10代や20代前半の時に来ていた浴衣を引っ張り出して着てみると、30代の自分には全く似合わなくなっていて、鏡の前で愕然としてしまったという経験はありませんか?
もちろん30代だからといって若い女性が好んで着そうな可愛い柄の浴衣を着てはいけない訳ではありませんが、「色」と「柄」の組み合わせを考えた選び方をする事が必要でしょう。自分の年齢と体型を加味して、自分に合った色と柄の浴衣選びをすれば、周りがあっと驚くほど、存在感のある「浴衣美人」に変身できます。
例えば身長が高い人は、浴衣が男性の着流しみたいに見えてしまうリスクがあるので、帯と浴衣の色は反対色にしてバランスを取る事が必要ですし、無地のものよりも紫陽花などの大きな柄があるものの方が、身長の高さが強調するのを防ぐ事ができます。
身長が低い人は、反対に帯と浴衣の色を同系色にする事で身長アップ効果をもたらす事ができます。身長が低い人が浴衣を着ると子供っぽく見えてしまうので、縦長効果のあるストライプの模様が入った浴衣を選ぶと尚良いでしょう。
またぽっちゃり型の人は引き締め効果のある黒や紺色の生地を選ぶと良いですし、痩せ型の人は膨張効果のある白やクリーム色の浴衣を選ぶと良いです。
浴衣の色や柄にはそれぞれ意味や特徴があるので、それを知って選んでみると益々浴衣が好きになります。それではご一緒に色や柄について学んでいきましょう!
目次
人気の和柄14選
最近は従来の和柄とは違ってモダンで洋風な色や柄が描かれた浴衣に人気が集まっています。確かに洋服と同じようなイメージで浴衣にチャレンジ出来るので失敗が少なく、着やすいという印象がありますが、やはり浴衣をとことん突きつめていくのであれば、伝統的な和柄を着こなしてみたいと思うでしょう。
和柄が持つ独特な世界観は女性の艶っぽさを演出してくれるので、若い人から年配の女性まで女性らしさを醸し出す事ができます。特に30代に近くなってくると和柄の方が女性らしい感じを醸しだせる事に気がつくでしょう。
さらに和柄は季節感や思いが込められているので、それらを理解して着こなせるようになれば、浴衣マスターも夢ではありません!浴衣の選び方は和柄の意味を学んでから進めていくと、浴衣の世界が益々面白くなります。
牡丹・芍薬、特徴と意味
「立てば芍薬、座れば牡丹…」と言われるほど、古くから美人のイメージを表すのに使われている牡丹と芍薬ですが、どちらも小さな蕾から大輪の花を咲かせるので、「富貴」とか「幸福」の象徴として愛されているお花ですから、この柄を選べば、浴衣の選び方を学ぶ必要はないかもしれません。
牡丹や芍薬の柄がふんだんに散りばめられた浴衣は本当に色も華やかで目を引きます。浴衣に不慣れな若い女性はこの牡丹や芍薬柄から始めると、自信を持って振る舞えるのでおすすめです。また牡丹や芍薬の柄を身にまとうことで運気が上がるとも言われていますので、良い気分を味わいましょう。
蝶、特徴と意味
蝶の柄は色が華やかで一見若い女の子向きのような感じを受けますが、蝶の持つ意味は「長寿」や「復活・変化」、「不老不死」です。少し意外な感じがしますが、長寿と取られるのは「蝶」と「長」の音が同じであるからで、また「復活・変化」、「不老不死」と取られるのは、サナギから蝶になっていく様子から来た意味になっています。
浴衣の選び方として縁起の良さを重視するなら、蝶が良いのは明白で、美しく舞う姿に永遠の命を感じたのかもしれません。美人薄命では無いという事でしょう。
撫子(ナデシコ)、特徴と意味
「大和撫子」というイメージから連想するように、撫子の花の意味は「優雅」、「美しさ」、「笑顔」です。派手な色のイメージでは無いですが、凛とした佇まいの中に純粋な美しさを感じるのが撫子で、見ているだけで幸せな気分になるお花です。決して派手ではないのですが、撫子の柄はお花と同じように存在感を感じさせてくれますから、浴衣の選び方では申し分のない選択と言えます。
撫子の柄の浴衣を着ているだけで、笑顔が溢れてみんながhappyになる感じです。笑顔でいれば素敵な恋も見つけられるでしょう。
菖蒲(アヤメ)、特徴と意味
凛とした佇まいの菖蒲は美人の象徴とも言えるお花で、菖蒲の浴衣の選び方は紺色や紫色の生地を選ぶことが大切で、そうすることで一層、美人度を増してくれます。菖蒲は「しょうぶ」とも読みますから、「勝負」とかけていて、「勝負強さ」を意味している他、「尚武」にかけて、大切なものを考えたり、礼儀正しいという意味を表しています。
これらの意味から考えると、菖蒲の柄は何かしら女性の強さを象徴しているようにも思えます。また菖蒲は昔から魔除けのお花としても有名ですから、強くて美しい女性にこそ着て欲しいデザインでしょう。
桜、特徴と意味
日本人が一番好きなお花である桜は五穀豊穣を表したり、豊かさや始まりを表したりするとても縁起の良いお花です。また美人で有名だった木花咲耶姫の名前が由来とも言われていますから、ピンク色の桜柄の浴衣を着ると、なんだかhappyな気分になること間違いなしです。
桜柄の浴衣の選び方は親しみやすい柄ですから、若い人なら白地に桜柄を選べば初々しい感じですし、30代以上の女性であれば、黒や紺地に桜柄を選べば色っぽい雰囲気になるので、おすすめです。
ツバメ、特徴と意味
ツバメは幸せの象徴で、今では中々見られなくなりましたが、軒先にツバメが巣を作るとその家に幸せが来ると言われたものです。
ツバメは巣に待っている雛のために、オスとメスが交互に餌を運んでくる事から、夫婦円満や家庭円満の意味があるとされています。夫婦で夏祭りに出かけるなら、ツバメ柄の浴衣を着ていると凄く素敵で映えますから、選び方云々を語る必要はないかもしれません、もちろん夫婦になる前であっても、落ち着いた色のツバメ柄を着ていることで、恋愛が順調である事が察せされて良いかもしれません。
椿、特徴と意味
武士の間では花がポロっと落ちることから不吉なお花として捉えられていましたが、和柄としての椿は寧ろ縁起の良いお花として親しまれていて、椿は樹齢800年を超える長寿のお花であることから、「長寿」とか「継続」という良い意味があります。
また椿の花の色の鮮やかさや美しさは誰もが知る通りで、椿が一輪咲いているだけで、多くの人が注目してしまうほどの美的存在感があり、柄には「美」や「反映」をも表すとされています。椿柄の浴衣の選び方はやはり椿の花柄が引き立つようなデザインを選ぶ事が大切でしょう。
水仙、特徴と意味
日本でも春を告げるお花として愛されている水仙ですが、白い水仙の花言葉は「神秘」だそうです。水仙の凛として涼やかな印象から、和柄にしてみると、「知性美」とか「気高さ」、「おしとやか」という意味を表します。
水仙柄はパッと目を引く美しさがあるのだけれど、知的な美しさを感じて、ちょっとやそっとでは近寄りがたい女性を表しているのかもしれません。水仙柄の浴衣の選び方は知的なイメージを印象付けるために、紺色や黒色の生地を選んで色は抑える事が大切です。
藤、特徴と意味
古来より藤の花の紫は高貴な色として認識されており、藤の花は女性の美しさを際立たせる不思議な力を秘めているお花です。そのため藤の花柄は「気高さ」や「知性美」を表しているとされています。
また藤の花は繁殖力が強く、他の植物などに絡まりながら見事な花を咲かせるので、「いつまでも美しく」とか「子孫繁栄」などの意味も持っています。
藤の花柄の浴衣はどんな色でも相性が良いので、選び方は自分に似合う配色で決めるのが一番です。明るい色合いでもおとなしい色合いでもコーディネートしやすいのが藤の花柄の良さでしょう。
しだれ藤、特徴と意味
しだれ藤は藤の花と同様、繁殖力が強く、ツルの先に多くの花をつけることから、「子孫繁栄」を表すとされています。
子孫繁栄を意味していると、独身の女性が身につけるのはちょっとと思うかもしれませんが、藤の花は姿や色の美しさから、日本女性の美しさを表すとされるほど、「美の象徴」的お花です。独身の女性の場合は、しだれ藤が持つ、「たおやかさ」や「気品溢れる美しさ」の方を意味して着こなすと良いでしょう。
因みにしだれ藤や藤の花の花言葉は「恋に酔う」とか「あなたを歓迎します」という意味がありますから、しだれ藤の柄の浴衣は好きな男性と一緒にいる時に着てみたいと思った時に着るのが良いかもしれません。
梅、特徴と意味
春一番に咲く梅の花は縁起の良いお花ですが、同時に寒くて辛い冬を耐え忍ぶので、「忍耐力」を表すお花でもあるので尚更日本人に愛されています。また古来より日本人は梅が忍耐力だけでなく、知恵も使って乗り切っているととらえていたため、「知的な可愛さ」も梅の花に見出していたようです。
さらに我慢して耐え忍ぶことで、丸くて可愛らしいお花をつけることから、「澄んだ心」や「繁栄」という意味も込められています。丸くて可愛いらしくて独特な愛嬌があるけど芯が強いというイメージですから、梅の花柄の浴衣の選び方としては、赤色やピンク色などの帯などを差し色に使ったりして、女性らしさをアピールするのに徹する事です。
トンボ、特徴と意味
古来より日本ではトンボをとても縁起が良いものとして受け入れてきました。トンボはまっすぐに進むことから、目標に向かってまっしぐらに進む「勝ち虫」と考えられていたため、トンボの柄も縁起が良いとして浴衣や着物に使用されています。
田んぼの守り神のイメージがあったり、勝負事に強い虫の象徴であったりするトンボですから、浴衣の柄としての選び方は大柄のトンボを選びたいものです。大胆に描かれているトンボがいくつも散りばめられていると、まさに運気上昇の気配を感じます。トンボ柄の浴衣の色は白系で地味なものが多いので、帯は自然を感じるようなウグイス色などを選ぶと良いでしょう。
朝顔、特徴と意味
浴衣の和柄で有名なのは朝顔でしょう。紺色の生地に朝顔の柄は見るだけで爽やかな気分になります。朝顔が浴衣の柄に使われる意味に明確なものは見当たらないのですが、朝顔の花言葉は「愛情」や「平静」、或いは蔓が絡みつくことから、「あなたに絡みつく」とか、「あなたと結びつく」という意味があるそうです。
朝顔の柄の浴衣の選び方は自分に合った色の生地を選ぶ事です。なぜなら、朝顔の柄がとてもオーソドックスであるため、紺色だけでなく、ピンクや白系など色のバリエーションが豊富にあるからです。
朝顔の柄は多いので他の人と差をつけたいのであれば、赤系やピンク系などの一風変わった色を選ぶのも良いでしょう。
薔薇、特徴と意味
浴衣に薔薇の柄があると、「おっ!凄くお洒落!」と目を引きます。薔薇を浴衣の柄として選ぶのであれば、全体をモダンなイメージに整える事が重要です。薔薇の柄の浴衣は洋風なデザインが多く、白系や紺色、ピンク、紫など、カラフルな生地が使用されている事が多いです。薔薇のデザインもモダンなものが多いので、浴衣に負けないようにヘアアレンジなど工夫した方が良いでしょう。
西洋で薔薇というと「愛」や「美」の象徴であり、浴衣の柄にあしらうことで、可憐な美しさが際立って見えます。薔薇の柄の洋服だとインパクトが強過ぎるきらいがありますが、浴衣の柄となると、儚いようで凛とした美しさを感じる事ができます。
浴衣の色を選ぶ際の基本(色のもつイメージ)
最近の浴衣は色や柄が豊富なので、選び方を知らないと迷ってしまいがちです。特に色や柄が自分や周りに与える印象は大きなものがあるので、慎重に選んだ方が良いでしょう。
見た目は素敵な色だと思って購入したのに、いざ腕を通してみると、お相撲さんみたいとか、演歌歌手みたいなんて事が実際に多くあるからです。
浴衣で失敗したくないのであれば、オーソドックスな青や紺色がおすすめですし、落ち着いた優しい印象を与えたいのであれば、白系の浴衣がおすすめです。白系の浴衣も柄にインパクトがあれば、引き締まった印象になるので、ぽっちゃり型の人でも安心して着る事ができます。
また、他の人とかぶりたくないのであれば、黄色やオレンジ系、黒系などがおすすめです。それでは色が与えるイメージについてご紹介していきます。
赤・ピンク系の浴衣の色のイメージ
女性らしいイメージと言えば赤やピンクを思い浮かべるでしょう。男性があまり身につけない色ですから、思いっきり女性をアピールしたいなら赤や色をまとうべきです!
赤は「愛情」や「活気」、「強烈」、「勇気」等のエネルギッシュなイメージで、ピンクは「アイドル」や「愛情」、「甘い」、「女性的」等の優しいイメージです。
選び方の基本は10代や20代の女性であれば、ピンク色の生地に薔薇の柄がついた浴衣を着て可愛らしさをアピールし、30代以降の女性であれば、赤色の生地に椿や梅の柄で色っぽさをアピールしても良いでしょう。
黄色・オレンジ系の浴衣でハッピーオーラを身にまとう
happyで楽しいイメージと言えば黄色・オレンジ系でしょう。着ているだけで自分だけでなく、周りにもhappyオーラを与える事が出来る不思議な色です。
黄色は「明るい」や「酸っぱい」、「幸福」、「のどか」等のイメージがあり、オレンジは「賑やか」や「ビタミン」、「陽気」、「楽しさ」等のイメージがあります。
黄色やオレンジ系の浴衣の選び方はは柑橘系の柄が描かれたものを選ぶと、さらに個性的な感じを強める事ができます。たとえ浴衣が白地でも、黄色やオレンジのお花が散りばめられた柄であれば、黄色やオレンジ系の浴衣として個性的な印象を与えます。
青・紺色系の浴衣で落ち着いた雰囲気を演出
浴衣の代表的な色と言えば、青や紺色でしょう。着痩せ効果がありますし、海や空など自然に多く見られる色なので、自分も周りも落ち着いた影響を受ける事ができます。
青は「安息」や「涼しさ」、「落ち着き」、「信頼」等のイメージがあり、紺色は同じく「落ち着き」や「夏」などの知的なイメージがあります。
紺色の浴衣の選び方は自分が大人っぽく仕上げたいとか、知性的な印象にしたい等、どんな感じに仕上げたいかをまず決める事が先決です。青・紺色の浴衣は種類が多いので、柄によって雰囲気が変わってくるからです。
水色・緑系の浴衣にはどんな印象が?
暑い夏の日に清涼感を与える事が出来るのが、水色や緑系の浴衣でしょう。水色の浴衣は若い女性向きですが、白地に水色の柄が入っていると、30代くらいの女性でも色っぽく着こなすことができます。
水色は「爽やか」や「ひんやり」、「若々しい」、「透明感」等のイメージがありますし、緑は「エコロジー」や「環境」、「自然」等のイメージがあります。
緑系の浴衣の選び方は清々しい色である事から、その良さを生かして上品に仕上げる事が大切です。同色系の帯や小物を使って、全体を引き締めて落ち着いた印象に仕上げるようにしてください。
紫系の浴衣で大人びた印象を演出
浴衣で大人っぽい印象を与えたいのであれば、少し近づきがたいような大人の色香を醸し出す紫色がおすすめです。紫色は「高貴」や「エキゾチック」、「魔法」、「華麗」等のイメージがあります。
紫は赤系から青系から幅広く存在しており、特に日本の伝統色には「茄子紺」、「紅紫」、「菖蒲色」など様々な紫色があります。紫系の浴衣の選び方は優しい印象にするか、大胆にするかを決める事から始まります。紫系の浴衣は優しい花柄のものから、格子柄のように目立つ柄まであり、自分がどのような雰囲気を好むかで柄選びが変わってくるので、全体のイメージを掴む事が大切です。
黒系の浴衣で素敵にコーディネート
著者が一押しなのが黒系の浴衣で、上品で高級なイメージを与える事ができます。黒は「神秘」や「高級」、「クール」、「威厳」など、ちょっと近づきがたいようなオーラを漂わす事ができます。
黒色の浴衣の選び方は、帯の色を明るいものにしたり、白いレースをあしらったりなどして、差し色が引き立つようにする事が大切です。黒は重たい印象を与えがちですが、シンプルで基本となる色なので、アレンジ次第で驚くほどの涼しげなインパクトを与える事ができます。
黒地の浴衣に大きな花柄などが描かれているのもインパクト大で、髪の毛も思いっきり遊べるのが黒の浴衣の使い勝手の良いところでしょう。
白系の浴衣で好感度の高いコーディネートを
清楚な印象を与えたいのであれば、白系の浴衣がおすすめです。白は「純粋」や「清潔」、「明るい」、「可能性」等のイメージがあります。
白系の浴衣は優しい印象を与え、好感度が上がるのは間違いなしでしょう。白地の浴衣は年齢を問わず着ることができるので、長年愛用できるというメリットがあります。
白系の浴衣の選び方ははともすれば、帯の色などをインパクトの強いものにする事で、全体をグッと引き締めた印象にする事が大切です。白系の生地は全体的にぼやけた印象になりがちですが、大胆な柄をあしらったものを選べば存在感をアピールする事ができますし、また涼しげで、ほんのりと優しい印象を与える事が出来るので使い勝手が良いです。
日本人なら知っておきたい日本伝統色
奇抜な色の浴衣もインパクトが強くて良いですが、やはり30代も過ぎて落ち着いてくると、日本人に馴染みやすい日本伝統色や和柄を使った浴衣にチャレンジしてみてはどうでしょうか。
四季の移り変わりに敏感な日本人は古くから、植物や昆虫など自然の中に存在する色を独特な感覚で表すことに長けていました。日本の伝統色とは日本古来から伝わる色彩文化に基づいた色と、歴史資料に出展がある色などを総称したもので、1,000色以上あります。
日本の伝統色を使用した浴衣の選び方に決まった形はありませんが、まさに芸術的な美しさを表現出来るものが多いので、色の意味や特徴を理解して選ぶことをおすすめします。
日本の伝統食や和柄は日本の文化や風土に通じる色合いで、日本人に最も親しみやすい色ばかりで、浴衣美人度が上がりますから、使わない手はありません!それでは日本伝統色の代表的なものをご紹介します。
古代紫(こだいむらさき)
武蔵野で生産されていた紫草の根を使って染められた青みがかった紫の代表として、江戸紫がありますが、古代紫は江戸紫よりも赤みがやや強く、くすんだ色合いとなっています。同じく赤みがある紫で色味がくすんでいる伝統の京紫に似ていますが、京紫の方が赤みがやや強いです。
古代紫の浴衣の選び方は上品でとても女性らしい雰囲気の和柄、例えば牡丹や芍薬などが描かれたものを選ぶ事が大切です。アイシャドウにも利用される古代紫は女性らしさをアピールするのに最適な色ですから、女っぷりが上がる和柄を選びましょう。
鶯 色(うぐいすいろ)
鶯色は鳥の鶯の羽の色のような黄緑にやや茶色を加えてくすませた色で、江戸時代には鶯色に茶色をもう少し加えた鶯茶が庶民の間で流行しました。江戸時代後期になると、現代の鶯色が女性の間で大人気となり現在に至っています。
鶯色の浴衣の選び方は帯などでコーディネートを変える事が重要です。なぜなら鶯色は落ち着いた印象があり、職場の着物だったり、年配の人が着たりしている事が多いので、色や柄が地味なもので統一してしまうと、とても老けて見えてしまうからです。鶯色は色や柄のバランスを考えれば、驚くほどスタイリッシュな印象を与える色として存在感をアピールしてくれます。
千歳緑(せんざいみどり)
千歳緑は平安時代からおめでたい色として愛されており、不老不死や縁起が良いものの象徴である常盤の松の緑色を表しています。灰色がかった暗みがプラスされた、奥行きを感じさせるような深い緑色で、藍と黄色みの強い刈安をかけて染め上げられたものであるとされています。
千歳緑の浴衣の選び方は重たくなりすぎないようにする事が大切で、金魚やお花などが明るい色で大胆に描かれている柄を選ぶのがポイントです。さらに女性の場合は帯や髪飾りなど、装飾を明るいものにしてバランスを取る事も忘れないでください。
一斤染(いっこんぞめ)
一斤染(いっこんぞめ)は欧米のペールピンクに似た淡いピンク色で、浴衣にすると女性らしさが華やぐ可愛らしい色です。
一斤染の名称は紅花大一斤(600g)で、絹布2反を染めた色から来ています。平安時代、大変高価であった紅花を大量に使用する事は天皇の許可がない限り禁止されていたのですが、この一斤染程度の淡い色であれば、庶民であっても使用する事が許されていたので、別名「聴色(ゆるし色)」と呼ばれています。
一斤染の浴衣の選び方は色が持つ優しい印象を柄でも表現する事が大切です。桜や梅などの花柄や雀などの柄を選んで甘い印象に仕上げれば申し分ないでしょう。
銀 鼠(ぎんねず)
江戸時代に庶民の間で流行した鼠色で、やや青色が入っている明るめの銀色なので、錫色とも呼ばれています。
江戸時代には度々「奢侈禁止令」が出されたので、庶民の間ではいかに地味な色の中にわずかな明るい色を足すことで粋な色を作り出してそれを身にまとうかが流行となりました。
銀鼠の浴衣の選び方は一見地味な色合いなので、大判の花柄やモダンな柄、時にはトラ柄など、大胆な柄との組み合わせが必要です。帯の色を黒系や赤系など濃い色を使うと、引き締め効果が出てバランスがよくなります。難しい色に見えますが、色をうまく併せるとオシャレ度がアップする色なので、渋いオシャレにチャレンジしてみてください。
浅葱色(あさぎいろ)
浅葱色は平安時代から登場している伝統色で、薄いネギの葉の色のような薄い藍色のことから、この浅葱色という名前がつきました。
浅葱色がよくわからないという人は江戸時代に一世を風靡した新撰組を思い出してください。新撰組が着用していた羽織の色がこの浅葱色で、とても映える色である事がお分かりになるでしょう。
浅葱色の浴衣の選び方は、描かれている柄がうまく浅葱色とコントラストになっているかを意識する事です。浅葱色の浴衣の柄は白色で描かれている事が多く、これが目に飛び込んでくるほどインパクトが大きいので、鳥や大判の柄、トンボ柄など、目立つ柄を選んでみてください。
山吹色(やまぶきいろ)
山吹色は山が吹くように花が咲き乱れていて、一面が赤みがかった黄色に覆われている様子を表す色です。生命力に溢れた色ですから、happyオーラ満開となる事間違いなしでしょう。
また山吹色は小判の色に似ていることから、別名黄金色とも呼ばれています。浴衣として着るだけで金運までアップしそうな勢いです。
山吹色の選び方のポイントは、山吹色に負けないくらい柄も大胆な柄を選ぶ事が大切です。一見派手な色ですが、柄の大小を問わず、また黒系や赤系、白系、青系など、どの色とも相性が良いので使いやすい色です。大人っぽい印象にするか、甘いイメージにするかを最初に決めて、柄を選ぶようにしてください。
朱 色(しゅいろ)
朱色は朱肉の色に似た、少し黄色がかった鮮やかな赤色で、縄文時代に作られた土偶などからも朱色が使われていることから、かなり古くから愛用されていた伝統色です。
朱色の浴衣の選び方のポイントは大正ロマン風に仕上げる事でしょう。朱色の鮮やかさは目をみはるものがありますから、柄はちょっとレトロな花柄やモダンな柄などにして見ると、竹久夢二の絵画に出てくるような美しい女性像に変わる事ができます。
朱色の浴衣に朱色の口紅と合わせるとかなり色っぽい感じになるでしょう。
墨 (すみ)奈良時代
(画像出典:https://www.kimonoichiba.com/products/detail.php?k_pid=1128976)
墨色には「濃、焦、重、淡、清」の「五彩」というトーンがあり、その中でも伝統色である墨色は焦に近い灰黒色を表します。
墨色は奈良時代から伝わる歴史のある色で、僧侶がまとう色であったり、凶事を表す色であったりしたのですが、近年ではこの奥深い黒色が、神秘的なイメージを醸し出すので、おしゃれな人の間で使われる色として愛されるようになりました。
墨色の浴衣の選び方はいかに差し色を使うかがポイントです。白色で大判の柄が描かれていたり、帯が山吹色を使ったりして、明るい印象に仕上げてください。
縹 色(はなだいろ)
山藍で染めた青色の事で、浅葱色と藍色の中間くらいの青さです。もともと露草の青色を表す言葉として縹色という言葉が生まれたため、別名、露草色とか花色とも呼ばれます。
縹色は露草の自然な美しい色を表していますから、縹色の浴衣の選び方は、この色が持つ自然で優しい雰囲気と同じような、優しい柄を選ぶことにあります。花柄や金魚柄も良いですし、空を表すような自然を表すような柄でも、縹色が持つ美しい世界観を一層高める事ができるでしょう。縹色は一味違った青色なので、青系が多い浴衣の女性の中でも目立つことでしょう。
刈安色(かりやすいろ)
緑がかった黄色で、山野に自生するイネ科の植物である刈安で染められています。刈安色は赤みを含まない黄色なので、とても目立つ色です。
生地全体が刈安色の浴衣の場合はかなり勇気が必要ですが、白やグレーの浴衣に刈安色で花柄など柄が描かれていると、とても涼しげですし、清涼感があって女性らしさを感じさせてくれます。
刈安色の浴衣の選び方のポイントは紫系や青系の帯で締める事でしょう。これらの色との相性が良いので美人度がアップするのでおすすめです。大判の花柄など上品なデザインの浴衣を着こなせば、おしゃれな女性をアピールできます。
茜 色(あかねいろ)
古代から存在する茜草の根で染められた赤色で、同じ茜草の根から染められた色として緋色があります。緋色はとても華やかな赤色であるのに対し、茜色は少しくすんだ濃い赤色です。
茜色は夕焼け空を形容するのに適した言葉でもあり、とても目立つ色なので、浴衣の場合比較的若い女性に向いていると言えます。もちろん30代以降の女性でも柄によっては着こなせないわけではないですが、かなり大胆な感じになるので、選び方のポイントとしては、少し落ち着いた感じで茜色を着こなせるように、帯などで締め色として使用すると良いでしょう。
焦 香(こがれこう)
高価な香木である丁子(ちょうじ)を使ってなんども染めて出来た色で、やや赤みのある、くすんだ茶色を表します。因みに丁子はハーブでお馴染みのクローブの事です。
色だけ見ると、くすんだ茶色なので、同系色を使った柄が描かれていると、大人しい感じはしますが、下手をすれば、年配の人が着る着物のようなイメージになってしまいます。
そこでおすすめの焦香の浴衣の選び方は、色や柄に多くの色が使われているものを選ぶ事です。元々落ち着いた色合いなので、多くの色を使って大胆に描かれた柄があった方がバランスが取れますし、帯も赤紫などインパクト大の色を選ぶ事で、「垢抜けた」知性的な女性を印象付ける事が出来ます。
青 紫(あおむらさき)
青紫は万葉の時代から貴族が愛用していた色で、深みがあり、青系が強い濃い紫色を表しています。同系色として竜胆(りんどう)色や桔梗色、菫(すみれ)色があり、これらのお花の色を想像すれば、どれくらい濃い紫色かが分かると思います。
青紫色の浴衣は若い人から、年配の人まで幅広く楽しめるので、選び方や柄を難しく考える必要がなく、一枚は持っておく事をおすすめします。青紫の浴衣であれば、帯の色は黄色でもピンクでも、何色でもコーディネートが簡単に出来ますし、小物を変えるだけでアレンジが自在なので、使いやすい色と言えます。
萌黄色(もえぎいろ)
春になって萌えたつように誕生してくる新芽を表す鮮やかな黄緑色のことで、平安時代には若者向けに流行したとされています。
萌黄色は鮮やかな黄緑なので、若い女性に向いているように思えますが、選び方を考えれば30代以降の女性でも着こなす事ができます。
例えば浴衣の生地が萌黄色でも、その中に描かれている柄が同系色で目立たない感じで描かれていれば落ち着いた印象になります。帯も同系色でまとめても良いですが、黄色など目立つ色を使うことで地味すぎないようにするのも良いでしょう。
黄 丹(おうに)
王丹は日本の皇太子様が着用する色として古くは養老律令に登場している色です。クチナシと紅花を使って染められており、曙の太陽のごとく美しいオレンジ色です。
王丹の浴衣の選び方は、とにかくビタミンカラーオレンジが引き立つような、例えば紫とか、黄色の帯と組み合わせるなど、ビビットカラーをバランスよく使うのがポイントです。
王丹の柄は伝統的な和柄からモード系のものまでおしゃれに決まりますから、普段はおとなしいイメージの人でも、大胆な柄にチャレンジしてみてください。
着物は色だけでなく体型や顔立ちなどから選ぶのがおすすめ。
着物を選ぶ時、色や柄、価格などを選定基準にしがちですが、正しい選び方はまず自分の体系や顔立ちを考慮する事が必要です。
例えばぽっちゃり型の人が、白系やアイボリー系の浴衣を選ぶと体系が膨張して見えてしまいますから、紺色や黒系の濃い色の浴衣を選ぶのがおすすめです。反対に痩せ型の人は、紺色や黒系の色の浴衣を選ぶと痩せすぎに見えてしまうので、白やアイボリー系が似合います。
目鼻立ちがはっきりしている人は百合の花や縦縞などシャープなものが似合いますし、ほんわか柔らかな顔立ちの人は、お花がたくさんあしらってあるような、ロマンチックな浴衣が似合います。
浴衣は見ているだけだと良さそうに思えても、実際に着てみると似合わないという事が多々ありますので、購入前に必ず試着してください。
パーソナルカラーを利用してあなたに似合う色を見つける方法
人にはそれぞれパーソナルカラーがあり、自分に似合う色がわかれば、それを考慮して浴衣を選ぶのが最適な選び方だと言えます。
パーソナルカラーを知るには専門家に相談しても良いですが、ネットには簡単な質問に答えるだけで自分のパーソナルカラーがわかる診断サイトがありますから、それらを利用してみると良いでしょう。
因みに「花SaKUonline 」というサイトでは和のパーソナルカラー診断をしており、青み系と黄み系で分類しています。青み系の場合は柔らかな感じの同系色でまとめた着物を選択しており、黄み系の場合は鮮やかで大胆な柄を使用した着物を選択しています。着物の選び方の参考になりますから、是非チェックしてみてください。
伝統を考えるのも必要だが、格が低い浴衣は自分の好きな色を選ぶのが浴衣を楽しむ最大のメリット
着物というと伝統的なもので、ちょっと敷居が高いイメージがありますが、浴衣であれば現代風にアレンジしたものもあるので、気軽にチャレンジ出来るでしょう。
浴衣の色はビビットカラーもあれば、日本の伝統色もありますし、柄は伝統的な和柄があれば、モダンでスタイリッシュな洋風のものもあります。まずは自分が興味のあるものから着てみて楽しいと思えるようになる事が大切です。
その後、浴衣の選び方を参考に、より自分に合う浴衣はどんなものがあるかとか、浴衣の色や柄にはどんな意味があるのかを学んでいけば、浴衣人生がより豊かなものになるでしょう。
最初は気軽に浴衣から始めたのが、どんどんハマっていってしまって、着物の専門家になってしまうかもしれません。着物の世界はより奥が深いのでどんどん興味を広げていってください。
まとめ
浴衣の選び方は年齢や体型を考慮して選んでいけば、まず間違いはありません。ましてや浴衣は色や柄が豊富にあるので、楽しんで選んで着ていれば、なお一層心がワクワクするものです。
浴衣の色や柄には古来から伝わる日本の伝統的なものがありますから、それらの意味や特徴を理解して浴衣を選ぶ事が出来るようになれば、浴衣美人度が上がりますし、また、周囲の人から「あの人は出来る!」と一目置かれる存在となるでしょう。
色や柄について学んでいけば、着物の世界への扉が開かれるかもしれません。最初は気軽な浴衣から始めたのに、いつしか芸術的な着物の世界へ魅了されることでしょう。
着物を着る機会が減ってきていますが、まずは浴衣を着なれていくことで着物にもチャレンジしていってください。