日本の伝統衣装でもある着物や浴衣ですが、日常的に着ていると言う人はそう多くありません。しかし中には着てみたいけれど、着方が分からないと言う人も多いです。和服は自分で着られるとぐっとハードルが下がります。
両親や祖母から着物を譲られたと言う方も多いでしょう。着物は冠婚葬祭はもちろん、様々な場で着られるものです。また着付けを覚えていれば、縁日などのカジュアルな場にも浴衣や和服を着ていくことができます。
でも着物を着る上でハードルとなるのが、帯の結び方です。同じ着物や浴衣でも、帯の結び方一つでガラリと印象が変わります。ここでは簡単にできる帯の結び方をご紹介致します。
目次
女性の着物の結び方は「浴衣」「着物」「振袖」の3種類
一口に和服と言っても、実はいくつかの種類に分類されます。「浴衣」、「着物」、「振袖」と言えば分かりやすいでしょう。明確な違いは分からなくとも、それぞれが別物であったり、着ていける場が違うことはご存知でしょう。
浴衣・着物・振袖は同じようなデザインでありながら、それぞれ見た目の印象も不思議と変わってきます。その理由の一つが、帯と帯の結び方が違うからです。
例えば浴衣はカジュアルで涼しげな印象、着物は訪問着風、振袖ははれの場に着る華やかなもの、と言った特徴があり、帯の結び方もそれに合わせたものになります。しかし帯の結び方さえマスターしてしまえば、どんな場にも着物を着ていくことができます。
帯を付けるのが難しくない
着物を着る上でもっともハードルを上げているのが帯の結び方です。特に、日頃から着物を着慣れていない現代女性には取っ付きにくく感じるでしょう。
しかし実のところ、帯の結び方自体はそれほど難しくありません。様々な結び方やアレンジがあるので複雑そうに見えますが、基本の結び方を覚えてしまえば実はとても簡単です。まずは太鼓結びから覚えると良いでしょう。
浴衣の帯の結び方特徴
浴衣と言えば縁日や花火大会に着ていくものと言うイメージがありますが、中には夏場の普段着にしていると言う人もいます。
夏場に着るという事もあって帯は幅が狭い半幅帯で、文庫結びや貝の口結びが一般的です。このような着こなしは涼しげで、着物や振袖に比べるとカジュアルな印象を受けます。
上述の通り、浴衣の帯の結び方で多いのは文庫結びや貝の口になります。このどちらかで帯を結べばまず間違いはありませんが、文庫結びと貝の口結びにはそれぞれ特徴があります。
まず文庫結びは、後ろにある羽根が大きくならないため動きやすく、それでいてリボンのようになるので華やかです。花火大会など屋外に出る時におすすめですが、一方で椅子に座ったり背もたれに寄り掛かると文庫が潰れてしまいます。
もし室内に居ることが多い・椅子に座る機会が多いと言う場合には、潰れてしまう心配がない貝の口結びが良いでしょう。
加えて最近では若い女性向けに様々な帯の結び方が提案されており、伝統的な帯の結び方以外にも色んなアレンジを楽しむことができるようになっています。伝統衣装だからと言って、伝統通りに着るのではなく、自分なりのオシャレを楽しむことができるのが浴衣なのです。
着物の帯の結び方特徴
次に着物についてです。着物と言うと広義的に思えますが、要は訪問着です。人様に出るのに恥ずかしくない恰好ということで、シーンによってはあまりカジュアルなものは避けなければなりません。
しかし訪問着が全てフォーマルかといえばそんなこともなく、あくまでこれから自分が行く場所がどのような場であるのかを把握した上で、着物や帯の結び方を考えると良いでしょう。
なお訪問着の着物の場合、そのデザインは絵羽模様であることが多いです。絵羽模様とは、肩から胸や袖にかけて、縫い目に関係なく1つの絵柄のように繋がっている模様のことです。
絵羽模様で描かれる模様は、古典的な模様から近代的な洋花まで様々です。色や模様に合わせ、帯や小物で自分なりのアレンジを楽しむことができます。
訪問着の場合の帯の結び方は、袋帯を用いた二重太鼓がオーソドックスな結び方になるでしょう。若い方ならばふくら雀でも問題ありません。袋帯は留袖に合わせることもでき、結婚式などでも結ぶことができます。
なお留袖は着物の中でも既婚女性の第一礼装とされている着物ですが、実際は黒留袖は既婚女性が着るもので、色留袖の場合は未婚・既婚にかかわらず着ることができます。
振袖の帯の結び方特徴
成人式などに着る振袖は非常に華やかです。人生で何度あるか分からないはれの舞台での装いなので、帯も浴衣や訪問着でできない美しい結び方をしたいものです。では、振袖にピッタリの帯の結び方とはどのようなものでしょうか。
華やかながらも上品な印象にしたいのであれば、ふくら雀がおすすめです。リボンのような可愛らしい結び方ですがスッキリとしていて品が良く感じられ、崩れにくいので、成人式のような長時間の式や外出にも向いています。
文庫結びもおすすめになります。文庫結びと言うと浴衣の印象が強いかも知れませんが、浴衣の帯と振袖の帯は幅も質感も違うため、まるで別物のように感じられるでしょう。飾り紐でアレンジをしたり、羽根を多くとることでまた違った印象になります。
成人式のようなはれの日ならではの結び方と言えば、立て矢結びです。その名の通り、斜めに矢を立てたような結び方で、振袖に劣らぬ華やかな印象です。
また最近では、美容師さんや専門の着付け師さんがオリジナリティ溢れる結び方を開発しています。中には帯を花に見立ててバラや百合のように結ぶ、などの結び方もあり、振袖でも昔とはまた違った楽しみ方ができます。
着物と振袖の帯の結び方を一挙公開!シーン別に着こなそう
一口に着物と言っても、浴衣、訪問着、振袖など種類は様々であり、種類によって着ていく場も変わってきます。もちろん、帯の結び方もどのような着物を着るかや、どのような場に赴くかによって変わります。
洋服にもシーンに応じたものがあるように、着物や帯の結び方もシーンに応じたものを選ばねばなりません。ここでは着物のシーン別の着こなしについて解説し、その場にふさわしい帯の結び方をご紹介いたします。
着物の結び方
訪問着や留袖をはじめとして、様々な場で身に着けることができる着物ですが、ここでは「二重太鼓結び」などの、着物の帯の結び方や、それぞれの特徴、相応しいシーンについて触れていきます。
二重太鼓結びの特徴、使えるシーンなどを解説
女性が着物を着る上で、帯の結び方には様々な種類があります。帯の結び方は単なるオシャレで選ぶものではなく、その場に応じたものを選ばねばなりませんが、基本となるのは一重太鼓結びです。
しかし、今回この場でご紹介するのは一重太鼓結びではありません。一重太鼓結びによく似た、二重太鼓結びであり、主に改まった場での正装に合わせた結び方として用いられます。
二重太鼓結びは女性の帯の結び方の一つであり、一重太鼓結びとの違いは、その名の通り太鼓の部分が二重になっていると言う点です。丸帯や袋帯を結ぶ時に用いられる結び方で、一重太鼓より華やか、かつ格が高いとされるのが特徴です。
結び方講座(結ぶ手順)
- 二重太鼓結びの結び方ですが、まず最初に手を2つ折りにすることで帯幅を半分にします。外側に輪がくるように左肩にかけた状態でウエストまで取ります。この時重い帯だと、衿元が崩れやすくなるので注意しましょう。
- 帯を胴体に二度巻きます。この時、帯板の帯幅を2センチから3センチ程度広げて二巻き目に入れましょう。
- たれを折って仮紐をかけますが、女性用の帯は幅と長さがあり、重たいことが多いため、仮紐は強めにかけるよう意識します。仮紐をかけたら、折れている状態のたれの帯幅を面に向けて広げましょう。この時しっかり広げることできれいに仕上がります。
- 次に太鼓の大きさを決めますが、まずは帯の右側を持ち、肩に掛けて前へ持っていきます。お太鼓の大きさの決め方ですが、胴体に巻いた帯の下側から、大体8センチ程度のたれと、5センチから6センチ程度の長さをとります。
- そこを中表に折り、たれを内側にした状態で背中側へ回し、重ねます。たれとお太鼓になる部分を重ねる時、お太鼓の部分をたれ先よりも10センチほど長めにとって、帯山にしましょう。その帯山を片手で上から持ち上げて、たれの上に枕を入れます。
- 枕を両手で持って前で紐を結びますが、仮紐と帯山の間と、たれの裏側の枕の下に余分があるので下に下げて整えておきましょう。
- 帯揚げをかけ、お太鼓の両縁を整えながら、手先をたれ先から8センチ程度のところに当てます。余分な手先をたれの裏側にしまい、帯締めを通して結び、仮紐を抜いて形を整えることで二重太鼓は完成です。
一重太鼓結びの特徴、使えるシーンなどを解説
着物を着る上で最初にマスターしたい帯の結び方が、一重太鼓結びです。手順さえ覚えてしまえば初心者でも簡単に結ぶことができる上、どんな着物にも合わせやすい結び方になります。
そもそも一重太鼓結びとは、名古屋帯に用いられる女性の帯の結び方です。名古屋帯は袋帯に比べると短いですが、一重太鼓結びにちょうど良い長さで、軽くて締めやすいのが特徴です。
ちょっとしたお出かけといったカジュアルなシーンから、セミフォーマルなシーンまで、幅広く通じるポピュラーな帯の結び方なので、着付けを覚える際には一重太鼓結びの結び方もあわせて覚えておきましょう。
結び方講座(結ぶ手順)
- まず最初に手先の長さを決めますが、大体身幅に10センチから20センチを足した程度が良いでしょう。そのまま帯を胴体に一度巻き、右手で帯を締め、手先を左手で引いてさらにもう一巻きしたら、脇から斜めにして折り上げます。
- 手先を下ろして仮紐でおさえますが、この時は右の帯下を通すようにして前で結びます。手先の輪が下になるようクリップやピンチで留め、たれ元を広げます。
- 帯揚げを巻いた帯枕は、右前で帯の内側にあててお太鼓を作り、両手でお太鼓の山を持って整えます。帯枕は帯の上線まで持ち上げてお太鼓を乗せ、帯枕の紐を結んで帯の中にしまった上で、さらに帯揚げを仮結びします。
- 仮紐をはずしたら、その仮紐を今度はお太鼓の内側に当てて、たれを持ち上げて長さを決めます。仮紐は手前で結び、手先を留めていたクリップ・ピンチを外したら手先は後ろへ回しましょう。
- 後ろへ回した手先は仮紐に添うように通して、お太鼓から左右それぞれ1センチから2センチくらい出るよう調整した上で、帯締めを通して締め、仮紐を外します。
- 帯揚げを左右の脇から通し、それぞれ開いて3つ折りにし、さらに折り畳んで上前側を重ねて結び、上から巻いてもうひと結びします。残った部分は帯の内側にしまい、最後にお太鼓の形を整えることで一重太鼓結びは完成です。
角だし結びの特徴、使えるシーンなどを解説
着物を普段着にしたいと考えている方におすすめしたいのが紬です。紬は普段着としてよく着られる着物のことです。着物とは何も、晴れ着や振袖ばかりではないのです。
最近ではオシャレな紬も増えてきたようですが、紬はあくまで普段着であるという認識は忘れないようにしましょう。紬で改まった場に出るのはNGです。
そんな紬に合わせたい帯の結び方が、角だし結びです。角だし結びは文庫結びなどに比べると大人っぽい印象を受ける結び方で、帯の種類は袋帯や名古屋帯が適しています。お太鼓枕を背負わない分、カジュアルで動きやすい結び方のため、普段着の紬にピッタリになります。
結び方講座(結ぶ手順)
- 角だし結びをする上で最初に用意したのは、帯枕です。18センチ×3センチくらいの厚紙にガーゼと帯揚げをつけることで帯枕にするので、事前に用意しておきましょう。
- 肝心の結び方ですが、最初に帯板の下線より長めに手先をとって一度胴体に巻きます。手先の下部を左手で背中の中心で引き、右手で引き締めたらもう一度帯を胴に巻いて引き締めます。
- 背中側で内側に斜めに折り上げ、手先を下ろし、仮紐でとめます。仮紐を通す時は、右側の帯の下を通した上で前で結ぶようにしましょう。
- たれの内側から手先を右へ通して上へ折り返して長さを決めますが、背幅を目安にすると良いでしょう。たれ先を内側に折り上げておはしょりの下まで持っていき、左右の端をクリップなどで留めて固定します。
- ここで最初に用意した帯枕を使用します。帯の内側に帯枕を入れるのですが、この時帯枕を入れるのは両手を下げた位置にし、その状態で帯山を整えて背中に付けます。この時、足を一歩引くとやりやすいです。
- 枕帯のガーゼを身体の前で結び、帯揚げを仮止めして、先程つけたクリップと仮紐を外します。お太鼓の大きさをおはしょりの下くらいに合わせて決め、内側に当てた帯締めをくるむように片手で中心を持って、もう一方の手でたれを内側へ折り込んで、前で帯締めを締めます。
- あとは帯揚げを結んで形を整えれば角だし結びの完成です。
銀座結びの特徴、使えるシーンなどを解説
先ほど触れた角だし結びですが、角だし結びとよく似た結び方に「銀座結び」があります。
銀座と言う高級感のある地名が入ったこの結び方、なぜそのような名称なのかと言えば、戦後に銀座のママが名古屋帯でアレンジした角だし結びが転じて銀座結びと言う名称になったから、と言われています。
銀座のママがアレンジしたと言うだけあって、銀座結びは女性的なふくらみを持たせつつ、粋な雰囲気がある結び方です。フォーマル・セミフォーマルな場には相応しくないとされていますが、カジュアルなシーンでは女性らしい銀座結びでお出かけするのも良いでしょう。
結び方講座(結ぶ手順)
- 最初に、角だし結びの結ぶ手順と同様、厚紙で帯枕を作り、ガーゼと帯揚げをかけておきます。
- 帯板の下線より長め身手先を決め、胴体に一度巻きます。手先の下の方を左手で持ち、背中の中心で引いて帯を右手でしっかりと締めたら、もう一度胴体に巻いて引き締めます。後ろは斜めに折り上げましょう。
- 手先をおろしたら、仮紐をします。仮紐は右側の帯の下を通して身体の正面で結ぶようにしましょう。
- たれの内側から右へと手先を通して移動させ、上に向けて折り返します。長さを決める時は、輪を左にして、背幅を目安にすると良いです。ここまでができたら、帯を上から仮紐で押さえて身体の前で結びます。
- ここで最初に用意した帯枕を使います。まずお太鼓の山の位置を決めますが、帯枕を両手を下ろした状態の位置のたれの内側にあてます。そのまま背中に帯山をつけて、枕につけたガーゼを前で結び、帯揚げは仮留めします。
- 仮紐を外して手先を整えますが、この時お太鼓の内側には余り分があるので、それを広げます。
- お太鼓の位置は胴に巻いた帯の下線から4センチほど下にします。位置を決めたら帯締めをあてて、お太鼓の下を片手で持ち上げもう片方の手で帯の下線まで折り上げ、先程あてた帯締めを締めます。この時たれの先は長めにすると良いでしょう。
- 最後に仮紐を抜いて、帯揚げやお太鼓の形を整えて完成です。
振袖の帯の結び方
非常に華やかな振袖ですが、そんな振袖を着る上で欠かすことができず、かつ振袖を一層華やかにしてくれるのが帯の存在です。
帯を含め、振袖の着付けは美容院などでやってもらうものと思いがちですが、帯の結び方を覚えれば自宅でもできます。
立て矢結びの特徴、使えるシーンなどを解説
振袖の代表的な帯の結び方と言えば、立て矢結びです。蝶々結びを斜めにしたような立て矢結びは立体感があり、非常に華やかです。女性らしい華美な模様や色が多い振袖だからこそできる帯の結び方でもあります。
しかし華やかで、立体的な形状を見ると、素人が自分で帯を結ぶには少々ハードルが高いように感じてしまいがちです。
実のところ立て矢結びは、非常に簡単な結び方です。元々立て矢結び自体が、華美な振袖にも似合い、かつ簡単に結べるようにと考案されたものです。慣れないうちはちょっと戸惑ってしまうこともあるかと思いますが、一度覚えてしまえば実はとても簡単です。
結び方講座(結ぶ手順)
- まず手先の長さを決めます。先に帯板をあてて、左脇に柄止まりを合わせ、手先を上にしたまま胴体に二度巻きましょう。
- 結び目が太いと結びにくくなるため、結び目をできるだけ細くなるよう脇を三角に折り上げます。手先も三つ折りにした上で、帯の上線の上にくるように一度結び、たれを広げます。
- 次に、羽根の大きさを決めます。たれを折ることで羽根の大きさを決めますが、この時上羽根は左肩から5センチ程度、下羽根はおはしょりの下線に合わせてたれ先を内側に折り込むと良いです。
- たれ先で羽根を作りますが、この時クルクルと巻いたタオルを羽根の間に入れます。帯枕でも良いですが、立て矢結びの場合はタオルを巻いたものの方がおすすめです。
- 中に入れたタオルを挟み、蝶々結びのような形になるよう羽根を作ります。綺麗な形ができたら羽根の中心をたすき掛けのように紐で固定した上で、帯揚げをかけて身体の前で結び、そのまま手先を下ろして外側に巻き、帯揚げを隠します。
- この状態だと手先が余っているので、余った分は帯の上線から中へ入れましょう。あとは羽根の下に帯締めを通し、羽根の形を整えたら立て矢結びの完成になります。
- 花流水結びの特徴、使えるシーンなどを解説
成人式などで着る振袖の帯の結び方と言えば立て矢結びが有名ですが、花流水結びも華やかでおすすめです。
花流水結びは立て矢結びから派生したバリエーションの一つで、結び方もそれほど変わりません。立て矢結びからは花流水結びの他にも様々な派生やアレンジが生まれていますが、その中でも花流水結びは人気が高いです。
立て矢結びと花流水結びにはどのような違いがあるのかと言うと、羽根の形にあります。花流水結びでは羽根を作る時に、内側に折り込むたれの下羽根を垂らすため、お尻部分を隠したい方や、背後の柄が寂しい振袖の際におすすめです。
結び方講座(結ぶ手順)
「花流水結び」の結び方ですが、前項触れた通り基本的には立て矢結びの手順と同じになります。そのため、「結び方講座(結ぶ手順)」を参考にしてください。
では立て矢結びと比べて何が違うのかと言うと、それは羽根の形を作るときです。
羽根の形を作るときにたれは内側に折り込まれている状態ですが、その下羽根をZ型にたらすことで華やかな印象になります。
花結びの特徴、使えるシーンなどを解説
近年、伝統的な帯の結び方以外にも様々なアレンジや結び方が提案されています。成人式や結婚式など、はれの日に振袖をまとった女性がより美しく、華やかであれる帯の結び方として人気を高めているのが、花結びです。
花結びとはその名の通り、帯で花をつくるというものです。花結びはどのような花を作るかによって帯の結び方が変わり、様々なアレンジがあるため、厳密に「花結びはこのように結ぶ」と言うわけではありません。
バラやぼたん、梅、あじさいなど、その形や結び方は様々です。しかしその独自性故に素人では難しいと思われがちですが、実は素人でも花結びは可能です。次からは花結びの結び方について解説していきます。
結び方講座(結ぶ手順)
- まず柄止まりを左脇にします。手が下、たれが上にくるようにしましょう。手とたれを下ろしたら、三重ひもをつけます。
- 三重ひもとは、和服の着付けの際に用いられるアイテムで、その名の通りひも(ゴム)が3本連なっています。変わり結びを行う際に使用されることが多いです。
- 三重ひもをつけたら、たれの根本を用いて三つ山のひだを折ることで羽根を作ります。ひだのあるリボンを片側だけ作るようなイメージで形を整え、三重ひもの2本目のゴムにかけます。
- 同じ要領で右側にも羽根を作り、手前にあるゴムにかけます。この時先に作った左側の羽根も手前のゴムにかけてたすき掛けのようにして形を整えましょう。残ったたれも同じように三つ折りのひだを作り、2本目のゴムでとめます。
- 今までに作ったひだを押し上げるように、ひだの下に帯枕を入れ、下に垂れている手先で逆箱ひだを作り、奥のゴムでとめましょう。一番手前の羽根に帯締めを通して前で締め、それぞれの羽根の形を整えて完成です。
- ここでご紹介した結び方は、数ある花結びの中でもあくまで一例に過ぎません。他にも様々な花結びがあるので、振袖をより華やかにしたい方は研究してみると良いでしょう。
蝶文庫結びの特徴、使えるシーンなどを解説
振袖におすすめの帯の結び方の1つとして、「蝶文庫結び」があげられます。文庫結びと聞くと、比較的簡単に結ぶことができる女性の帯の基本の結び方であり、何となくシンプルなイメージです。
そんな文庫結びは華やかな振袖には合わないと思われるかも知れませんが、そもそも蝶文庫結びはオーソドックスな文庫結びとはちょっと違います。
蝶文庫結びは文庫結びをアレンジしたものなので確かにベースは文庫結びですが、文庫結びに比べると可愛らしく、リボンのような装飾が華やかであるため、振袖にピッタリの結び方です。
文庫の上に、更に大きなリボンが乗っている結び方、と言うとイメージしやすいのではないでしょうか。
結び方講座(結ぶ手順)
- まず手先の長さを決めますが、手先は長めにとります。お腹の3分の1辺りの位置に柄止まりがくるようにすると良いでしょう。
- その後は、基本的には文庫結びと同じ結び方をして、たれ先で羽根を作ります。身体の前で帯揚げを巻いた帯枕を結び目の上に乗せて結び、手先と枕帯の間に羽根幅の4分の1を谷になるよう押し込めます。
- 先程作った羽根に文庫結びと同じ要領で中山ヒダを作り、手先にもひだを作ってゴムでとめます。
- 羽根の中心に手先に作ったヒダを合わせて紐でとめます。この時、紐はたすき掛けのように結ぶとしっかり固定されます。
- ここまでくると、蝶文庫結びの形は殆ど出来上がっています。帯留めを手先の輪へ通して身体の前で締めましょう。
- あとは羽根の形を整えて完成です。帯締めなどが見えないよう、背中を覆うように羽根を広げてあげましょう。
- 蝶文庫結びと文庫結びは一見すると文庫結びに似ていますが、この2つを並べるとその違いははっきりとしています。女性帯の基本とも言える文庫帯のアレンジなので結び方もそれほど難しくないため、やり方さえ覚えてしまえば自宅でもできる結び方です。
蝶文庫結びは振袖だけでなく浴衣にも使える結び方なので、是非マスターしましょう。
ふくら雀結びの特徴、使えるシーンなどを解説
振袖で使える帯の結び方に「ふくら雀結び」があります。ふくら雀と言う可愛らしい名称は、雀が寒い冬に全身の羽根を膨らませて寒さをしのぐ姿からきていると言われています。
そんな名称の通り、ふくら雀結びはふくらんだ雀が羽根を伸ばしているように見える、女性的で可愛らしい帯の結び方です。またふくら雀は着物や帯の図案としても人気です。
ふくら雀結びは非常に縁起が良いものとされ、成人式の振袖以外にもお見合いや結納などの場でも用いられることが多いものです。
女性ならば覚えておいて損はない結び方です。次からは、そんなおめでたいふくら雀結びの結び方について解説していきます。
結び方講座(結ぶ手順)
- まず最初に手先の長さを決めておきます。手幅4つ分を目安とすると良いでしょう。帯板を当てたら柄止まりを背中の中心にし、二度巻きます。帯の上線で結びますが、この時たれ先が上になるように結びましょう。
- 次に結び側のたれで羽根(左羽根)を作ります。たれは肩から少し出るくらいを目安にして結び目近くで位置を決めて羽根をとります。山ヒダを2つ作ったらゴムでとめて固定した上で、仮紐で押さえましょう。
- 次に右羽根を作ります。右羽根は手先を折り返すことで羽根を作りますが、基本的には右羽根の時と同じで山ヒダを2つ手先で作り、ゴムでとめたら仮紐の下に入れます。
- この時点で左右の羽根が交差している状態になりますが、その交差している部分に帯枕を乗せて身体の前で結んで固定させ、仮紐を外します。
- 先程乗せた帯枕に帯揚げをかけて身体の前で結び、帯枕の幅を目安にたれでヒダを作って箱ヒダにします。箱ヒダをとったらたれに紐をかけますが、この時は羽根と背の間に紐を通して身体の前で結ぶようにしましょう。
- お太鼓を作るために、帯の幅の下3分の1くらいの位置を目安にしてたれを折り上げ、帯締めを通します。たれ先はおはしょりの下線に合わせるようにしましょう。
- 最後に帯の裏側になっている部分を中へ入れ、お太鼓の左右を広げたり羽根を開いて形を整え完成です。
よく使うシーン別の結び方
帯の結び方は様々ですが、どのような着物を着るかや、どのような場に赴くかによって相応しい結び方が変わってくるため注意が必要です。
例えば成人式で着る振袖ならば立て矢結びやふくら雀結び、蝶文庫結びなど華やかなものが相応しいです。しかしフォーマルな場でも冠婚葬祭などで自分が招待される立場の場合は、二重太鼓結びが相応しいとされています。
気軽に帯のアレンジを楽しみたい場合や、帯でオシャレを楽しみやすいのは浴衣でしょう。カジュアルな装いであるため、様々なアレンジを楽しむことができます。
女性浴衣の帯の結び方としては文庫結びや貝の口結びがメジャーですが、最近では浴衣や振袖用に花を模した花結びも人気を高めています。
成人式の振袖の場合は「蝶文庫」がおすすめ
成人式は振袖を着た本人が主役として立てる場なので、華やかな帯の結び方を希望する人が多いです。
女性らしい模様や色合いで華美なものが多い振袖なので、帯の結び方も立て矢結びや花流水結び、蝶文庫結び、ふくら雀結び、花結びなどがピッタリですが、自宅で着付けを行うならばおすすめは蝶文庫結びです。
蝶文庫結びは文庫結びのアレンジ版とも言える結び方で、女性帯の結び方の基本とも言える文庫結びをマスターしていればそれほど難しくありません。
文庫結びも上にちょこんとリボンが乗ったようなデザインで可愛らしいですが、蝶文庫結びはリボン部分がさらに華やかになるため、成人式などの場でも埋もれません。
訪問着の場合は「二重太鼓結び」が基本スタイル
改まった場に訪問着として着物を着ていく場合、帯の結び方もそれに相応しいものを選択しなければなりません。二重太鼓結びは女性帯の結び方の中でも必ず覚えたい基本的なものになります。
二重太鼓結びは訪問着以外でも用いることができる帯の結び方になりますが、太鼓部分を作る時は、これから自分がどのような場に赴くかによって大きさを変えるようにしましょう。礼装として着用するなら大きめ、普段着ならば小さめがおすすめです。
二重太鼓結びはシンプルな結び方になるため、振袖などの華やかな着物には向きませんが、日常的に着物を着る生活をしたいと考えているならば必ずマスターしておきたい結び方になります。
結びの基本は「お太鼓結び」と「文庫結び」迷ったらこの2つが無難。
近年では日常的に着物を着ているという人も減り、特に若い人にとっては縁日や成人式に着るものという認識が強まっています。そんな中で着物の着付けを覚えるのは、なかなか大変かも知れません。
しかし最近では若い人の中でも日本の伝統文化を大事にしようと考える人が増えていますし、着物の着付け教室などもあちこちで開催されています。(参照:和装振興研究会 報告書)
もし最初に何を覚えたら良いか分からないと言う事であれば、まずは基本的な着付けと、「お太鼓結び」と「文庫結び」を覚えると良いでしょう。この2つの帯の結び方は着物を着る上での基本中の基本とも言えるため、最初にマスターしておきたいものです。
女性の美の追求が帯の結び方をどんどん変化させている。こだわりたい方は自分なりのアレンジも試してみて!
着物というと代表的な日本の伝統衣装です。それ故にきっちり着こなさなければならないと考えてしまい、自然とハードルを高く感じている方が多いですが、自分なりのアレンジで着物に新しい可能性を見つけるという楽しみ方をする人も増えています。
そもそも着物自体、時代の流れと共に様々な変化を見せています。特に帯はその傾向が顕著で、最初は小袖を安定させるためのものでしたが、17世紀末頃になると装飾性を高めていきました。
近年では花を模した帯の作り方である「花結び」など、新しい帯の結び方やアレンジが提案されており、中には自分なりのアレンジを見つける人もいます。
まとめ
近年、日本の歴史や伝統に興味を持つ女性が増え、それにともない日常的に着物を着て過ごしたいと考える人も増えてくるようになりました。しか30代以上の女性でも、一度も着た事が無いと言う人もいます。
着付けや帯の結び方を覚えるのはなかなか大変だと考える人も多く、尻込みしてしまいがちです。しかし実のところ、着物の着方や帯の結び方はそれほど難しくありません。
とは言え、帯の結び方には様々なものがあります。帯の結び方によっては「フォーマルな場向け」のものや、「可愛いけれどフォーマルな場ではNG」と言うものもあり、最初は何から覚えたら良いか分からず戸惑うこともあるでしょう。
基本を押さえたいならば「お太鼓結び」と「文庫結び」がおすすめです。どんな着物や浴衣にも合わせることができる結び方なので、この2つを覚えておけばまず間違いはありません。
最近では着物を普段着にすると言う人も増えてきて、そういう人はカジュアルなシーンならば様々なアレンジをきかせた着方や帯の結び方をしていると言うことも多いです。着物は日本の伝統衣装ですが、必ずしも型通りの着方をしなければならないと言うわけではありません。
もちろんフォーマルな場では従来の着方・帯の結び方を守らなければなりませんが、プライベートな場であれば、自分なりの着方を模索することでオシャレを楽しむこともできます。