着物の着付けともなれば、着物や帯の他に必要な小物が山のようにあります。一方、浴衣は着物よりもかなり簡略されているものの、着るとなればやはり必要不可欠なものがいくつかあります。
浴衣や帯が必須というのはわかりますが、それだけでは浴衣を着ることはできないのです。また、男性と女性とでは必要なものが少し違います。
では、男性が浴衣を着るときに必要なものとは何なのでしょうか。浴衣を着る時の必須アイテムの他、なくても着ることはできるけれどあったら浴衣がより素敵な見える小物アイテムをご紹介します。
浴衣を着ているというだけでも粋な雰囲気が出てくるものですが、さらにオシャレ度をアップさせるために必要なものをチェックしてみてください。
目次
浴衣を着るときの必須アイテム10選
浴衣を着るときには、浴衣と帯の他にもさまざまな必須アイテムがあります。
女性ではないので肌に直接浴衣を着ることもできますが、やはり最低限の肌着は揃えておいた方が良いですし、浴衣に直接帯を締めれば良いというものでもありません。
絶対に必要というわけではないものの、せっかく着物を着ているのですから用意した方が良いものもいくつかあります。
荷物を入れておくのには、浴衣とコーディネートされたバッグがあると良いですし、暑い真夏には扇子があれば適度に涼むことができて実用的な上、着物の雰囲気がより良くなること請け合いです。
さらに、浴衣を粋に着こなすためにあると良いアイテムというものもいくつかあるので、ご紹介します。
1.浴衣
まず浴衣は必要ですよね。浴衣を選ぶポイントは、男性の場合はおはしょりを作らないので、やや短めの丈で身長に合わせたサイズのものを選ぶことです。
目安としては、身長から30センチ程度引いた数値が着丈と思えば良いでしょう。といっても、これはあくまでも目安です。
実際に着てみた際には、帯を締めた時に浴衣の裾が足のくるぶしあたりになればOKです。帯を締めない状態では、浴衣の裾は床に付くか付かないかくらいのものを選ぶと良いでしょう。
また、袖丈は、腕を下ろした時に浴衣の袖が腕のくるぶしよりもやや短いくらいのものが適当です。浴衣の場合、洋服よりも短めの方が良いので間違わないようにしましょう。
また、素材は、綿、綿麻、麻、ポリエステルなどから好みのものを選びます。
2.帯
浴衣に次いで必須なのが帯でしょう。男性の帯は、角帯(かくおび)、兵児帯(へこおび)などと呼ばれています。素材はいずれも、絹や綿、麻、ポリエステルなどがあります。
男性の帯としてスタンダードなのが角帯です。ウエストちょうどに締めるのではなく、下っ腹の下あたりに下げて結ぶのが粋な結び方です。ビール腹の人はこの結び方がぴったり合うハズです。
実際に結んでみて気に入った柄のものを選びましょう。最近の帯はリバーシブルになっていることが多いので、1本購入すれば気分によって2通りに使えて経済的です。
一方の兵児帯は柔らかいことが特徴です。柔らかい分、子供っぽくなりがちなので、色は渋めのものを選んでおくと浴衣とのバランスがよくなるはずです。
3.肌着
浴衣は、男性の場合は肌に直接着ても構いません。特に夏まつりに行くのであれば、汗をかいてせっかくの浴衣が台無しになってしまい兼ねません。
しかし、ノリのきいた浴衣の場合、夏でも肌着を着た方が快適に過ごせることがあります。
肌着は、肌襦袢やステテコを揃えておくと良いでしょう。夏といっても肌寒く感じられる時期のイベントに参加するような時には必須アイテムといえます。
夜間ともなれば気温はさらに低くなるので、保温機能のあるものを選んでおくのも良い方法です。足袋インナーなども用意しておくと安心です。
また、肌着は、肌襦袢の代わりにVネックのTシャツなどでもOKです。色は、白やグレーなど透けにくいものを選ぶことがポイントです。(参照:NHK「初心者でも簡単男性のゆかたの着付けと帯結び」)
4.腰ひも
腰ひもといえば、女性の場合はおはしょりを作るために必要なものです。しかし、男性の場合はおはしょりは作らないので、腰ひもは帯を締める前に腰に巻いて、浴衣のえり合わせの仮留めとして使います。
省略することもできるのですが、浴衣を着慣れていない場合は腰ひもを使用した方が着崩れするのを防ぐことができます。
購入の際には、3~5センチ幅、2メートル程度の長さのものを1本用意すればOKです。
また、腰ひもがないという場合には、滑りにくいひもやゴム製のベルトなどを使うこともできるので試してみるのも良いでしょう。
5.補正用タオル
補正用タオルは、ウエストに巻いて帯を安定させるのに使います。
ビール腹という方なら特に何も巻く必要はないのですが、痩せている方は巻いてボリュームを出した方が着崩れなどを防止できておすすめです。
もしも補正用タオルなしで着ると、歩いたりしている内に帯が上の方にずり上がってしまうことがあります。
お腹が出ている方はストッパーになっていて良いのですが、痩せている方は寸胴になるようにタオルを巻いて補正するようにしましょう。
紋付などは特に恰幅ある方が良いとされているので、タオルに加えてバスタオルを巻くこともあるほどです。補正用タオルは、手持ちのハンドタオルを三つに折って腰ひもなどを縫い付けて作ることもできます。
6.下駄・雪駄・草履
浴衣を着たら、足元は下駄か草履、雪駄というのがスタンダードなスタイルです。
草履と似たようなものにビーチサンダルなどもありますが、浴衣にビーチサンダルというのではちょっといただけません。浴衣を粋に着たいのなら、足元にもこだわりを持ちたいものです。
しかし、本格的に桐下駄を履くという前向きな気持ちは良いのですが、中には履き慣れないので不安という方も多いことでしょう。
そのような場合におすすめなのが草履や雪駄なのです。底が薄いことから長い時間歩くのにはやや不向きではありますが、桐下駄よりはリラックスして過ごせるはずです。
最近はモダンなデザインのものもたくさん出回っているので、浴衣や帯とのコーディネートを考えて素敵なものを選びましょう。
【補足】慣れない下駄を履くときのアドバイス!当日に下駄擦れしない対処法
せっかくの浴衣なのだから、足元は絶対に下駄で決めたい、という方もいるでしょう。でも、慣れない内は下駄擦れなどを起こしてしまい兼ねません。
下駄の親指と人差し指の間に付いているひもは前坪(まえつぼ)と呼ばれているのですが、このひもが意外と太目であるため、歩いている内にだんだん指と擦れて靴擦れのようになってしまうのです。
これを防ぐために、新品の下駄は履く前に前坪をぐいっと広げておくのがおすすめです。
もちろん、玄関先や庭などで試し履きをしておき、少しでも慣れておくと良いでしょう。
そして、擦れそうな部分にあらかじめガーゼを当てておきます。また、それでも下駄擦れをしてしまった時のために絆創膏も持ちあるきましょう。
なくてもいいけど、浴衣に合う小物
ここまでは浴衣を着る上ではほぼ必要不可欠なものを紹介しました。
しかし、これらの他にも、あれば浴衣をより一層素敵なものに見せてくれる小物がいくつかあります。
例えば、女性に比べれば持ち歩く荷物はとても少ない男性ですが、着崩れしやすい着物という特徴を考えれば、風呂敷バッグなどの荷物入れがあった方が実用的です。
また、扇子やハットがあると浴衣の粋な雰囲気を倍増させることができます。その他、汗をぬぐうだけと思われがちな手ぬぐいなども、持っていれば意外と使えるシーンがあるものです。
浴衣を着る機会があるごとに少しずつ揃えていけば、より快適に過ごせるとともに粋な雰囲気が次第に出てくるといえるのではないでしょうか。
1.風呂敷バッグ
荷物は、袂に入れたり帯に挟んだりするのも良いですが、信玄袋(巾着)や風呂敷バッグを使うのも素敵です。
着物には洋服のようなポケットがあるわけではないので、大き目の財布やスマホ、たばこなどかさばるものがある時にはきっと重宝することでしょう。
また、スマホなどでも、長時間袂に入れていると次第に浴衣全体の布地がずれてきてしまうので、着崩れの原因になってしまいます。
最後まで粋に着こなすためには、信玄袋や風呂敷バッグはあった方が良いアイテムなのです。
選ぶ際には、浴衣とマッチする生地、デザインにし、財布やスマホ、喫煙者であればたばこも入るくらいの大きさのものにすると良いでしょう。
2.和製
着物といえば、風呂敷や巾着型をした信玄袋が主な荷物入れとなりますが、和風のショルダーバッグを持つというもオシャレで人気があります。
風呂敷などは苦手という男性は、ショルダーバッグを1つ用意しておくと良いでしょう。肩にかけられるので両手が空き、持ち歩くのには非常に便利で実用的です。
ショルダーバッグといっても、最近では、柄は信玄袋と同じような古典柄のものがたくさん出回っています。
信玄袋のひもが、肩から下げられるくらいの長さになったものと思えばよいでしょう。
また、和装との相性が非常に良いのですが、ジーンズなどの普段着に合わせてもとてもオシャレになるはずです。浴衣以外にも出番がたくさん出てくるかもしれません。
3.扇子
また、浴衣には扇子もよく似合います。帯にさしたり袖に入れておいたりと、折りたためば気軽に携帯できますし、ここぞという時に粋な雰囲気を醸し出すことができるという大変便利なアイテムです。
ただし、あまり頻繁に開閉するのは決してカッコよいものではないので注意が必要です。
購入するのなら、男性は7.5寸(22.5cm)サイズのものが使いやすいはずです。お値段は高くなりますが、閉じた時に、紙部分を竹がしっかりカバーしているものが良い扇子です。
また、根元が美しく揃っていて留め具がぴったりと密着しているものを選びましょう。
カラーは、1本目なら白か茶色系を選ぶと無難です。絵柄は、夏に使うということで、白を基調として涼し気なものが良いのではないでしょうか。
4.手ぬぐい
手ぬぐいには実にさまざまな種類がありますが、大きく分けると「総理・文」「岡・特岡」という2つに分けられます。バリっとノリがきいているのは前者で、吸水性が非常に良いことからハンカチ代わりになります。
後者はしっとり柔らかな感触があることが特徴で、素敵なデザインのものが豊富に出回っています。手ぬぐいは、真夏の大量の汗を拭くためだけのアイテムなのではありません。
例えば、浴衣デートを楽しむ時には、女性が地面に腰を下ろす際に、すかさず手ぬぐいをシート替わりに敷いてあげれば良いのです。
また、たいてい綿でできているので、万が一怪我でもした時には、包帯として使えます。比較的安価なので、何枚も持っておいて、コーディネートを楽しむというのもおすすめです。
5.ハット
洋服でも素敵なハットをかぶっている人は周囲から注目されるものですが、浴衣にハットというスタイルもとてもオシャレでよく似合います。
例えば、浴衣で文豪のようなレトロモダンな雰囲気を出したい時などには、ハットは欠かせないアイテムといえるでしょう。また、オシャレなだけではなく、真夏の強力な紫外線を遮るのにもハットは役立ちます。
選び方は、なんといっても浴衣に合わせてコーディネートすることがポイントです。色さえ気を付ければ、麦わら帽子やハンチングなどでも良いでしょう。
さらに、伊達メガネをプラスしてみるのもオシャレ度が高くなるのではないでしょうか。
夏の風物詩(夏祭り、花火大会、盆踊り)に気軽に着ていこう
浴衣といえば女性の楽しみというのは、もはや過去の話しといえそうです。最近では、花火大会や盆踊り、夏祭りといった夏の季節行事に浴衣を着た男子が急増しています。
カップルで浴衣を楽しんでいるというケースもありますが、浴衣を着ているというだけで、女性たちから好感を持ってもらえること請け合いです。浴衣には、着ているだけでその人自身を輝かせる魅力があるのです。
男性も化粧水を使ってお肌を整えるような時代です。男性も、イベントに合わせてファッションを楽しんではいかがでしょうか。
まとめ
男性の浴衣であれば、最低限、浴衣と帯、草履があれば着ることはできます。
しかし、着崩れすることもなく粋な状態を長時間キープしたいとなれば、腰ひもや肌着、補正タオルなど、さまざまなものが必要になってきます。
ここにあげたアイテムを揃えておけば、快適に浴衣を楽しむことができるはずです。
また、最近では夏のイベントに浴衣を着る男性がとても多くなってきており、それぞれ、センスを競いあうかのようにとてもオシャレに着こなしている男性を見かけることも多くなってきました。
浴衣を粋にオシャレに着こなすためには、扇子やハットといったアイテムもまた、必要不可欠なものといって良いのではないでしょうか。
まずは最低限のアイテムを揃え、浴衣を着て夏のイベントに出かけてみましょう。
あとは、回数を重ねていくにしたがって自分なりのオシャレを楽しむことができるようになるものです。すると、いつの間にか粋な雰囲気がにじみ出るようになっているはずです。