。オフシーズンも、ホコリや汚れを取り除き、湿気のない状態での保管しましょう。
1シーズンでダメになってしまう方は、保管方法に問題がある可能性がありますので、一度見直してみてください。
クリーニングのあとも、きちんと湿気を取ってから専用の保存袋や畳紙などで保管するようにしましょう。たたみ方にも“本だたみ”と“襦袢だたみ”がありますが、浴衣の場合はシワのつきにくい本だたみがおすすめです。
少しでも長く浴衣を着るためにも、アフターケアと保管方法は重要です。