メルカリ&ヤフオクのオークションで着物を売るメリット・デメリット

着物をメルカリで売ることはできます。自分のペースで出品できたり、状態が多少悪くてもリメイク目的で売れるなどのメリットもあります。

一方で「思ったより売れない」とか「価格交渉が面倒」と感じる声も少なくありません。

とくに高級着物や証紙付きの価値ある品をしっかり評価してもらいたい場合は、販路と査定力を持つ専門の買取業者の方が高価買取につながりやすいのが実情です。

この記事では、メルカリ・ヤフオクで着物を売る手順や注意点、専門業者との違いまでをわかりやすく解説します。

メルカリで着物を売るなら知っておきたい基本

着物は「家にあるけれど着る機会がない」という理由で眠っていることが多く、最近ではフリマアプリを使って個人で販売する人も増えています。

中でもメルカリは利用者が多く、手軽にスマホから出品できる点が魅力です。

ただし、一般的な衣類とは違い、着物はサイズ・素材・仕立て・付属品などの情報を正確に伝えなければ売れにくいという特徴があります。

まず「メルカリで着物は本当に売れるのか」という疑問から出発し、売れやすい着物の特徴、相場や手数料の考え方までを整理します。

メルカリで着物は売れる

結論から言えば、メルカリでも着物は売れます。

ただし、すべての着物がスムーズに売れるわけではありません。購入者の多くは「安くて状態の良い着物」を求めているため、売れるかどうかはそのニーズに合っているかどうかが大きく影響します。

また、着物の購入者は着物に詳しいとは限らないため、サイズや素材、仕立ての有無などをきちんと説明していないと、不安から購入に至らないことがあります。

つまり、売れるかどうかは「着物そのものの価値」だけでなく、「説明と見せ方次第」で変わるというのが実感です。

したがって、メルカリで着物を売りたい場合は、状態が良く、需要のある種類であることに加えて、出品者としての丁寧な情報提供が欠かせません。

どんな着物が売れやすいか（素材・状態・ブランド別）

メルカリで売れやすい着物には、いくつかの特徴があります。中でも重要なのは「素材」 「状態」 「ブランド性」の３点です。これらを理解しておくことで、出品後の反応や売れ行きに大きな差が出ます。

まず素材については、ポリエステル製や化繊の普段着用着物よりも、正絹（シルク）素材の着物が好まれる傾向があります。特にフォーマルシーンに使える訪問着や付け下げ、未使用の振袖などは需要があり、成人式や結婚式のタイミングを狙えば売れやすくなります。

状態の良さも非常に重要です。シミ・カビ・においがある着物は、よほど珍しいものでない限り売れ残る可能性が高くなります。

またブランド性という意味では、作家物（落款入り）、大島紬、結城紬、京友禅といった伝統工芸系の着物は比較的注目されやすい傾向にあります。証紙や反物名がある場合は、忘れずに写真を載せておくことが大切です。

つまり、素材が正絹で、状態が良く、ブランドや産地が明記されている着物は、メルカリ内でも売れやすく、価格も比較的高く設定しやすい傾向があります。

メルカリで売るときの平均相場と手数料の目安

メルカリで着物を売る場合、相場は種類や状態によって大きく変わります。おおまかな目安としては、普段着の小紋やウールの着物は1,000円～3,000円程度、正絹の訪問着や付け下げであれば3,000円～10,000円ほどで売れるケースが多く見られます。

状態が非常に良い未使用の振袖や大島紬などは、10,000円を超える価格で取引されることもあります。

手数料についても注意が必要。メルカリでは販売価格の10％が販売手数料として差し引かれます。

たとえば5,000円で売れた場合、手取りは4,500円となります。さらに送料が出品者負担であれば、そこからさらに700～1,000円前後が差し引かれ、実際の利益は3,500円前後に下がる計算です。

このように、売れる価格だけでなく「実際にいくら手元に残るのか」まで想定しておくことが重要です。価格設定の際は、着物の価値だけでなく、送料と手数料を踏まえて計算しないと損をしてしまう可能性があります。

メルカリで着物を売るメリット

メルカリは、スマホひとつで誰でも気軽に出品・販売ができるフリマアプリとして、多くの人に利用されています。

ここでは、メルカリで着物を売るうえで実感しやすい３つの主なメリットを紹介します。

1. 自分のペースで自由に出品・価格設定ができる

メルカリの魅力は、時間やタイミングに縛られず「自分のペースで着物を売れる」自由度にあります。

出品作業はスマホさえあればいつでもどこでも行え、販売価格や送料負担の有無などもすべて自分で設定できます。これは、店舗型の買取では実現しづらい大きなメリットです。

編集部でも実際に、平日の夜や休日の隙間時間を使って撮影・出品を行いましたが、操作もシンプルで迷うことはありませんでした。

また、販売価格を最初に高めに設定して様子を見たり、閲覧数の動きを見て値下げして反応を確認するなど、自分なりの販売戦略を試せるのもフリマアプリならではです。

とくに着物は希少性や状態の個体差が大きいため、「売りたい価格で出せる」 「値下げやまとめ売りも自由」という点は、リサイクルショップや一括査定にはない利点といえます。

2. スマホ完結で誰でも簡単に始められる

メルカリの出品はすべてスマホで完結するため、パソコンや特別な知識は一切不要です。

アプリをインストールし、案内に従って進めるだけで、商品登録・写真撮影・説明文の入力・価格設定・発送までの一連の流れをすべて自宅で行えます。

とくに着物のような大型アイテムや持ち運びに手間がかかるものは、店舗に持ち込むだけでもハードルがあります。

その点、出張買取を依頼せずとも、自分のタイミングで売却活動を進められる点は、多忙な方や子育て中の方にとっても大きな利便性です。

慣れれば10分程度で出品完了できるため、初心者でも始めやすいのがメルカリの強みです。

3. リメイク需要があるため状態が多少悪くても売れることがある

一般的な着物買取では、シミ・におい・経年劣化があると値段がつかないことがほとんどですが、メルカリではリメイク目的で着物を探している購入者が多くいます。

たとえば、大島紬や結城紬、アンティーク着物などは、ワンピース・バッグ・がま口などへのリメイク素材として人気があります。

もちろん説明は正直に行う必要がありますが、「状態が悪いから売れない」とあきらめるのではなく、使い道を限定した販売戦略をとることで、想像以上の反応を得られることもあるのがメルカリの魅力です。

メルカリで着物を売るデメリット

メルカリは手軽に出品できる便利なフリマアプリですが、着物のように手間や専門性が問われる品物では、思わぬ落とし穴もあります。

ここでは、編集部の体験や実際のトラブル事例をもとに、メルカリで着物を売る際に注意すべき６つのデメリットを整理してお伝えします。

1. 売るまでに手間と時間がかかる

メルカリで着物を売るには、出品前からやることがたくさんあります。会員登録はもちろん、着物の全体・裏地・タグなどを撮影し、サイズや素材、状態を細かく記載した説明文を作成する必要があります。

購入希望者からの質問対応や値下げ交渉、売れた後の梱包・発送まで、すべてを出品者が自力でこなさなければなりません。

特に着物は情報量が多いため、一般的な衣類に比べて準備の手間がかかります。

出品して終わりではなく、購入者とやり取りし、タイミングよく発送するまでが一連の流れです。仕事や家事で忙しい人にとっては、想像以上に手間の多い作業になるでしょう。

2. 販売手数料や送料が利益を圧迫する

販売手数料	販売価格の10％（すべてのカテゴリー共通）
送料（出品者負担の場合）	配送方法により異なる（例：らくらくメルカリ便＝750円前後〜）
販売後の振込手数料	振込額が1万円未満の場合：200円（※メルペイ残高にチャージする場合は無料）
有料オプション利用料	なし（メルカリでは有料の出品目立たせ機能なし）
出品者の送料負担	出品者が送料を負担するか、購入者に負担させるか選択可能
利用登録料／会員費	無料（アカウント登録・出品・利用に関して月額料金なし）

メルカリで着物を販売すると、売れた金額の10％が自動的に手数料として差し引かれます。

たとえば3,000円で着物が売れた場合、メルカリの販売手数料として300円が差し引かれます。さらに送料が750円かかったとすると、出品者の手元に残るのは1,950円程度です。

着物はサイズが大きく、折り畳んでも厚みが出るため、「ゆうゆうメルカリ便」などの発送サービスでも送料が割高になりやすいです。

加えて、たとう紙や防水対策などを含めた梱包資材も必要になるため、準備コストも見過ごせません。

落札システム利用料	一律10％（プレミアム会員・非会員問わず） ※一部カテゴリ除く
配送サービス利用料	ヤフネコ！パック、ゆうパック（おてがる版）などの送料（配送方法により異なる）
出品取消システム利用料	550円／1出品（税込）※入札がある状態で取り消した場合
オプション利用料	オプションごとに異なる（例：太字表示＝10.45円、背景色＝31.35円など）
プレミアム会員費用	月額508円（税込）※出品条件緩和・一部優遇機能あり （※手数料には影響なし）
出品者の送料負担	出品者が送料を負担するか、落札者が負担するか選択可能

2024年6月からは落札手数料が一律10％に統一され、プレミアム会員との手数料差は廃止されました。そのため、価格帯や商品カテゴリを問わず、売上の10％が基本の出品コストとなります。

メルカリと違い、有料会員（月額508円）制度がありますが、現在は手数料の優遇には影響せず、一部カテゴリや機能の制限緩和のためのものです。

3. 個人間トラブルに巻き込まれるリスクがある

メルカリは個人同士の取引が基本となるため、相手の対応や価値観によってトラブルが発生することも少なくありません。

特に着物は、写真だけでは状態や質感が伝わりにくく、「思っていた色と違う」 「シミやにおいがあった」などの理由で低評価やクレームにつながるケースがあります。

また、梱包に関しても「たたみ方が雑だった」 「シワがついていた」などの指摘を受けることがあります。

着物特有の配慮が求められる品であるため、取引のたびに細心の注意を払う必要があります。トラブルを未然に防ぐには、購入者目線で丁寧に説明・対応する根気も必要です。

4. 高価な着物が安値でしか売れないことがある

メルカリの購入者は「できるだけ安く買いたい」と考えている人が多く、高価な着物を適正価格で売るのはかなり難しいのが実情です。

たとえば、百貨店で数十万円した訪問着や作家物でも、数千円程度しか反応がなかったり、値下げ交渉が相次ぐことも珍しくありません。

編集部でも、証紙付きの結城紬を出品した際、「高すぎます」とか「3,000円なら買います」といったコメントが続き、売却を断念したことがあります。価値がわかる人が限られているうえ、フリマアプリでは価格競争が激しいため、高値を狙うには不向きです。

本来であれば10万円近い価値がある着物でも、メルカリでは「高い＝売れない」という図式になりがちで、結果的に価値ある着物ほど売れ残りやすくなります。

5. 出品者としての信頼性が価格に影響する

メルカリでは、出品者の評価や実績が購入者の判断に大きく影響します。評価数が少ない初心者は、どれだけ商品が良くても「信頼できるか不安」と思われがちで、結果的に価格交渉されやすく、購入に至らないこともあります。

特に着物は高額になりやすく、品質の確認もしにくいため、購入者は「安心して取引できるか」を重視します。

過去の取引数やコメント対応、梱包の丁寧さなどが総合的に評価されるため、経験の浅い出品者ほど不利になります。

信頼性はすぐには得られないため、継続的な出品と丁寧なやり取りを積み重ねていくことが重要です。

6. 適正価格を把握するための事前調査が必須

メルカリで着物を売る際、もっとも難しいのが「いくらで出せば売れるのか」の判断です。高すぎれば誰にも見向きされず、安すぎれば損をしてしまうため、出品前に相場を調べて価格を設定する必要があります。

とくに着物は種類や状態による価値の差が大きく、「これは高いはず」と思って出しても、実際には需要がなくまったく反応がないということもあります。

反対に「安く出したつもりが、実はもっと高く売れた可能性があった」というケースもあります。

損をしないためには、出品前に「同じジャンルの着物がいくらで売れているか」を丁寧にチェックすることが重要ですが、それ自体が手間に感じる人も多いでしょう。

メルカリで着物を出品する手順

実際にメルカリで着物を売ってみようと思ったとき、何から始めればよいか迷う人も多いかもしれません。

特に着物はサイズや種類が複雑で、一般的な衣類とは少し勝手が違います。ですが、手順を一つずつ丁寧に進めていけば、誰でも問題なく出品できます。

ここでは、メルカリで着物を出品するための基本的な流れを３ステップに分けて解説します。

アプリ登録から出品までの流れ

メルカリで着物を売るには、まずアプリの登録から始めます。操作は非常にシンプルで、スマホがあれば誰でもすぐに利用できます。

以下が基本の流れです。

着物の場合は、説明文の工夫や写真の見せ方が重要になるため、ここでの準備が売れ行きを左右すると感じました。

梱包と発送のポイント

メルカリで着物が売れたあとは、速やかに梱包して発送する必要があります。とくに着物は繊細な繊維でできているため、一般的な衣類よりも丁寧な梱包が求められます。発送方法や見た目の印象ひとつで、購入者の満足度が大きく変わるため、気を抜かず対応しましょう。

まず梱包時の基本は「折りジワを最小限に」 「清潔で安心感のある見た目に」することです。

おすすめは、たとう紙（着物用の専用包装紙）に包んでから、防水対策としてビニール袋や袋型のOPP袋で包み、さらに紙袋やダンボールに入れる二重包装です。たとう紙がない場合でも、柔らかい包装紙や厚手の和紙などで代用できます。

発送方法としては、匿名配送が可能な「らくらくメルカリ便」や「ゆうゆうメルカリ便」が安心です。
60サイズ（縦・横・高さの合計が60cm以内）で送れることが多く、送料は700円前後が目安となります。発送手続きもコンビニや郵便局から簡単に行え、配送状況の追跡も可能です。

注意点として、到着時にシワや型崩れが起きないよう、折りたたむ場所や厚みのバランスにも気を配りましょう。配送事故やトラブルを防ぐ意味でも、梱包と発送の丁寧さは最後まで手を抜かずに進めることが大切です。

購入者とのやり取りと注意点

メルカリで着物が売れると、購入者とのやり取りが発生します。基本的には自動メッセージや評価システムが整っているため、難しい対応は不要ですが、着物のように価値や状態に個体差がある商品では、丁寧な対応が信頼につながります。

取引開始後は、まず「ご購入ありがとうございます」などのひとことをメッセージで送りましょう。必須ではありませんが、無言で発送されるよりも印象がよくなり、安心感を与えられます。発送後には「本日、発送いたしました」などの連絡を加えるとより丁寧です。

購入者から質問が入るケースもあります。「シミはどの程度か」 「裏地の色味は実物と同じか」など細かい確認がくることもあるため、説明文だけではカバーしきれない部分には正直に答えることが大切です。

編集部でも、取引前に追加写真を求められた経験があり、そのひと手間で安心して購入してもらえたことがありました。

注意点としては、値下げ交渉やキャンセル要望にどう対応するかをあらかじめ決めておくことです。交渉に応じるかどうかは自由ですが、態度を急変させるとトラブルの元になります。

また、発送後のクレームを防ぐためにも、出品時に状態はしっかり記載し、写真も十分に掲載しておくことが重要です。

最後に、商品が無事届いたら「評価」が行われ、取引が完了します。お互いに誠実なやり取りを意識することで、次の出品にもつながる良い評価を得られるでしょう。

ヤフオクで着物を出品する手順

ヤフオクは、自分で価格を決めて出品する「フリマ出品」と、入札形式で価格が上がっていく「オークション出品」の2通りがあります。

着物のように一点物の価値が分かれる商品では、状態や種類によって使い分けることが大切です。

ここでは、ヤフオクで着物を出品する基本的な手順をわかりやすく解説します。

1. Yahoo! JAPAN IDの登録（ログイン）

ヤフオクを利用するには、まずYahoo! JAPAN IDが必要です。

すでに持っていればそのまま使えますが、初めての方は公式サイトから無料で作成しましょう。信頼性を高めるために、本人確認や電話番号認証も済ませておくと安心です。

2. 出品ページを開き、カテゴリを選択

トップ画面から「出品」をクリックし、カテゴリを選びます。

着物の場合は「ファッション」→「レディース」→「和服」などが基本ですが、帯や小物の場合は「帯」「和装小物」といった細分類も選べます。

カテゴリ選びは検索結果にも影響するため、できるだけ正確に選択しましょう。

3. 商品情報の入力と写真のアップロード

出品画面では、商品名・説明・状態・発送方法・価格などを記載します。

商品名には「振袖 正絹 証紙付き」など、検索されやすいワードを盛り込むのがコツです。

説明文では、汚れの有無やサイズ感、証紙やたとう紙の有無などを明記しましょう。

写真は最低でも5〜6枚は用意し、全体・裏地・柄のアップ・汚れ箇所などを撮影すると親切です。

4. 価格設定とオプションの選択

オークション形式で出品する場合は「開始価格」と「即決価格」などを設定します。

相場を調べずに高すぎる価格にすると入札がつかず、逆に安すぎると損をしてしまうため、事前のリサーチが重要です。

また、「送料無料」 「匿名配送」などのオプションを選ぶと、購入者にとって安心材料となります。

5. 出品と管理

内容を確認したら「出品する」ボタンで完了です。出品後は、入札状況や質問への対応を忘れずに行いましょう。

落札された後は、24時間以内の発送が推奨されているため、梱包・発送準備もスムーズに行えるよう事前に準備しておくと安心です。

メルカリ・ヤフオクで着物を高く売るための準備

着物は1点ごとの個体差が大きく、状態や付属品の有無によって相場が大きく変わります。メルカリで少しでも高く、かつスムーズに売却するためには、出品前の「ひと工夫」が重要です。

ここでは、状態確認や写真撮影、説明文の工夫、価格設定など、購入者の信頼を得るための具体的なポイントを３つに分けて紹介します。

1. 状態確認と付属品整理（帯・証紙・たとう紙など）

メルカリで着物を高く売るためには、まず出品前に状態のチェックと付属品の整理を丁寧に行うことが基本です。

購入者は画像や説明文だけを頼りに商品を判断するため、「どれだけ誠実に情報を開示できるか」が信頼につながり、価格にも影響します。

着物本体の状態は、以下のような点を確認しましょう。

• シミ、変色、色あせ、におい、カビの有無
• 裏地や衿、袖口などの擦れや汚れ
• 生地の質感（硬化や縮みがないか）

小さなシミや折ジワでも、あらかじめ説明しておけばトラブル防止になります。

また、帯・帯締め・帯揚げ・草履などの小物類が揃っていれば、セットにして出品することで購入者にとっての「完成形」が見えやすくなり、単体よりも高く売れる可能性があります。

たとえば、訪問着＋袋帯＋帯締めをセットにしたことで、個別出品よりも3,000円以上高く売れたケースもありました。

証紙や落款、タグが残っている場合は、必ず写真に撮って添付しましょう。特に大島紬や結城紬、京友禅などは、証紙があることで本物と判断され、価格の裏付けにもなります。

加えて、たとう紙や箱が残っていれば、それに包んで発送することで、見た目の印象や梱包評価にもつながります。

丁寧な状態チェックと付属品の整理は、「この人から買いたい」と思わせる第一歩。買い手の立場を意識しながら、少しの手間を惜しまず準備することが、納得のいく価格につながります。

2. 売れやすい写真の撮り方と説明文のコツ

メルカリで着物を高く、そして早く売るには、写真と説明文の工夫が欠かせません。購入者は実物を手に取れない分、「見た目の印象」と「情報の丁寧さ」で判断するしかないため、ここでの工夫が売れ行きに直結します。

自然光の入る時間帯に撮影し、スマホの影が映らないよう少し斜めから撮ると、着物の質感がより伝わりやすくなります。床やベッドの上に白い布や無地のシーツを敷くと、背景が整理されて清潔感のある印象になります。

最低でも以下のカットは用意しましょう。

• 着物全体（表・裏）
• 柄のアップ（刺繍や金彩など）
• 汚れ・シミ・擦れがある部分（あえて載せる）
• 証紙や落款、タグ（あれば）

説明文は誰が着られるか、どんな用途かを具体的に想像できるように書くことが大切です。

たとえば「卒業式や結婚式にぴったりな訪問着です」とか「身長160cm前後の方におすすめ」など、着用シーンや目安サイズを記載することで購入のハードルが下がります。

あわせて、以下の情報は最低限盛り込みましょう。

• 種類（振袖、訪問着、小紋など）
• 素材（正絹、ポリエステルなど）
• 寸法（身丈・裄丈・袖丈・前幅・後幅）
• 状態（目立つ傷・シミ・においなど）
• その他（付属品の有無、証紙の状態、仕立て内容）

過剰に飾らず、正直かつ丁寧に書くことが、信頼を得るポイントです。

「写真」と「言葉」で着物の魅力を的確に伝えられれば、購入者の不安を取り除き、価格交渉されにくくなる傾向もあります。

3. 価格設定と発送方法の決め方

着物をメルカリで出品する際、価格設定と発送方法は売れ行きだけでなく、出品者の利益にも大きく影響します。高すぎると売れ残りやすく、安すぎると損をしてしまうため、事前の相場確認と送料の計算が非常に重要です。

メルカリ内で「販売済み」に絞って検索すると、実際の落札価格がわかるため参考になります。

編集部でも、出品前に似た着物の販売事例をチェックした上で、相場より少し高めに設定し、様子を見ながら値下げしていく形をよく採用しています。

目安としては以下のような価格帯が多く見られます。

• 小紋・ウール着物（状態良好）：1,000〜3,000円
• 正絹の訪問着・付け下げ：3,000〜8,000円
• 未使用の振袖や作家物：8,000円〜1万円以上

ただし、手数料（10％）と送料を差し引いた「実際に残る金額」も想定しておく必要があります。

たとえば6,000円で売れた場合、手数料600円、送料が800円かかれば、手取りは約4,600円です。こうした逆算ができていないと、せっかく売れても「思ったより残らなかった」と感じてしまいます。

発送方法は匿名配送ができるらくらくメルカリ便またはゆうゆうメルカリ便の利用がおすすめです。

サイズ60（60cm以内、2kg以下）であれば送料は750〜850円程度で、コンビニや郵便局から簡単に発送できます。追跡・補償・匿名性が揃っているため、トラブル防止にもつながります。

着物は折り畳んでもかさばるため、事前にたとう紙に包んで厚みやサイズ感を確認しておくと安心です。価格と送料のバランスを見ながら、手間を減らしつつ納得のいく取引を目指しましょう。

メルカリ・ヤフオクでよくあるトラブル

着物をメルカリで販売する際、多くの方が気になるのが「トラブルにならないか」という不安です。

ここでは、実際によくある３つのトラブルパターンを紹介し、それぞれに対する具体的な予防策をわかりやすく解説します。

1. サイズ・色味の違いによるクレーム対応

メルカリで着物を販売する際、もっとも多いトラブルのひとつが「サイズや色味が想像と違った」という購入者からのクレームです。とくに着物は、洋服と違ってサイズ表記が馴染みづらく、写真では質感や色合いが伝わりにくいため、誤解が生まれやすいアイテムです。

このようなトラブルを防ぐためには、以下の対応が有効です。

身丈・裄丈・袖丈・前幅・後幅の５項目は基本情報として記載しましょう。目安として「身長何cmくらいの方向け」なども補足すると、より親切です。

色については、「実物はやや青みがかった紫」 「写真よりも落ち着いた印象」など、主観を含めてもいいので色味の説明を入れておくと安心です。また、可能であれば異なる光源（自然光と室内灯）で撮影した写真も掲載しましょう。

色ムラや薄いヤケなど、購入者が気にしそうな部分は、あえて写真に撮って明記することで“正直な出品者”として信頼につながります。

もしクレームが入った場合も、あらかじめ丁寧な説明や画像があれば、事務局による判断にも有利に働く可能性があります。「買ってから後悔されたくない」という思いで情報を丁寧に伝えることが、トラブルを未然に防ぐ最善策です。

2. 配送トラブルや返品対応の注意点

着物のようにサイズが大きく繊細な商品は、配送中のトラブルや、到着後の返品要望といったリスクにも注意が必要です。破損・折ジワ・水濡れなど、ほんの少しのミスが購入者の不満につながることもあり、丁寧な梱包と柔軟な対応が求められます。

まず、もっとも防ぐべきは折ジワや型崩れによるクレームです。

着物は丁寧に畳まれているからこそ美しいもの。配送時に潰れないよう、なるべく平らに畳んでたとう紙や厚紙で補強し、必要に応じてクッション材を加えましょう。封筒や紙袋だけの簡易梱包では、シワやダメージが出るリスクが高まります。

次に注意すべきは水濡れ防止です。配送中に雨に濡れることも考え、防水性のある袋やビニールでしっかりと二重包装するのが基本です。

発送方法としては、「らくらくメルカリ便」や「ゆうゆうメルカリ便」などの「匿名配送＋追跡あり＋補償付き」の方法を選ぶのが安心です。万が一、配送中に商品が紛失・破損した場合も、一定の補償が受けられるため、出品者・購入者ともに安心して取引できます。

返品対応に関しては、事前の説明の丁寧さが鍵になります。状態・サイズ・におい・シミなどについて細かく記載していれば、返品理由が「購入者都合」と判断されやすくなります。反対に説明不足だと、返品を受けざるを得ない状況になってしまうこともあります。

取引の最後まで気を抜かず、丁寧な発送と事前の情報共有を心がけることで、配送関連のトラブルはかなりの確率で回避できます。

3. 偽物や転売トラブルを避けるための対策

メルカリでは着物の取引も活発ですが、その一方で「本物かどうか」 「転売目的ではないか」といった点をめぐるトラブルも少なくありません。とくに高額な着物や、作家物・証紙付きの商品では、購入者の疑念を招かないよう事前の対策が不可欠です。

まず重要なのは、本物であることを証明できる情報をできるだけ載せることです。証紙がある場合は必ず写真に撮り、説明文でも「◯◯紬 証紙付き」や「作家名あり」などと明記しましょう。

落款（印）がある場合も、写真とともに「左袖に落款あり」と具体的に記載すると信頼性が増します。

反対に、証紙がない場合は「証紙は付属していませんが、祖母の遺品であることを明記しています」など、あえて記載しておくと、誤解を避ける効果があります。商品説明を曖昧にせず、わかる範囲の情報を正直に伝える姿勢が大切です。

価格交渉の中で「まとめ買い」や「複数セットで安くしてほしい」といった要望がある場合、それが転売目的である可能性も考えられます。

編集部でも一度、まとめ買いの交渉後にすぐ同じ写真の商品が別アカウントで再出品されているのを確認したことがあり、以降は「転売目的での購入はご遠慮ください」と明記するようにしています。

購入後の使い道を制限することはできませんが、事前にポリシーを示すことで、ある程度の抑止効果は期待できます。

こうした偽物疑い・転売関連のトラブルは、出品時の情報開示と説明文でかなりの確率で防げます。

着物買取専門業者を使う方法と比較

メルカリやヤフオクでの個人売買は自由度が高く、うまく使えば納得のいく取引ができる一方で、「時間や手間がかかる」とか「トラブルが心配」といった不安もあります。

その点、着物買取の専門業者を利用する方法は、まったく別のメリットがあります。

専門業者で高価買取が期待できる理由

着物買取の専門業者は、一般的なリサイクルショップやフリマアプリと比べて、高値がつく可能性が高い傾向があります。

その理由は主に以下の3点です。

• 販路が豊富で適正価格をつけられる
• 査定士が着物に精通している
• 他アイテムとのセット査定が可能

専門業者は、海外市場や舞台衣装、リメイク業者などへの販路を多数持っており、状態や用途に応じて最適な売却先を見極める力があります。これが高額査定の源泉となります。

また、知識のある査定士が対応するため、作家物や伝統工芸品、証紙付きの高級着物の価値を正しく判断できます。一般の古着扱いとされることなく、適切に評価されるのが強みです。

出張買取では「ついでにこれも」と追加できる柔軟性もあります。

まとめ｜メルカリは気軽に売れるが高価買取を狙うなら専門業者も検討を

メルカリでの着物販売には自由度や手軽さといったメリットがある一方で、売却価格や手間に関するデメリットも存在します。

以下に、特徴を比較できるよう表形式で整理しました。

	メリット	デメリット
出品方法	自分のタイミングで自由に出品・価格設定が可能	出品から発送まで手間と時間がかかる
利便性	スマホ1つで誰でも簡単に始められる	値下げ交渉や購入者とのやり取りもすべて自己対応が必要
売却対象	リメイク需要があるため汚れ・難あり品でも売れる可能性がある	高級着物や価値のある品も安く売れてしまうことがある
費用面	買取業者では断られる品が売れる可能性がある	販売手数料（10％）＋送料負担があり、利益が削られやすい
安心感	匿名配送など一定の仕組みでトラブル回避が可能	購入者とのトラブルや返品交渉に巻き込まれるリスクがある

メルカリで着物を売るときの3ステップは次のとおりです。

ただし、高価買取を狙いたい場合や大量処分をしたい場合は、着物専門の買取業者を使う方が手間も少なく、納得価格で売れる可能性が高くなります。

まずは無料査定だけでも受けておくと、相場感を掴めて判断しやすくなります。