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今さら人に聞けない『女性の帯』種類と格についての全知識【まとめ】

着物はその場の格式に合ったものを選ぶ必要があるだけでなく、その季節や雰囲気などにも合わせる必要があり、奥が深くマスターするのが難しい衣服ですよね。

それだけにきちんと正しく着こなしている人は「大人の女性」「教養を身に着けた人」と見なされます。

そんな着物は、女性の場合には実は着物それ自体だけでなく、帯にも「格」が存在します。

せっかく着物は正しいものをチョイスしているのに、帯がちぐはぐで台無し・・・と言うようなことにならないために、帯についても正しい知識を身に着けておきましょう。

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目次

帯の名称は「長さ」と「幅」で分類されている

浴衣の帯

女性の帯にはその格の違いによって種類分けされているのは前述の通り。それぞれに名称があるのですが、それは帯の長さと幅によって呼び分けられています。

代表的なものを挙げますと、

  • 袋帯:幅約31cm×長さ約4m30cm以上
  • 名古屋帯:幅約30cm×長さ約3m60cm

なぜこのように幅と長さが違うのかと言うと、その種類によって結び方が異なるからです。

例えば袋帯は「二重太鼓」というお太鼓の部分が二重になる結び方をするのに対し、名古屋帯では「一重太鼓」、つまり普通のお太鼓の結び方をします。

お太鼓部分を二重にしなければならない袋帯は、当然ながらそれだけ名古屋帯より長さが必要になるというわけです。

ただ、ここで「約」と表現したように、実際には同じ種類の帯でも長さが多少異なります。これは帯を仕立てるときに自分の体形に合わせて長さを調節できるようにしているためです。

帯の長さは合わせる着物や使う場面で選ぶ

着物

前述の通り、女性の帯は幅と長さによって種類分けされており、それぞれに「格」が付されています。

従ってどんなシーンで着用するか、結婚式なのかお茶会なのか、普段着としてなのかなどによって、それにふさわしいものを選ばなければなりません。

例えば「二重太鼓」や「飾り結び」はお祝いの席で使うことが多いため、ある程度の長さが必要になりますし、「一重太鼓」は普段着で使用することの多い結び方です。

それで必然的に、結婚式などでは訪問着や留袖・振袖に合わせて長めの袋帯、普段着では紬や小紋に合わせて短めの名古屋帯、という風に使い分けることができます。

ただし、短めでも柄によっては略礼装としても使用できるため、全てが一概にそうであるとも言い切れません。

シーン別に合わせたい!女性の「帯」を徹底解説

帯

このように、女性の帯は着用するシーンによって、その着物の格に合わせたものを選びます。帯選びのポイントとしては、まず先に着物を決めてからそれに合う格と色・柄の帯を決めること。

もちろん帯も大切ですが、やはり主役は着物ですから、帯を先に決めてしまうとそれに合う着物が見つかりにくく、本当に気に入ったものを手に入れることができなくなってしまいます。

また購入する際、特に長さが重要になってくるものは自分の寸法(手先からお太鼓の山までの長さ)を計っておくと良いでしょう。これを知っておくと帯の前中心に来る柄も確認できます。

以下17種類の帯に関して、特徴や使用できるシーン、注意点などを解説していきます。これらを基に、相応しい格の帯を選ぶようにしましょう。

シーン別に合わせたい!女性の「帯」を徹底解説

1.丸帯とは?

並べられた着物と帯

「丸帯」は幅約68cm、長さ約4~4m50cmの幅広く織った帯を縦に二つ折りして中に芯を入れたもので、つまり仕立ては幅約34cmということになります。

柄は「有職模様(平安期の公家の衣装・亀甲文や向蝶文など)」「吉祥模様(おめでたいしるしの模様・鳳凰や鶴亀、松竹梅など)」を金襴、錦織、唐織などで織りだしており、表裏両方、帯全体に柄が入っているため豪華絢爛、重厚な雰囲気で最も格式の高い第一礼装用の帯と見なされています。

ただしその分非常に重く締めにくいというのが特徴です。

丸帯は元々お洒落が盛んになった江戸時代中期に生まれたもので、結んだ両端をだらりと長く下げる「だらり結び」は歌舞伎役者の影響で当時大流行しました。

しかし戦後軽装が好まれるようになり、重くて結びにくい丸帯は徐々に姿をひそめ、代わりに結びやすい現在の「袋帯」が好まれるようになったという経緯があります。

現在では花嫁の婚礼衣装や舞子さんの衣装として使用される程度で、通常販売されているのを見かけることもありませんが、「アンティーク帯」として探すと見つけることができます。

2.袋帯とは?


袋帯は丸帯を簡略化したもので、前述の通り重くて扱いにくい丸帯に代わって、現代ではこちらが最高格の帯として扱われます。

丸帯は帯全体に柄を織りだしたものを縦半分に折りますが、袋帯は裏面が無地になっている帯を縦半分に折ります。

「どうせ裏面は見えないのだから無地にしてもっと軽くした方が良いのでは?」という合理的な考え方から生まれた帯なんですね。

そのため縦半分に折られた状態で言えば幅は約31cm、長さや約4m~4m50cm位と、丸帯とほぼ同じ寸法になります。

袋帯

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袋帯は元々裏と表を袋状に織りあげた「本袋」の形で作られていましたが、現在では「縫い袋」と呼ばれる、表と裏をそれぞれ約31cm幅で別々に織り上げてから耳を縫い合わせて袋状にする作り方が主流になっています。

あるいは表と裏を合わせて約62cm幅の帯を織りあげて、それを縦半分に折り縫い合わせた「片縫い袋」という作り方もあります。

丸帯に取って代わる礼装用の帯なので、柄は華やかで豪華なものが殆どで、留袖や訪問着、振袖などと併せて二重太鼓結びで使用するのが基本です。

3.全通帯とは?

江戸小紋

帯は柄の入れ方によっても呼び分けされます。

大きく分けると「太鼓柄」と「総柄」で、「太鼓柄」とは太鼓に当たる部分と同の部分にだけ柄が入るように織られているものであるのに対し、「総柄」は帯を締めたときに太鼓から胴の脇部分、垂れの部分まで全て柄で埋め尽くされているもののことです。

「全通帯」とはこのうち「総柄」にあたるもので、帯の表面全体に柄が施されています。

全体に柄が織られているのでその分重く生産コストもかかるためお太鼓柄などより高価になりますが、無地の部分を気にする必要がないため締め方に融通が利くのが良いところです。

スリムな人もふくよかな人も、体型に関係なく締めることができます。

かつて着物が日常着として着用されていた時代、お洒落のバリエーションを増やすためには帯の結び方を工夫するしかありませんでした。

現代とは違いお太鼓結び以外の様々な結び方をしていたため、全通帯でなければ対応できなかったわけです。

従って昔は全通帯が基本で、後代になって太鼓柄が生まれ普及したのです。

4.六通帯とは?

六通帯

(画像出典:きものまめちしきこうざ)

六通帯も帯の柄の入れ方による名称で、帯の6割程度(あるいは6尺程度という説もある)の面積に柄があるためこのように呼ばれています。

帯は胴に2重に巻くため、最初の1重の部分は外からは見えません。つまり柄があってもなくても構わないわけですから、その部分の柄を省略してしまおうという発想から生まれたのが六通帯なのです。

ですから六通帯は帯を広げた状態で見ると、全体の2尺5寸~3尺程度柄が抜けた状態、つまり無地になっています。

全通帯と比べると無地が入っている分だけ軽く価格も安価になりますが、帯を締めた状態では見た目に全通帯なのか六通帯なのか見分けがつきにくいため、これも「総柄」と呼ぶことができます。

六通帯は、基本的にはお太鼓結びにすることを想定して柄が織られています。従って、六通帯で振袖結びの定番である「ふくら雀」をしようとすると、手先の柄部分が足りず無地が出てしまう可能性があるため、注意が必要です。

またふくよかな人の場合も無地部分が出てしまうことがあります。そのため、六通帯を購入する際には結び方や体型も考慮にいれる必要があるでしょう。

5.しゃれ袋帯とは?

更紗

「しゃれ袋帯」とは袋帯の1種で、袋帯と同じ仕立てで作られます。

幅約31cm、長さ約4m~4m50cmくらいで、作り方によって、最初から袋状に織られる「本袋」、表裏を縫い合わせる「縫い袋」、表裏を繋げた幅約62cmのものを縦半分に折って縫い合わせる「片縫い袋」などがあります。

本来袋帯は丸帯に替わる格の高い帯として、豪華で華やかな柄が施され正装に使用されますが、例外的に金糸・銀糸をあまり使用せずモダンな幾何学模様や動物の柄などが入ったカジュアルな袋帯もあります。これを「しゃれ袋帯」と呼ぶわけです。

しゃれ袋帯は、そのカジュアル感から正装としては使用できません。

とは言え袋帯ですから全くの普段着というわけでもなく、ちょっとオシャレして出かけたい時、例えば軽いパーティやコンサートに出かけるときなどに使用すると良いでしょう。

ですから合わせる着物は訪問着よりカジュアルな「お洒落訪問着」や紬、色無地やお召でもフォーマル以外ならしゃれ袋帯と併せることができます。

紬の中では高級感のある大島紬や結城紬などとも合わせやすく、フォーマル以外では幅広く使えるところがメリットです。

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6.京袋帯とは?

着物の生地

「京袋帯」は「袋帯」と名がついていますが、どちらかというと「名古屋帯」に近いものと考えてください。

つまり幅は約30cm程度、長さは3m50cm~3m80cmくらいで短めで、これで二重太鼓結びをしようとしたら短すぎてできなかった、という人も珍しくありません。ではなぜ「袋」という文字が付いているのかと言うと、仕立て方が袋帯に似ているからです。

つまり名古屋帯は最初から半分に折られた帯ですが、京袋帯は自分で折幅を半分に折りながら着用するように仕立てられたもので、前腹の幅を少し広く取りたい時などには便利です。

とは言え名古屋帯と同じ感覚で袋帯より軽く締めやすいものをと考案された、簡易な帯です。前述の通り短めなので二重太鼓には向かず、一重太鼓やそれに準ずる結び方、例えば角出しや変わり結びなどに対応しています。

従って京袋帯も普段着などカジュアルなシーンで使用されます。合わせる着物としては、紬や小紋が多いですが、位置づけは正確に言うと袋帯より下、名古屋帯よりも上ということになり、柄によっては色無地や付け下げも可能です。

7.名古屋帯とは?


「名古屋帯」は袋帯を簡略化したもので、幅は約30cm、長さは3m50cm~3m80cmと短めなのが特徴です。

このため一重太鼓結びに適しており、軽くて締めやすいため、日常的にもっと様々なシーンで着物を着たいという人にとっては一番需要の高い帯と言えるかもしれません。

名古屋帯には仕立て方に幾つか種類があります。「名古屋仕立て」と呼ばれる仕立て方では手先から胴に巻く部分までが半分に折られて仕立てられますが、「松葉仕立て」では手先のみを半分に折り仕立てられます。

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名古屋帯はカジュアルなシーン、つまり紬や小紋などと合わせて使用します。ただ名古屋帯の中でも金糸や銀糸を使ったものはもう少し格上、色無地や付け下げと合わせてお洒落着・準礼装としても使用できます。

名古屋帯の考案者については、名古屋女子大学の創始者・越原春子氏が考案したというもの、あるいは名古屋在住の飯田志よう氏が考案したものという2説があります。いずれも名古屋の教育者によるものということはハッキリしているようです。

8.袋名古屋帯とは?


前述の名古屋帯には仕立て前の寸法と仕立て方によって2通りがあり、仕立て前の幅が約35cm(9寸)のものを「九寸名古屋帯」、約30cm幅のものを「八寸名古屋帯」と呼びます。このうち九寸名古屋帯の方は「袋名古屋帯」とも呼ばれます。

九寸名古屋帯、つまり袋名古屋帯では、幅9寸の帯をお太鼓の部分で8寸2分幅、残りの部分は半分に折り畳み、帯芯を入れて仕上げます。

このため帯芯の厚みを考慮して生地自体は薄めのものを使用します。仕立てとしては、手先から胴に巻く部分までを半分に折った「名古屋仕立て」か定番です。

一方の八寸名古屋帯では8寸2分幅の帯を、お太鼓部分を折り返して二重にし帯芯を入れずに仕上げます。

このため使用する生地も厚めのものになります。仕立てとしては、手先だけを半分に折る「松葉仕立て」が定番となります。袋名古屋帯も名古屋帯の1つですから、基本的にはカジュアルなシーンで使えます。

紬や小紋に合わせて使用しますが、八寸名古屋帯より素材や色柄が豊富なため、華やかな柄や格調高い柄の入った「織り名古屋帯」なら準礼装としても使用することができます。

9.単帯とは?


「単帯(ひとえおび)」とは、裏地も芯も入っていない帯幅に織りあげた帯のことで、幅約30cm、長さ約3m80cm、タレ先と手先だけをかがって仕上げます。

裏地も芯もないので軽やかな付け心地、また横糸を太くした平織りで織る「博多織」や、横糸に複数の色糸を使って模様部分だけを織り進める「つづれ織り」が用いられるため、見た目にも涼やかな印象を与えます。

このため主に浴衣など夏の時期に多く使用されます。

単帯は主にカジュアルなシーンで、紬などの普段着と合わせますが、長さがある為二重太鼓結びやその他様々なアレンジ結びを楽しむことができます。

しなやかで扱いやすいのもアレンジ結び向きと言えます。

今では単帯もあまり見られなくなりましたが、まだ日本人に和装の習慣が残っていた昭和中期くらいまでは、夏の着物として単帯が大活躍していました。

レトロモダンな雰囲気にもピッタリなので、今でも着物でカジュアルなオシャレを楽しみたいなら単帯がピッタリです。

10.半幅帯とは?

「半幅帯」は別名「四寸帯」とも呼ばれますが、これらは名古屋帯や袋帯のような一般的な帯の幅が約36cm(八寸)であるのに対し、こちらはその半分で仕立てた18cm(四寸)幅であるために付けられた名前です。

長さは約3m60cmで、略式の帯である為に公式の場では使用できず、紬や浴衣などの普段着に合わせます。

ゆかたには半幅帯(はんはばおび)や兵児帯(へこおび)を。半幅帯(写真)は帯幅約15cm。リバーシブルになったものを選ぶと両面使えて便利。

しかし浴衣ファッションに人気が出始めた近年では、結び方にアレンジを加えやすいよう、もう少し長めにとられているものもあります。

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半幅帯には「小袋帯」と「単衣帯」とがあり、このうち「小袋帯」とは柄の違う2枚の生地の端を縫い合わせて袋状にしたものです。

このため表裏がなく、その時合わせたい側を表にして締めることができ、結び方によっても表情が異なる為、1本持っていれば様々なスタイルを楽しむことができます。

もう1つの「単衣帯」は、小袋帯のように2枚重ねて作られているわけではないので軽やかで、特に夏の浴衣姿などに良く似合います。

気軽な場で使用できるのが半幅帯なので、頻繁に浴衣や紬などを着たいという人は1本持っておくと便利です。最近ではデザインも豊富で、値段もリーズナブルなものが増えてきました。

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11.踊り帯とは?


「踊り帯」とはその名の通り踊る際に着用する着物に合わせる帯で、舞踏が芸術化されていくにつれて衣装も舞台映えする華やかなものが選ばれるようになった結果、生まれた帯です。

同時に踊りやすさも求められるため、軽やかで動きやすい半幅帯の仕立てが基本になります。

ですからサイズは幅18cm程、長さ3m60cm、つまり踊り帯は踊りに特化した半幅帯の1種と考えておけば良いでしょう。

ただし「一般用の半幅帯」と「踊り帯」に明確な区別はないので、見た目にキラキラしていたり華やかだったりすれば、紬などとではなく踊り用の着物と合わせて「踊り帯」として使用すれば良いわけです。

踊り帯の場合は両面が使える小袋帯で、縦横の裾を同寸法に折り、その角を額縁のように仕立てる「額仕立て(鏡仕立て)」になっていることが殆どです。

半幅帯の中では例外的に華やかな着物に合わせますが、踊り帯もあくまで「半幅帯」であることに違いはないため、公式の場では使用できません。

踊り以外では、華やか度合いによっては無紋の無地や小紋と合わせて仲間内の軽いパーティなどに使用できるかもしれません。

12.腹合わせ帯とは?


「腹合わせ帯」は、同じ寸法の異なる生地を2枚合わせて仕立てたもので、表裏がなくその時その時で好きな方の面を表にして使うことができる、いわば「リバーシブル帯」です。

幅は約30cm、長さは3m50cm~3m80cmと名古屋帯と同じ寸法ですが、名古屋帯は前巾をお太鼓巾の半分に仕立てているのに対し、腹合わせ帯はお太鼓のタレから手先まで全く同じ幅になっています。

そのため腹合わせ帯を結ぶ際には前巾(お腹の部分)の部分を折り合わせなければならないため、「腹合わせ帯」と呼ばれるようになったと言われています。

腹合わせ帯は江戸の元禄時代に考案されたもので、当時は片面に黒の繻子織りの生地を、もう片面に白の博多織の生地を合わせて仕立てていました。

そのため、両面が白黒は「昼夜帯」、あるいはクジラの背中と腹の色に見立てて「鯨帯」とも呼ばれています。

腹合わせ帯も名古屋帯と同様、普段着に合わせて着用します。

しかし名古屋帯とは異なり前巾部分が折られていないので、自分の体形に合わせて前巾を調節できますし、リバーシブルなので1本購入すれば2本の帯を手に入れたようなものです。

名古屋帯より高価になりますが、コストパフォーマンスの良い帯と言えるかもしれません。

13.掛下帯とは?


和装の結婚式を挙げる場合、花嫁は打掛を羽織りますが、打掛の下に着るのが「掛下」、そして掛下に結ぶのが「掛下帯」です。

打掛帯は江戸時代に花嫁が間着の上に文庫結びに締めて打掛を羽織ったことから始まっており、当時は最高格の帯だった丸帯が使用されていました。

現在でも丸帯と同じ長さの約4m~4m20cmですが、幅広の帯地を半分に折って中に帯芯を入れて仕立てられているため、幅は丸帯より細く約27cm程度です。

同じ柄が表にも裏にも通しで入っている「全通帯」になります。

白綸子や白の唐織が帯地に使用されており、白の掛下・白い打掛と合わせて清純無垢を表す「白無垢」が和の花嫁の代表的な衣装になります。

帯を結ぶことは「祈り」に通じるとされており、結婚式のような祝いの場の正装には吉祥や魔除け文様の帯が用いられ、豪華で格のある結び方をします。

ただし掛下帯に関しては現在では花嫁衣裳にのみ使用されており、他の格式のある公式の場での礼装には袋帯を使用するのが一般的です。

14.祝い帯とは?


「祝い帯」は、主に七五三に使用する子供用の帯のこと。特に7才になった女の子をお祝いする「帯解きの儀」で着用します。

医療や衛生面が整えられていなかった昔の日本では、生まれた赤ちゃんが無事7歳まで育ったことを神様に感謝する儀式として「帯解きの儀」が行われていました。

それまでは幼児用の着物に紐を縫い付けていたものが、帯解きの儀からは大人と同じように幅広の帯を使用するようになります。

つまり「祝い帯」は子供にとって「初めての大人と同じ帯」というわけなんですね。

祝い帯は7才の女の子が七五三用に使用するものの総称であり、幅や長さ、仕立てに明確な基準があるわけではないのですが、おめでたい儀式ですから丸帯か袋帯を使用するのが一般的です。

「四つ身」と呼ばれる子供サイズの祝い着の上に締めて着用します。

お母様がご自身で帯を結んであげても良いですが、最近の祝い帯は既に帯結びができている「結び帯」が殆どで、見た目には普通の帯と変わりません。

むしろ着付けが楽で着崩れしにくいですし、可愛らしいデザインのものが沢山出ているので、着物に良く似合うものを選んであげましょう。

15.抱え帯とは?


「抱え帯」は七五三の時に女の子が着用する「しごき」と同じ目的をもつもので、帯の下側に添えて小さなリボン型に結んで使用します。

現代では着物を着つける際におはしょりを作る為、裾を引きずることはなくなりましたが、かつては「お引きずり」と呼ばれる裾を下した着方をしていました。

そのままでは外出時に裾が邪魔になることから、たくし上げる目的で使用されていたのが「抱え帯」です。

従って現代では裾をたくし上げるためではなく装飾用に使用されるのですが、一般に「抱え帯=花嫁衣裳」「しごき=七五三用」と考えている人が多いようです。

抱え帯は幅6cm、長さ3mくらいの縮面や倫子などのしっかりとした素材で芯を入れて使用し、しごきは子供用なのでもう少し小さいサイズ、素材も柔らかい絹などを使用しています。

ただ、実際には花嫁衣装にしごきを使用してもおかしいわけではありません。

しごきには抱え帯にはない長い飾り房がついていて大きなリボン結びをして使用しますから、後姿にアクセントをつけたいなら抱え帯の代わりにしごきを使ってみても良いでしょう。

16.軽装帯とは?


「軽装帯」は「文化帯」「付け帯」「作り帯」と同じもので、自分で結ばなくても良いよう、最初から結ばれた状態に仕立てられた帯のことです。

軽装帯には帯を切らずに仕立てられているものと、背中のお太鼓部分と胴に巻く部分とが切断され2つに分かれているものとの2通りがあり、帯を切らないタイプは近年になって現れたものです。

仕立屋でお願いすれば作ってもらうことができ、普通の帯に戻したい時にそれが可能であるというメリットがあります。

一方2つに分かれているタイプはもっと一般的な軽装帯ですが、これにもお太鼓が固定されておらず自由に大きさを決めることができるタイプと、自分で結ばなくても良いようにお太鼓部分が縫い付けられて固定されているタイプとの2種類があります。

最も簡単に着用できるのが2つに分かれていてお太鼓が固定されているタイプで一番需要が高いのもこのタイプとなります。

帯を胴に巻いて紐で固定し、お太鼓側に付いている留め金を帯に差し込んでから、お太鼓に通した帯揚げを正面で結んで帯の中に隠せば完成です。

17.しごき(扱)帯とは?


「抱え帯」の部分で述べた通り、「抱え帯」も「しごき帯」もかつて武家の女性が着物をお引きずりで着ていた時代、すそをたくし上げるために使用した腰ひもがその原型です。

ただ、抱え帯は懐剣や筥迫と同じ生地で作られた細い帯であったのに対し、しごき帯はやわらかい絹などの布を使用し、普通の幅(約36cm)の帯を絎けたりせずにそのまましごいて用いる点が異なります。

しごいて使うので「しごき帯」と言うわけですね。

現代ではしごき帯は花嫁衣装や、その「小型版」である七五三の7才のお祝いで女の子が使うものとして使用されます。

七五三用のしごき帯は単色染めで房が付いているものが多く、これを帯の下に巻いて左後の脇あたりでリボン結びにして垂らします。

生地には綸子や縮緬を用い、赤やピンク、黄色などのパッと目立つ色に仕上がっているのため、しごき帯を着用していると後姿が華やかになります。

着用する着物や帯に合うものを選びましょう。帯揚げと色を揃える人も多いようです。

女性の帯は男性よりも種類が多い

着物

これまで見てきたように、女性の帯の種類は非常に多いのに対し、男性の着物の帯は2種類のみ。

絹や麻、綿などで作られた幅約8~10cm、長さ約4m程度の硬めに織られた「角帯」と、絹や合繊の柔らかい素材で幅広、長さにも特に決まりのない「兵児帯」で、角帯は礼装からカジュアルまで幅広く、兵児帯はカジュアルや部屋着に使用します。

そもそも男性用は着物それ自体も女性ほど種類が多いわけではないので、帯も同様に細かく使い分ける必要がないのでしょう。

一方女性用は着物の種類もそうですが帯の種類も豊富にすることで、着こなしに変化をつけることができるわけです。

お洒落を楽しみたいのはいつの時代も女性に多いようですね。

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着物の生地

着物を着こなす上で最も注意すべき点は、「格」を合わせることです。これは男性用も女性用も同じで、着用するシーンに応じた「格」の着物を選ばなければなりません。

しかし男性の場合は帯は2種類しかなく、極端な話「角帯」さえ持っていればどんなシーンにも着用できるのに対し、女性の場合には豊富な中から着用シーンに合った格を持つ帯を選ばなけれなならないという点が大きく違います。

従って、例えば黒留袖なら袋帯、紬なら名古屋帯といった風に、自然と「合わせる着物」が決まってくるわけです。

それでまずは格が合っているかどうかを確認し、次いで色や素材が着物と合っているものを選ぶようにしましょう。

まとめ

『女性の帯』種類と格

男性と比べ非常に種類が豊富な女性用の帯。「総柄」「太鼓柄」など、帯のどの部分に柄が入っているかで呼び分けることもありますが、多くは帯の長さと幅、仕立ての方法によって呼び分けられており、それぞれに「格」が付されています。

例えば幅約31cm、長さ約4m~4m50cmで縦半分に折った袋状に仕立てられている「袋帯」は格が高く、主にフォーマルなシーンで黒留袖や振袖などに着用しますし、幅約30cm、長さ3m50cm~3m80cmで袋帯の簡略型である「名古屋帯」はカジュアルなシーンで紬や小紋に合わせて着用します。

また「祝い帯」や「抱え帯」「掛下帯」といった、特定のシーンで特定の女性だけが着用する帯もあります。

帯を選ぶ際にはまず「格」に注意しましょう。フォーマルなシーンで、カジュアルに使用する帯を使用してはいけません。

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ただ、「袋帯だからフォーマル」「名古屋帯だからカジュアル」と紋切り型に考える必要もありません。

本来格は上の帯でも柄がカジュアルであれば小紋に合わせても構いませんし、逆に格は下のはずでも柄が華やかで豪華な雰囲気があれば、訪問着や色無地などと合わせることもできます。

いつの時代にも見られるが、女性の美への追究が実用的な衣服のスタイルを変化させていくという流れが小袖や帯にも刻み込まれている。

格の基本を押さえつつ、個人の好みやセンスを取り入れて、自由に着物を楽しめるようになると良いですね。

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