【着物を質屋に出す前に】買取専門店との相場や仕組みの違いを徹底比較！

着物を売るとき、「質屋と買取専門店のどちらに持って行けばいいのか」と迷う人は多いです。どちらも着物をお金に換える方法ですが、仕組みや目的はまったく異なります。

質屋は「預けて借りる」仕組みで、返済すれば着物が戻ります。（参照：全国質屋組合連合会「質とは」）

一方、買取専門店は「売って終わり」ですが、専門知識のある査定士によって高価買取が期待できます。

この記事では、両者の仕組みや査定の違い、メリット・注意点までを実体験を交えながらわかりやすく整理します。

着物の売却前に知っておきたい質屋と買取専門店の違い

着物を手放すとき、「質屋に持って行くのと買取専門店に出すのは何が違うの？」と迷う人は少なくありません。

一見どちらも「査定してお金にする」点は同じですが、実際には仕組みも目的も大きく異なります。ここを理解しておかないと、後から「思ったより安かった」 「返してもらえなかった」という後悔につながることもあります。

今から、両者の仕組みを具体的に比較しながら、それぞれの特徴をわかりやすく解説していきます。

質屋は「質預かり（担保）＋買取」の仕組みを持つ

質屋は「預ける」と「売る」の両方を扱う特殊な仕組みを持っています。

基本となるのは「質預かり」と呼ばれる制度で、着物を担保にお金を借りる仕組みです。査定によって決まった金額を受け取り、一定の期限内に元金と質料（利息）を支払えば、預けた着物は手元に戻ります。

返済できなかった場合は、その着物が質屋の所有物となり、質屋が販売して貸したお金を回収する。これが質屋のビジネスモデルです。

一方で、最近では「もう使わないから手放したい」という人向けに、質屋でも「買取」を行うケースが増えています。

質預かりよりも手続きが早く、返済期限などの縛りもありません。

ただし、和服に詳しい質屋は限られており、着物の種類や作家、証紙などを見極められない店舗では、一般的なリユース品と同じ扱いで低い査定になることもあります。

買取専門店は売却に特化した査定サービス

買取専門店は、質屋とは異なり「預ける」仕組みはなく、着物を完全に売却して現金を受け取るサービスです。査定後に金額へ納得できればその場で買取が成立し、以後は返済期限や質料といった負担もありません。

つまり、手放すことを前提に高く売ることを目的としたサービスが買取専門店の特徴です。

特に着物買取専門業者では、和服の知識を持つ査定士が在籍しており、作家物・人間国宝作品・産地物（例：大島紬や加賀友禅など）まで正しく見極めてくれます。

販路も広く、リユース市場だけでなく、舞台衣装・海外需要・レンタル用など、複数の販売経路を持つため、質屋よりも高価買取が期待できます。

こうした背景から、着物を手放したい、整理したいという人にとって、買取専門店は価格面・対応面ともに安心できる選択肢といえます。

査定額・対応範囲・目的別で比較

質屋と買取専門店は、どちらも着物を「お金に変える」手段ではありますが、目的・査定基準・対応範囲がまったく異なります。

まず最も大きな違いは査定の目的です。

質屋は担保価値を基準に「貸し付け可能な金額」を算出するため、再販を前提とせず、リスクを抑えた控えめな査定になります。

買取専門店は「市場でいくらで売れるか」を重視して査定を行うため、販路が広いほど査定額が高くなりやすい傾向があります。

また、対応範囲にも大きな差があります。質屋では着物のほかに貴金属や時計など幅広い品物を扱う一方、和装に特化していないため、作家物や産地物でも正確に評価できないケースが多く見られます。

買取専門店は反対に、着物・帯・反物・和装小物まで総合的に扱い、専門知識をもとに一点ずつ丁寧に査定するのが一般的です。

着物を質屋に預けるメリット

質屋は、着物を「一時的にお金に換える」手段として古くから利用されてきました。

なかでも大きなメリットは、着物を手放さずに現金を用意できる点です。売却とは異なり、返済すれば着物は手元に戻るため、思い出の品を残したい、一時的に資金を作りたいという人に向いています。

ここからは、質屋のメリットをさらに具体的に見ていきましょう。

1. 着物を手放さずに一時的に現金を用意できる

質屋を利用する最大の魅力は、着物を売らずにお金を用意できる点にあります。

質屋では、着物を担保として一時的に現金を借りることができ、一定期間内に元金と質料（利息）を支払えば、預けた着物をそのまま取り戻せます。

この仕組みは、一時的に資金が必要なときにとても便利です。銀行のような審査も不要で、持ち込んだ着物の価値次第で即日現金を受け取れるケースもあります。

一方で、質預かりには期限や利息があるため、長期間の利用には向きません。

あくまで「一時的に現金を用意したい人」にとって有効な選択肢であり、長く使わない着物や整理目的の場合は、買取専門店を選んだほうが結果的に納得できるケースが多いです。

2. 急な出費や冠婚葬祭など短期的な資金調達に向いている

質屋は、銀行の融資やカードローンのように手続きが煩雑ではなく、「すぐに現金が必要」という場面に強いのが特徴です。

特に、冠婚葬祭や引っ越し費用、医療費など、急にまとまったお金が必要になったときに、査定後その場で現金を受け取れるのは大きな安心につながります。

審査や保証人は不要で、持ち込んだ着物そのものが担保になります。金額に納得できれば、その場で現金を受け取り、後日返済すれば着物が戻るという仕組みです。

ただし、質屋の利用はあくまで短期的な資金調達向けです。質料（利息）が日割りで発生するため、長期間預けるほど負担が増え、結果的に返済が難しくなることもあります。

「今だけ現金が必要」、「後で必ず返済できる」という明確な目的がある場合にこそ、質屋の強みが活きると言えるでしょう。

3. 査定や手続きが比較的スピーディーで利用しやすい

質屋の大きな利点のひとつが、査定から現金受け取りまでの早さです。

持ち込んだ着物をその場で確認し、査定額を提示してくれるため、手続きは10〜20分ほどで完了することが多く、即日現金を受け取ることができます。銀行や消費者金融のような審査が不要で、身分証だけあれば手続きできる点も、利用しやすさにつながっています。

また、着物以外にもブランド品や時計などを同時に査定してもらえる質屋も多く、「まとめて現金化したい」人には便利です。

ただし、和服の専門知識がある査定士が常駐している質屋は多くありません。店舗によっては、着物をリユース品のひとつとして扱う場合もあり、査定額に差が出ることがあります。

スピーディーさは魅力ですが、査定の正確さを求めるなら、着物に詳しい店舗を選ぶことが大切です。

着物を質屋に出す際の注意点

質屋は便利な仕組みですが、使い方を誤ると戻せない、思ったより安かったといった後悔につながることもあります。

特に注意したいのは、査定額の低さ・期限の管理・査定スキルのばらつきの3点です。

この3つの注意点について詳しく見ていきましょう。

1. 査定額が買取専門店より低くなる傾向がある

質屋は「貸し付け金額を安全に回収できるか」を重視するため、査定額は控えめに設定されます。

再販ルートも限定的で、一般的にはリサイクル市場や常連客への販売が中心。販路の広い買取専門店に比べて販売単価が低く、査定額も自然と下がります。

質屋の査定が安くなるのは「リスクを抑える仕組み」ゆえであり、必ずしも不当というわけではありません。

ただし、着物を手放す前提であれば、専門店での査定を併用する方が現実的です。

2. 質料や期限を過ぎると着物が戻らないリスクがある

質預かりでは、一定期間内に返済しなければ着物の所有権が質屋に移ります。

この「流質（りゅうしつ）」と呼ばれる仕組みは法律で定められており、返済が1日でも遅れれば取り戻すことはできません。

質料（利息）も日割りや月単位で発生するため、長期間預けるほど負担が増えます。

「いつでも返せる」と思って油断すると取り戻せなくなるため、返済スケジュールを明確に管理することが重要です。

返済の見込みが立たない場合は、流質前に買取へ切り替える相談をしておくのもひとつの方法です。

3. 和服の専門知識がない店舗では正確な査定が期待しづらい

多くの質屋はブランド品や宝石、時計を中心に扱っており、和服の取り扱いに長けた店舗は限られます。

そのため、着物に関する知識が浅い査定士の場合、作家名や産地物の価値が正しく評価されず、安い査定になることがあります。

和装専門の目利きがいない店舗では、査定の正確性に差が出るのが実情です。質屋を利用する際は、着物の取り扱い実績があるか、または買取専門店も併設しているかを確認しておくと安心です。

着物を質屋に出したときの相場価格と査定の考え方

質屋に着物を出す際、多くの人が最も気になるのが「どのくらいの金額になるのか」という点です。

結論から言えば、一般的な着物の質入れ・買取相場は数百円〜数千円程度が中心です。

ここでは質屋の相場価格や査定の考え方について解説します。

1. 一般的な着物の質入れ・買取相場は数百円〜数千円程度

多くの質屋では、無名の訪問着や小紋など一般的な着物は1枚あたり数百円〜数千円程度が相場です。

状態が良くても、再販時の需要が限られるため高値になりにくいのが現実です。

この金額差は質屋特有のリスク管理によるもので、「貸し付けたお金が回収できるか」を重視しているからです。

そのため、保管目的・一時的な現金化には適しているが、高価買取を期待する場ではないと理解しておく必要があります。

高く売りたいなら買取専門店で査定依頼してください。

2. 相場が下がりやすい理由（流通の少なさ・保管リスク・需要の低下）

着物の査定額が低くなりやすい背景には、3つの要因があります。

流通量の多さ	中古市場では着物が飽和状態にあり、需要より供給が上回っている。
保管リスク	長期保管でカビやシミが発生しやすく、再販時の価値を下げてしまうため、質屋は慎重に査定する。
和装離れによる需要の減少	着用機会が減ったことで市場全体の価格が落ちている。

こうした構造的な理由から、質屋の査定は全体的に控えめになります。

ただし、着物買取専門業者では販路が多様なため、同じ着物でも相場が数倍になることがあります。

3. 作家物・人間国宝・大島紬などブランド着物は数万円以上になることも

すべての着物が低価格というわけではありません。作家物や人間国宝の作品、大島紬・結城紬などの産地物は別格で、質屋でも数万円台になることがあります。

特に証紙が付いたものや未使用品、仕付け糸が残っているものは評価が上がります。

ただし、同じ種類でも状態が悪いと1,000円台まで下がるため、保管状態の良し悪しが査定額を大きく左右する点は共通しています。

4. 質屋の査定は再販ルートが限られるため買取専門店より低くなりやすい

質屋は販売経路が限られており、再販ルートも地域の常連客やリユース店への卸が中心です。
そのため、販売単価が低く、自然と査定金額も抑えられます。

買取専門店のようにネット販売や海外需要を取り込めないため、同じ着物でも評価差が出るのです。

このように、質屋は「再販前提ではない査定」という性格を理解しておくことが重要です。

5. 査定額を少しでも上げたい場合「状態」「証紙」「季節」を意識

質屋で少しでも査定額を上げたいなら、査定前の準備が鍵になります。

シミやカビを軽く拭き取り、証紙を揃えて持参するだけでも印象が変わります。

また、季節に合った柄や素材（単衣・袷など）は需要が高まる時期に持ち込むと、評価が上がることもあります。

状態を整えることで、「きれいで扱いやすい着物」として再販価値が上がり、結果的に査定額が数百円〜千円ほど変わるケースもあります。

着物を売るなら買取専門店を選んだほうが納得できる理由

着物を売るなら質屋よりも買取専門店を選ぶ方が結果的に満足しやすいです。

ここからは、買取専門店がなぜ高価買取を実現できるのかを、具体的に掘り下げていきます。

1. 専門査定士が在籍し、産地・作家・証紙を正確に見極める

買取専門店の強みは、査定士の専門知識と経験にあります。

大島紬、結城紬、加賀友禅、久保田一竹など、着物にはさまざまな産地や作家が存在しますが、質屋ではそれを見抜けないことも少なくありません。

一方、専門店では証紙や織り、染めの特徴から価値を正しく見極めるため、着物の本来の価値に見合った価格が提示されるのです。

編集部が査定を受けた際も、査定士が生地の質感や証紙の番号から生産時期を特定してくれ、査定の根拠を丁寧に説明してくれました。

こうした専門性の高さは、和装に特化した買取店ならではの安心感といえます。

2. 状態が悪い着物や古い着物も販路によって値がつく

買取専門店では、状態が悪くても需要がある販路を持っている点が大きな特徴です。

たとえば、リメイク用・舞台衣装・海外輸出向けなど、再利用ルートが充実しており、質屋では値がつかない着物にも買い取り価格が提示されます。

編集部でも、シミのある訪問着が他店では「無料引き取り」だったのに対し、買取専門店では1,500円の査定になったことがありました。

これは、リユース・レンタル・リメイクといった販路を持つ業者ならではの対応力です。着られなくても価値があるという視点を持つ業者を選ぶことで、納得のいく取引につながります。

3. 販売ルートが多く、査定金額が上がりやすい仕組みがある

買取専門店は、再販ルートの幅広さによって査定額を底上げできます。

国内のリユース市場だけでなく、海外や着物レンタル店、舞台衣装会社など複数の販路を確保しているため、査定時に「どのルートで販売できるか」を加味して価格をつけるのです。

質屋が地域内での販売を前提にしているのに対し、専門店は全国・海外の需要を視野に入れて査定します。

そのため、作家物や人気の産地物はもちろん、古い着物や帯でも値がつく可能性があります。
こうした構造的な違いが、「買取専門店の方が高く売れやすい」理由です。

質屋と買取専門店のどちらを選ぶべきかは目的で決まる

着物をお金に換える方法として、質屋と買取専門店のどちらを選ぶべきか悩む人は多いです。

しかし、この2つは「どちらが良い・悪い」という関係ではなく、目的によって向き不向きがはっきり分かれる仕組みになっています。

それぞれの目的に応じて使い分けることで、損をせずに着物を活用できます。

1. 手放さずに現金化したいなら質屋

質屋は、「着物を残したまま一時的に現金を用意したい人」に向いています。

査定で提示された金額を借り、期限内に元金と質料（利息）を返せば着物は手元に戻るため、思い出のある品を手放さずに済むのが大きな魅力です。

銀行のような審査や書類手続きもなく、身分証と着物さえあればすぐに利用できる点も安心です。

ただし、返済期限を過ぎると所有権が移る点だけは忘れないようにしましょう。

2. 高く売りたい・整理したいなら買取専門店

着物を完全に手放してもよいなら、買取専門店を選ぶのが合理的です。

査定士の知識と販路の広さから、質屋よりも高い査定が出やすく、状態が悪くても値段がつく可能性があります。

不要になった着物を整理しながら、納得の価格で売却できるのが大きなメリットです。

3. 迷ったときは両方で査定して比較するのが安心

「質屋と買取専門店、どちらがいいのか判断できない」という場合は、どちらにも査定を依頼して比較するのが最も確実です。

最近では、どちらの業態でも査定は無料で、持ち込み・出張・宅配など複数の方法から選べるようになっています。

査定を複数取ることで、自分の着物の「市場での価値」も見えてきます。相場を把握しておけば、今後ほかの着物を手放す際にも目安になりますし、無理な売却を避けることにもつながります。

査定前にやっておくと安心な着物の準備とチェックポイント

着物の査定では、同じ種類・デザインでも「状態の良し悪し」によって評価が大きく変わります。

とくに質屋や買取専門店では、査定士が「再販できるかどうか」を重視するため、持ち込み前のひと手間が査定額を左右します。

それぞれの具体的な準備方法を、次の項目で詳しく見ていきましょう。

1. 保存状態（シミ・カビ・虫食いなど）を確認する

着物は天然繊維でできているため、保管中にカビやシミができやすく、状態によって査定額が大きく変わります。

査定前には、軽く広げてシミや変色がないかを確認し、風通しのよい場所で一晩ほど陰干ししておくと効果的です。

また、防虫剤や香り袋の匂いが強く残っている場合は、簡単に風を通すだけでも印象が変わります。

2. 証紙・付属品・作家名など価値を証明できる要素を揃える

証紙やたとう紙、購入時の明細など、着物の価値を証明できるものは必ず一緒に持参しましょう。

産地や作家がわかる証紙があると、査定士が真贋を確認しやすく、適正な価格をつけやすくなります。

とくに大島紬や加賀友禅など、地域ブランドの着物は証紙の有無で査定額が2〜3倍変わることも珍しくありません。

また、帯・帯締め・長襦袢などを一緒に査定に出すことで「まとめ査定」が適用される場合もあります。

3. 複数枚をまとめる場合は種類別に整理して持ち込む

複数枚の着物を査定に出す場合は、種類（振袖・訪問着・小紋など）や用途（普段着・礼装）ごとに分けておくとスムーズです。

まとめて一度に持ち込むことで、査定士が全体のバランスを見やすくなり、時間も短縮されます。
さらに、業者によっては「まとめ査定キャンペーン」などで、数が多いほど査定額を上乗せしてくれることもあります。

まとめ｜着物を質屋に出すか、買取専門店に売るかの判断ポイント

ここまで解説してきたように、着物を「お金に換える」方法には質屋と買取専門店の2通りがあります。

どちらが良いかは目的によって異なりますが、特徴を整理すると次のようになります。

	質屋	買取専門店
目的	一時的に現金を用意したい	着物を売って整理・現金化したい
仕組み	着物を担保にお金を借りる （返済で戻る）	着物を完全に売却して現金を受け取る
査定基準	貸付金の安全性を重視し控えめな査定	市場価値を重視し高価買取になりやすい
メリット	思い出の着物を手放さず現金化できる	販路が多く、作家物や古い着物も評価されやすい
注意点	・利息と期限管理が必要 ・査定は低め	一度売ると返却はできない
向いている人	手放したくない・一時的に資金を作りたい人	断捨離や遺品整理でしっかり売りたい人

これらを踏まえると、「一時的な資金調達なら質屋」であり、「納得の価格で整理したいなら買取専門店」という判断が明確です。

最後に、査定前に確認しておくべきポイントを振り返ります。

• シミ・カビ・虫食いなどの汚れをチェックし、軽く整えておく
• 証紙や付属品を必ず一緒に持参する
• 種類別に分けてまとめ査定を狙う

こうした下準備をしておくことで、どの店舗でも印象が良くなり、査定額アップにつながります。

着物を売るか預けるかで迷うときは、まず信頼できる専門業者に無料査定を依頼し、自分の着物の価値を正しく知ることから始めてください。